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京都大紀行 ~三日目~

この小説は京都大紀行の第三章です。第一章、第二章からお読みいただいたほうが話を理解しやすいと存じます。

京都大紀行 三日目


三日目の朝。ラプンツェルと茨姫の寝起きがすっきり!ということは勿論なく。私は今日もラプンツェルの目覚ましで起きた。しかし、彼女達が目を覚ますことはなかった。ラプンツェルは携帯で目覚ましをかけていたので私が勝手にいじるわけにもいかない。とりあえず彼女の枕元に携帯を置いておいた。三回目の目覚ましが鳴ったころ、ラプンツェルが目を覚ました。本当にまだ寝むそうだったので、私が起こすということでまだ寝てもらうことにする。私は一番遅くに寝たのだが、一番寝起きが良かった。中途半端に寝なかったのが良かったのかもしれない。

そろそろ時間かと、ラプンツェルを起こす。これまでで茨姫が起きる気配は一向になかった。ラプンツェルが起きて、茨姫をゆすり起こす。何となくぼんやりと、起きたような起きていないような感じだ。仕方ないので、本当にぎりぎりまで寝かせておくことにした。

時間をおいてもう一度茨姫を起こした。茨姫は一応起きたものの布団の中でごそごそしている。この状況は先日みた記憶があるような気がする。もう少し、様子を見ていようと、私は二人を観察した。するとやはり強硬手段。ラプンツェルが布団をはいだ。また今日も茨姫は飛び起きる。それでも昨日夜遅くまで起きていたのがさすがに効いているようだ


三日目は団体でバス見学。席は早い者勝ちだったので、私たちの班は朝食を食べ終わると、荷物をまとめて早々に部屋のカギをフロントへ返した。おかげで一番のりだ。誰も来ていない。もちろんバスに乗ったのも一番初めで、後ろの長い席を陣取った。これで三人並んで座ることができる。まったく、一年の時から思ってはいたが、ラプンツェルの席取り精神はすごいものがある。絶対譲らないというような気迫で満ち溢れていた。あんな狭い、バスの中央通路。だれも追い越せはしないのだが。

 初めに向かったのは、醍醐寺の三方院だ。とても広いつくりになっている。中に入ると、寺の和尚さんが仏教の教えについて詳しい説明をしてくださった。実はその和尚さんは大学の創立者の故郷にあった寺の住職だったそうでその創立者の先生の事についても語ってくださった。その後、三方院の中の説明を聞きつつ見学。国の特別史跡、特別名勝に指定されている庭園を見た。池にいくつかの島が浮かび、苔が生えた橋がそこにかかっている。石もきれいに配置されている、見ごたえのある大きな庭園だった。座ってそれを眺めていたが、十一月の寒い寺の中、そこは日が当ってとても温かかった。日向ぼっこには最適である。説明が終わり、自由行動に移ると居心地の良かったそこを離れ、二人と一緒に行ける所まで行くことにした。しかし、時間的に余裕がなく、といいつつ、お金をケチっていただけの話なのだが、結局は有料になる手前まで行って終わってしまった。そこにたまたま二日目の先生がいらっしゃって、「奥の塔は日本語学的に重要な資料がある」というような話を嬉しそうに語ってくれた。修理をした際に、当時の落書きだかが見つかったのだとか。その落書きから、その時使われた言葉がわかるらしい。いろは歌にも関係しているとかいないとか……?そして、全くもって買っていないお土産を少々ここで調達することにした。そこでは昔ながらの焼き方で焼いた煎餅が売っていた。妹がそういったものをほしがっていたような気がするので三袋購入。焼きたてのものを試食させていただいたのだがこれがなかなか美味しい。そして、お徳用の、皮の向いてある栗を祖母がカビだらけにしていたのを思い出したので、ちゃんとした皮のついた栗を買った。どうやらここでしか売っていない山栗らしい。そこで、疲れに負けたラプンツェルは先にバスへと戻ることに。私たちは試しに、御利益のありそうな「醍醐水」というものを割勘で一本かって飲んでみることにした。ここの湧水で超軟水何だそうだ。たしかにほのかに甘くやわらかい感じがするような気がする。普段水を飲み比べたことがあまりないので自信がない。茨姫は、田舎のおばあさまのところの水とそっくりだと言っていた。きっと良い水だったのだろう。


醍醐水で御利益をもらったところで、次に向かったのは萬福寺だ。しかし、ここでちょっとしたハプニングが発生した。私は寝ていたので気付かなかったが、どうやらバスが道を間違えたらしい。山を一つたがえたのか、とんでもない秘境の地へ迷い込んでしまったようだ。起きていた先生の話によれば、隣が崖っぷちというところで車がバックしたとか。山に入った時に、「落石注意」の看板があったとか。一歩間違えばそれこそどうなっていたかわかったものではない。バスでの移動時間はそんなにかからないと先生から伺っていたものの、道理でバスの中でのお昼寝時間が長かったわけだ。おかげでゆっくりとよく眠れた。私としては、道に迷ったところを見たかったので、少し徹夜したことを後悔したが、仕方ない。知らぬが仏ということだったのかもしれない。とにかく、知らないうちに私達が仏様になっていなくてよかった。

