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不幸を着た男

芸能人ジャーナリストの俺は今日も今日とて、芸能人の不倫騒動を追っかけ回していた。

人の恋愛ごとに首を突っ込むのはいかがな話かとも思うが、世間が求めているのなら仕方がない。

某週刊誌との契約も無事に更新されたわけではあるし。

今話題の女性アイドル[フユカ]とのアポも取り付けており、あとは彼女から直接熱愛騒動を聞くだけだ。

他の企業をすべてキャンセルした[フユカ]が選んだのが、無名のジャーナリストの俺であった事が気がかりだが、選ばれたからにはしっかりやろうと意気込んでいたわけである。

 ・・・・・しかし当日になり[フユカ]が体調を崩したと彼女のマネージャーから連絡があった。


「出たな....不運。」


LI○Eの画面を睨みながら昼食のラーメンを乱暴に啜る。中華料理だけが傷ついた俺の救いだ。

週刊誌の担当さんに一報を入れる。優しい担当さんは仕方ないと言ってくれたが....、

[フユカ]のせいで俺の今月の給料は減った。

まぁ、向こうにブッチされたのだから俺が悪いことなんて一つも無いが、社会というものは生きづらいんだよ


「はぁ・・・・・。クソが。」


 水を流し込み。、背中を丸めたまま俺は会計を済ませた。レシートと共に渡された抽選券。

参加賞はポケットティッシュだったので、あると便利だな思って会場へと向かう。

仕事が無くなった今、せめてもの暇つぶしだったんだ。


カラン、カラン

「!!! おめでとうございます・・・!!」


 なんの、間違いだろう。参加賞のティッシュを貰う気満々であったのにガラガラを回して出てきたのは見慣れた白い玉…ではなく見たこともない金色の玉であった。

商店街のスタッフは満面の笑みでおめでとうございまーす!と声をかけてくる。


「ついに一等の上海旅行が当たりました~!」


 後ろに並んでいたおばちゃんからもおめでとうと言われたが、実感が湧かない。渡された旅行券は紙一枚なのにすごく重たく感じた。


 そして俺は速攻、母親と友人に連絡をした。二人ともひどく冷たい反応が返ってきて泣きそうだ。しばらくすると大学以来疎遠になりつつあった(とは言っても月一回の頻度で飲んでいる)茴から連絡がきた。



「もしもし、」

「本当に上海旅行行く気なの?」

「えっ急に何…」

「不運を着てるアンタが、たった一人で上海に行く気?」

「行くけど?アラサーになって生まれ変わったんだよ。ラッキーボーイと呼べ」

「馬鹿じゃないの。せめて同伴者居た方が良いんじゃない」

「茴。お前は俺を子供扱いし過ぎだ」


そう言って俺は着信を切った。

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