ジャニスジョプリン、史上初のロッククイーンに捧ぐうた
そのときたまたま
孤りの部屋ではなく
あたたかい人との部屋で
のほほんと
テレビをみていたんだ………
なんていうか
心まですっかりくつろいでいた
テレビコマーシャルで
流れた歌があった
ジャニスジョプリンの
『クライベイビー』
DIORの
CMだったけど
だから、
カッコいい
CMにみえたけど
私の心には
ちょっとだけさざ波が立っていた
ジャニスの歌って、
あまりに印象的すぎて
それ以外にも
なんどか
CMでみたことがあるけど
このまえ
ファンレターみたいな
オードリーヘップバーンさまへの想いを
一編の詩にしたことがあったけど
亡くなられて30年経ってなお
テレビコマーシャルに
出演されるなんて、
なんて、すごいこと、
とか、書いた憶えがあるけど。
ジャニスは、
1970年に死んだ
人類史上初の《ロッククイーン》だから
52年前に亡くなった歌姫の
歌声を
のほほんふたりの
愛の部屋で聴いたものだから
たまらない、よ。
切り裂く声なんだよ?
そして、
哀しい。
半世紀まえの歴史の話さ。
当時、
ブルースは、
黒人にしか歌えなかったんだ、
ほんとうに。
その、
苦しみや
哀しみや
切なさや
やるせなさや、
生きることの
辛い想いを
色が違うだけで
そう云う目でみられる
悲しみを、
詩にしたのが、
歌にしたのが、
その満たされないおもいを、
絞り出すように、
たたき切るように歌ったのが、
ブルースだったから。
ビリーホリデーって
女性歌手の
『きみょうな果実』って
あまりにも、
もの凄まじい歌が
あったりしたのが
ブルース。
白人なんかに
歌えるわけないと
黒人は想っていたし、
白人も、
それは歌えない歌だと
これっぽっちも
触れていなかった、
そういう時代。
奇跡みたいな。
ひとりの、
20過ぎのうら若き女性が
魂を切る歌声で
ブルースを模した
ロックンロールを歌ったものだから、
全米は、
震え慄いて、
彼女を
オーバーナイトセンセーショナル
な
ロッククイーンに
仕立てあげてしまったのさ。
その歌声が、こちら。
《ジャニスジョプリン、クライベイビー》
ま、YouTubeででも、聴いて、おくれよ。
そして
うら若きあたしは、
その
ジャニスの歌に、
真っ正直に、心を切り裂かれて
狂おしいほど
『普通は、イヤだ!』と、
ねがって
しまったんだ、
すべからく
彼女のファンと称する人たちが
そうであったように。
あたしは、
彼女が死んで
何十年ものち
彼女を知って
そう
想ったんだけど、ね。
《自由とは、なにも持たないことさ、》
と
歌って死んだジャニスの
クライベイビーって歌を
歌う声が
DIORのCMで
流れて
それも
いいかもね、と
妙に納得してしまってる
けっして
ジャニスになれなかった
じぶんと
向きあった。
それは、
もう、
なんか、
煌めいていた、
あるいは、
尖りまくっていた、
あの
青い春を
ただの
想い出として
語るしかない
現在を
生きている
あたしの
醜さなのかもしれない
なんて、
目の前の
いい人に尋ねるんだ、
ちょっと
伏せ目がちに。
あたし、
醜い?
───────────────────
バッカッ!
なに云ってんだ、もし
あなたが醜いと
わけわかんねーこと
云うヤツがいるんなら、
僕の目の前に
連れて来い、
てか、
僕がそいつのとこへゆく、
そして、
教えて、やんぜ。
世界を滅ぼしても
僕は
あなたを
全肯定する、
とうぜん
あなたには
その価値がある!
世界なんて、
カンケーねー。
世界なんて、
ぶち壊して、やんぜ?
なぁ、
だれだよ?
あなたのこと、
否定するヤツァ?
醜いなんて、
云うヤツァ?
醜いなんてヤツァ、
泣いても許さねー、
ぶち殺してやんぜ?
覚悟しな!
───────────────────
彼女も、
あたしにつられて
ジャニスジョプリン聴いてたもんだから
なんか変なモードに入っちゃって
ま、
愛を感じられて
嬉しかったり
するんだけど、ね?
けどね、
やっぱ、そうだよねー、
ネットの海とか
SNSとか、
いうけどねー、
あゝ、やっぱ、そうだよね、
ぜったい、そうだって!
ジャニスの歌声って、
問答無用に、
聴けば、
心に届くよねー。
あゝ、
なんて無様な生き方してんだと
27で死んだジャニスに
叱られそうで………