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0歩目 プロローグ

警告


この物語は、主人公とねこ達が

現実世界でも可能な、ある「方法」により世界を征服するお話です。


安易に真似をすると、本当に世界を征服できてしまい大変危険です。

ご使用の際は自己責任で、必ずねこ指導の元おこなってください。


それでは――

ねこに世界を征服されても構わないという方のみ


このページをおめくりください。



きっと貴方を踏み付け…癒してくれる事でしょう。




――――――




2222年――ここは、ねこによって征服された世界。

人類が、ねこや他の動物達の下僕と成り果てた世界。


…ゴミと異臭に満ちた川を見たねこは言った。


「ゴミ共、ゴミ掃除の時間にゃ♪」


だが、人類は激しく抵抗した。


「はっ、誰がねこなんぞに従うか!」


しかし

ねこの放った次の一言で

人類は目の色を変えた。


「ゴミ一個に付き…これをくれてやるぅ、ごみぃ」


にくきゅうで、何か薄い紙のようなものを差し出した。

人類は、嬉々としてゴミを奪い合った。


「そいつぁ俺んだぁ!!」

「黙れ、俺が先に見つけたんだ!!」


どぶ川が清流になるのに、一日も掛からなかったという。

恐るべき人類の団結力であった。


…後日、その紙切れが無価値になるとも知らず。


こうして

人類はねこに膝を付いた。


にくきゅうや蹄の天敵である

硬く熱い道路や積み上げた都市も


「草が…生えないのだが?」


その一言で

自らの手と汗で

大草原やお花畑へと変貌させた。


ヤギが

んめぇ~

と、鳴いた。


…こうして、住居を差し出した人類は

ただ

空を見上げていた。


「わ~!ここ、雨も降らないし、あったか~い♪」


楽し気な声が

山肌の暗がりから響いた。


腹を見せて寝転ぶ黒ねこを

じっと

見た。


やがて山は削られ

穴は繋がり

地の内側に灯りが燈った。


その夜――

ねこ達は喉を鳴らし

人類は静かに眠った。


…その後も、ねこのきまぐれは、続いた。


「…蜜蜂さんが嫌がるから」


前足で、農薬をそっとマントルに落し


紙幣は「食えん」「暖か~♪」と焚火になり

軍事兵器は「うるさい」と砂を掛けられた。


…人類は、いつの間にか口ずさんでいた。



その一歩目は


一匹のねこと


少女だった――



――――――



愛されない


そんな世界なら……


いっそ



――2221年



…脳とAIが融合した時代

それが出来ない者は「脳無し」と呼ばれていた。



冬 とある港町の夜



煌びやかなネオンの灯りが

凍える街を色とりどりに染める中

「脳無し」である私は

裸足で唄う。


傷だらけの黒いねこ「月影」を抱き

誰も居ない凍える路上で声を響かせる。

日銭を稼ぐ為に…


最後の音が白い吐息と共に消え

月影に語り掛けた。


「人…全然居ないね…」


月影は口を動かさず、心に直接響く声で答えた。


(…そうだな。でも、今日は稼いだ方じゃないか)


缶の中には、僅か3枚の硬貨

冷たい金属を、手に乗せる。


「ねぇ、月影。お金って…なんなんだろうね」

(…どうした、急に。また哲学か?)

「うん、時々ね、思うんだ。何で、みんなそんなに欲しがるのかなって」


月影は赤い瞳を閉じた。


(…一般論だが、旨い物を食べたり

旅行したり、あっても邪魔にならない、安心にも繋がる。

そんな物なんじゃないのか?)


「それは、そう、なんだけどね……」



冷たいネオンの光が

私達を染めていく。



「世の中の嫌な事ってさ

ほとんどお金が原因なんじゃないかなって

思うんだ」


少し間を置き、ぽつりと


(…まあ、そういう見方もできるな)


月影は続けた。


(…戦争だって、表向きは“正義”だの“信念”だの言ってるが

突き詰めればただの金銭トラブルだ)


戦争が金銭トラブル?

予想の斜め上の回答に、思わず苦笑した。


「あはは、それは言い過ぎかもだけど…」

「でもね…」


月影と向き合い

首元の冷たい金属に指を這わせ


白い吐息を巻き上げた。


「私はね、月影と一緒なら、どんなとこでも幸せだよ?」


(…)


「どんなみすぼららしい家でも豪邸になるし

質素なご飯だって、ご馳走になる。

これってオカシイのかな?私が脳無しだから?」


(…)


「ねぇ…答えてよ、月影…」


しばらく沈黙した後、赤い瞳をゆっくりと開き


(…お前は、間違っていない)


どこか…苦しそうに続けた。


(…ただこの世界は、どうしようもなく汚れた者によって…支配されているのだ)


冷たいネオンから、楽し気な声が聞こえてくる。


「そう、なんだね。じゃあさ…もしもね…」


みゃぁ~


言いかけた私の足元に

一匹の痩せたねこがすり寄って来た。


膝を折り、その頭に手を添える。

ゴロゴロと喉を鳴らし、私の膝に小さなお尻を乗せた。

指先で、その喉に触れながら


「ねぇ、月影。もしも…この子が世界を征服したら…

どんな世界になるんだろう?」


(…それは、興味深いな)


白い吐息が、凍える空に溶けていった。


――きっと、みんな笑顔に…なれるよね――




ねこの世界征服









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