Gotcha!
秋葉原の量販店の前にカプセルトイ、巷で呼ばれるところのガチャの販売機がずらりと並んでいた。僕はひまを潰すような心持ちで端からひとつひとつを検分していった。
ガチャで販売されているもののほとんどは、人気のマンガやアニメのキャラクターグッズであったり、動物が滑稽な仕草をとっているフィギュアなどが占めていた。なかには家電製品のミニチュアのようなものがあったりとなかなか面白い。
大量に並んでいる販売機の半分ほどにくると、一台の奇妙な機械が目に入った。それは機械そのものは他のと変わりはなかったが、カプセルが納められている透明なケースの内側に無地の白い紙が中を隠すように貼られていた。本来ならばそこで販売されている商品の写真や煽り文が派手にプリントされた紙があるはず。不思議に思ってよくよく眺めてみると正面の右下に小さな明朝体で『親ガチャ』とあった。中に納められているはずのカプセルは見えない。他に機械に表示されているのは、コイン投入口付近の『100円』という文字だけだった。僕は財布から100円硬貨を取りだすと機械に入れた。
ダイヤルを回すとコトンという軽やかな音がした。カプセルを手に取り眺めてみたがごく普通のカプセルだった。抉るように開けると、中にはフワフワとしたハンカチに包まった赤ん坊が寝ていた。赤ん坊は突然その身を襲った明るさに不快な表情を浮かべながらゆっくりと目を開いた。そして僕と目が合うとさらに不快な表情になり、大きな伸びをした。
「あ~あ、はずれか」