そんな事があったのだが、なんとか無事に萬福寺までたどり着くことができた。私達はそこで普茶料理というものを食べた。中国から伝わってきた精進料理だそうで、地味なものかと思いきや結構豪勢な食事だったように私は思った。茨姫はアレルギーのため、私達とは少し違うものが入っていたが些細な違いだった。入っているおかずが一品二品違うくらいだ。私は人よりも早く食べ終わり、写真を撮ることに専念した。勿論完食。ラプンツェルもゆっくりと食べて完食。意外と食が細かったのが茨姫。食べたいものだけ食べていたが、野菜が残っている。そんな茨姫に食べるようにあんな手やこんな手を使って、私とラプンツェルで脅しをかけて食べさせようとした。脅しといっても、駄々をこねる茨姫の上に乗ってみたり、はたまた言葉攻めをしてみたりと、そういったかわいいものだ。このように書くと、食事中に暴れているようにイメージされてしまうかもしれないが、この時、すでに他の班の人たちはその場を離れていて、最後に残ったのが私達だったのだ。一番早く食べておいて、最後に食堂を出た。

萬福寺で記憶に残っているのは「開板」という魚が球を加えた大きな像だ。木魚のもとになったものだそうで、かなりの印象を与えた。バスガイドさんの説明で、加えていた球が煩悩であったことを後に知ったのだが、煩悩をくわえた魚の像、と考えるとかなりシュールな像だったのだなと思う。鯉みたいな魚に歯が生えていた時点で恐怖でしかないのだが。

 

最後に向かったのは東寺だった。ここでの一番の見どころは何といっても五重塔だ。説明を聞きつつ思っていたことは茨姫と同じだった。某有名なゲームに出てくる「マダツボミの塔」というのをイメージしてしまうのは仕方のないことだ。それに出てくるものをイメージして五重塔に入ると狭いことこの上なかった。中心に仏像が安置されている分、外からは広く見えるのだが中に入ると結構せまい。それに、階段がなかったので、上には登れないようだ。ゲームみたいに修行したりすることは不可能だった。この五重塔は落雷等で四度も焼失し、今立っているのは五代目なのだそうだ。それでも歴史を感じる内部だった。

一通り見て回って、抹茶のソフトクリームを食べた。寒い中食べるアイスクリームも美味しいものだ。

 

無事に京都駅までたどり着き、自由時間でお土産を買った。東京に残っている友達には、硬いほうの八橋を買うことにする。茨姫は、家族に唐辛子を買って来いと言われていたらしく、さっさと探しに行ってしまったため、別行動で私とラプンツェルは端から端まで見て回った。結局食べられなかったみたらし団子もあったので、電車の中で食べようと思い購入。食べているものは甘いものばかりだ。ラプンツェルのほうは夕食にとおにぎりをいくつかコンビニで手に入れていた。茨姫も無事にお土産を入手できたようだ。

ホームに行くと、ほとんどの先生の手にはなぜかビールが握られていた。口調からすると、毎年買って飲んでいるらしい。今回の旅行、すでに私の中では先生とビールがイコールになってしまっていた。日本文学科の先生はアルコールがお好きなようだ。

電車の中ではコンセントがあったので、私はすかさずパソコンを出して、写真を整理していた。隣の二人は昨日の徹夜と今日の疲れで寝てしまっている。お隣に座っていたのがたまたま助手さんだったので、写真を見せることにした。こうみるとトータルで結構な枚数を撮ったものだ。きっと、全ての班の中で、一番多く写真を撮っていると思う。その中の三割程度は先生の写真なのだが。隣が寝てしまっていたので、助手さんと京都の話とゲームの話で盛り上がっていたら東京に着いてしまった。もう少し京都にいたかったものだが、次の日から学校である。落ち着いて休む暇もない。

こうしてあわただしくも痛々しい京都の研修旅行が終わった。


さて、どうだったでしょうか。私たちの京都研修旅行。けっこう痛いことをして来ました。またあらたに私の黒歴史が増えたということです。楽しかったので後悔はしていませんが。

最後に、先生方、助手さん方、茨姫、ラプンツェルに感謝します。本当に楽しい研修旅行をありがとうございました。

そしてここまで長い文章を読んでくださった方、本当にありがとうございました。又機会がありましたらよろしくお願いいたします。

……ついでのついででおまけも載せるので、そちらもどうぞ。

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