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その家のすぐ側には一本の大きな桑の樹が立っていて、その高さは五丈(11m)以上、はるか遠くからもその姿を望むことが出来、大屋根の如く覆うように葉が茂っていて、そのあまりに力強さを感じる風景を見て「この家からはきっと大物が出るに違いない」という人も多かった。
玄徳は幼い時、その樹の下で遊ぶ子供たちの前でこう言ったという。
「俺はきっと大物になりこの樹のようになってみせるぞ!」
そのとき、ちょうど通りかかった叔父の劉元がその言葉を聞くと、「この子はすごいぞ!」と言ってその才能の芽を伸ばそうと、貧しい玄徳の家の面倒を見るようになった。




