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オトメにキメて♡ベビーベリーのキャラメル【竜】

「お兄、ほら早く。遅刻しちゃうでしょ」

「わーってるって。そんなに急かすな」

 とある竜の村で行われるお祭りに参加することとなった竜人ガラン。とその妹のキアラとガランの持つ剣に宿っている怨霊(?)骨美。ガランは鋭い目つき、こうもりに似た翼を背中から生やし豊かな赤い髪を後頭部で結わい、はだけた上着からは鍛えられた筋肉が覗いている。戦闘を専業としているガランに対し、ごく普通の生活を送っているキアラは何に対しても興味を抱きその勢いでどこかに行ってしまうということが多い。ガランが戦闘中にそんなことがあれば、ちょくちょくキアラの様子を見ながらというのを繰り返している。それはもちろん、大事な妹を守るためとはいえ、当の本人の口からは「過保護」だとばっさり言われてしまう。

 そんなキアラは兄の恰好を上から下までじろりと見てから大きな溜息を吐きながら、兄の腕をむんずと掴み、少し離れたところにある呉服屋で適当に見繕いってもらった。

「うん。その恰好なら恥ずかしくないわね」

「別にいいじゃねぇか」

「お兄がよくっても、周りの目というものがあるでしょ。そこらへん、もっと気を遣うべきだわ」

「そうよネェ。そこらへん、ダーリンはちょーっとだらしないというか……でもまぁ、その恰好も中々……じゅる」

「おい、なんだよ。そのじゅるってのは」

「ああ。いや、なんでもナイわよ。気にしない♡」

 やれやれと肩を竦め呉服屋を後にし、祭りの会場へ向かう途中でキアラがふいに口を開いた。

「ねぇねぇ。そういえば、このお祭りにレグスも来るのかな?」

「あ? 知らねぇ。っていうか、なんでレグスが出てくるんだよ」

 レグス。賞金ハンターとして有名な騎士であり、その腕っぷしは巨大な竜をも屠ると言われている。自信たっぷりに巨大な剣を振るう姿は敵味方問わず見惚れてしまうほどだとか。そして、そんなレグスから手ほどきを受けているのがこのガラン。まだ力量はレグスに遠く及ばないがそれなりに剣を振るい戦うことはできる。

「あぁ、レグスねぇ。あの男もいいわよねぇ」

「でしょでしょ! 骨美ちゃんわかるぅ?」

「わかるわヨ。あの腕っぷし、サイッコーよねぇ。はやくダーリンもあんな風にばっさばっさと敵をなぎ倒して欲しいワ♡」

「へいへい」

 ガランは日が傾き始めた空を仰ぎながら二人の会話を適当に受け流した。キアラと骨美はきゃっきゃと女子トークをしていると、途中からキアラの悲鳴が聞こえた。

「っ! キアラ!」

 はっとしたガランは声のする方へと向かうと、キアラと骨美の前に小鬼族のゴブリンがげへへと笑いながら立ちふさがっていた。

「キアラっ!」

「お兄っ!」

 ガランとキアラの距離はだいぶ離れており、ガランが全力で向かってもどうしても間に合わない。向かっている間にゴブリンたちはキアラたちに危害を加える可能性がある。ガランは大きく舌打ちをし、長時間キアラから目を離したことを後悔した。

「……こうなったら、乙女の力」

「……みせてやろうじゃああないのぉお!!」

 キアラはどこからともなく分厚い鉄の板のようなものを取り出し、骨美はくわっと目を見開いて向かってくるゴブリンたちに立ち向かった。

「やーー!」

「ナメんじゃあないわヨ!」


 パコォン


 心地よい音と共にゴブリンたちを吹き飛ばしたキアラは「やったー」と骨美と一緒に勝利を称えた。

「骨美ちゃん! やったわね!」

「ナイスショットだったわヨ♡」

「キアラ! 無事か!」

「あ、お兄。大丈夫大丈夫」

 手をひらひらさせながら答えたキアラ。特に目立った外傷がないことに安堵したガランは、その場に腰をどっかと落とした。

「はぁ~、よかった」

「もう。お兄ってば過保護というかなんというか……」

「それがダーリンのいいトコなのヨ♡ ついでにアタシのことも過保護にしてくれても……」

「いや、それはない。絶対」

「んっもう。ダーリンったら照れちゃってぇ。遠慮しなくってもいいのヨ~」

「だーもう! めんどくせぇえ!!」

「ほらほら。お兄、足止め食らっちゃったから急がないと」

「おい、勝手に行くな。はぐれちまうぞ」

 走り出したキアラを追いかけるガラン。今度こそ自分の力で妹を守ろうとガランは必死に追いかけた。そしてその姿を後ろをにんまりした骨美がゆっくりと追いかけていった。

「ダーリンったらぁ。キアラちゃんのことになると周りが見えなくなるんだから。ちょっと妬いちゃうワ」

 でもまぁ身内だから仕方ないかと呟いた骨美は、二人を見失う前にすいすいと宙を泳いだ。久しぶりに再会できた二人をこれ以上離れ離れにさせないよう、骨美自身の目的としながら。

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