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ハズレ職業の料理人で始まった俺のVR冒険記、気づけば最強アタッカーに!  作者: グミ食べたい
第15章 タッグイベント編

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第269話 ルシフェルとショウ

 最強アタッカーの一角に数えられる俺とルシフェル、その二人が揃いも揃って1キルも取れずに負けてスタート位置に戻されるなんて、笑い話にもなりやしない。

 しかし、あのルシフェルがこうも簡単に倒されるなんて、相手は誰だ?


「……誰にやられたんだ?」


 デリカシーゼロの直球質問だったかもしれない。

 ルシフェルは顔を真っ赤にして俺を睨む。

 無言を貫くかと思いきや、意外にも素直に口を開いた。


「……ソルジャーとメイの二人だ」

「あの二人か……」


 納得の相手だった。

 ソルジャーもまた三人の最強アタッカーの一人。タイマンならともかく、試合巧者のメイがサポートについていたのなら負けるのも道理。


「そっちは誰にやられた?」


 俺が納得していると、当然のように同じ問いが返ってきた。

 ……そうだよな。

 だが、この質問は俺にとって非常に都合が悪い。


「……フィジェットとミコトさんだ」

「はぁ!? タンクとヒーラーのタッグ相手に遅れを取ったのか!?」


 切れ長のルシフェルの目が、大きく開かれた。

 ……だから言いたくなかったんだよ。

 でも、彼の言葉には間違いがある。それは訂正しておかねばならない。


「タンクとヒーラーじゃない。タンクとアタッカーだ」

「アタッカー……?」


 あの気迫のこもった顔で渾身の拳を打ち込んでくるミコトさんの姿を見れば、彼女が「アタッカー」であることを疑う者はいないだろう。だけど、ルシフェルは俺の言葉が理解できないようで首をかしげる。

 さっきのプレイ動画を見せてやりたいくらいだ。

 でも、ゲーム中に動画データをほかのプレイヤーに送る機能はないし、あったとしても制限時間のあるイベント中にやっている場合ではない。


「実は――」


 俺はさきほどの戦闘をかいつまんで説明した。


「……なるほど。新スキル『神降ろし』か。それは厄介だな」


 俺のつたない説明でも、ルシフェルはすぐに飲み込み、しかも疑うそぶりすら見せなかった。

 意外といい奴なのか? ……いや、そんなわけないか。

 だが今の俺のタッグパートナーはこの男だけだ。

 いい奴だろうが悪い奴だろうが、勝ちに行くなら協力するしかない。

 唇が妙に重かったが、気合で押し開けて言葉を投げた。


「……このイベントは、ソロで勝てるようなもんじゃない。タッグとしての総合力が試されている。お前が俺を嫌っているのは知っているが――ここは協力してくれ」


 俺は右手を差し出した。

 最初に差し出したときは直前で引っ込められたが、今度は引く気はない。

 こっちが折れなきゃ相手だって折れる……はずだ。

 ところが――ルシフェルの反応がおかしい。


「私が……嫌っている……!? な、なんだ、その話は……!?」


 なぜか動揺し、戸惑い、口の中でごにょごにょと独り言をつぶやき始める。


「確かに、『1stドラゴンスレイヤー』の称号を取られた時は……多少腹も立ったし、どんなプレイヤーなのか気になって動画も全部見たけど……べ、別にそれは好きとか嫌いとかじゃなくて……ただ……無性に気になるというか……見かけるとつい目で追ってしまうというか――」


 声は小さく、早口で、ほとんど聞き取れない。

 差し出した俺の手すら気づいておらず、右手は宙を泳ぐばかりだ。


 ――いやいやいや、どうした!?

 イベントは始まったばかりだが、のんびりしてる暇なんてないんだぞ!

 もう、待っていられなかった。

 俺は左手でルシフェルの右腕を掴み、そのまま強引に手を握りしめた。


「――――!?」


 繋がれた手を見た瞬間、ルシフェルの顔が一気に真っ赤になる。

 怒らせたかもしれない――が、ここで怯んだらダメだ。

 反撃される前に、俺が畳みかける!


「ルシフェル!」

「――はい!?」


 鋭い呼びかけに、彼の瞳が跳ねるように俺を見た。


「友達になれとは言わない」

「――――!? いきなりそれ以上の関係から……!?」

「好きとか嫌いとかは、今は忘れよう」

「好き……!? そ、それをこんな場で言われても……!?」


 さっきから何を言っているんだ、こいつは?

 だが、深く考えてる場合じゃない。こういうのは勢いが大事だ。

 よくわからないことをつぶやくルシフェルを無視して言葉を続ける。


「俺達は、このイベントで勝利を目指す『同志』だ!」

「同志……? ……ああ、そういうことか」


 ようやく意味が通じたらしく、ルシフェルはほっと息をついた。が――ほんのわずか、がっかりしたようにも見えた。


「ここからは二人でタッグとして動く。ネットじゃ、俺もお前も『最強アタッカー』と呼ばれてる男だ。その名に恥じないところ、見せてやろうぜ――俺とお前で!」

「……俺とお前」


 俺の言葉を繰り返すルシフェルの瞳が、一瞬だけ潤んだように見えた――うん、きっと気のせいだ。


「……わかった。お前の言う通りにしよう。……だが、できればあまり近づかないでくれ。その……調子が狂う」


 そう言ってルシフェルは顔をプイッとそむけた。

 「同志でも距離感は守ろう」という意味だろうか。潔癖症という線もあるが、まあ本人が調子が狂うと言うなら仕方ない。

 それに、近接の俺と遠距離魔法のルシフェルでは、もともと適正距離が違う。

 俺が前、ルシフェルが後ろ――そのフォーメーションこそ理想だ。


「わかった」


 俺が手を離し、少し距離を取ると、ルシフェルの顔色は落ち着いたように見えた。

 怒っているわけではなさそうだが……嫌いな相手に近づかれると緊張するタイプ、なのかもしれない。

 もしそうなら、ちょっと悪いことをしたかもしれないな。

 ――だが、とにかくこれで協力体制は整った。

 制限時間は三十分。まだ五分も経っていない。

 ここからが俺たちの反撃だ。


「ルシフェル、フィジェットはスターをもう持っている。今二人を倒せれば、スターも込みで3ポイントゲットだ。まずはミコトさんとフィジェットのタッグを狙いたい」

「二人へのリベンジ、というわけか。……だが、向こうはタンク&アタッカーのコンビだ。容易ではないぞ」


 確かに、あの二人は「タンク&ヒーラー」ではなく、「タンク&アタッカー」という強力なペアになってしまった。

 まともにやれば厄介極まりない。

 だけど――


「俺に策がある」


 俺はルシフェルに向き直り、作戦を説明し始めた。

 ミコトさん、ねーさん――さっきの借りは、すぐに返してやるからな!


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― 新着の感想 ―
あら……また無自覚にハーレム要員を増やしたのね(^^; これはオフ会が楽しみだねぇ。男だと思って会ったら見目麗しい女性だなんて。 ゲームで仲の良い人を集めたら全員女性でくまさんに白い目で見られて冷や汗…
ルシフェル、アバターは男だけど中の人は女性かな?
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