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そうした時勢のなか、鉅鹿郡というところに三人の兄弟がいました。
この三兄弟、名を張角、張宝、張梁と言います。
長男の張角はもともと官僚になりそびれた落第者で、今はひっそりと暮らしていましたが、ある日、その張角が、薬草を採取しに山中へ入ったところ、一人の老人に出会ったのです。
老人は不思議に輝く碧い目をしており、一見すると若くも見えるような年齢不詳の姿で、手に杖を持っており、しきりに手招きをしていました。
張角は怪しんだが、不思議な力に吸い寄せられるように老人のそばへと近寄ります。