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桃太郎じいさん

 

 あるところにお爺さんとお婆さんが住んでいました。お爺さんは山へ芝刈りに、お婆さんは川に洗濯に行きました。お婆さんが川で洗濯していると、それはそれはたいそう大きな桃が流れてきました。お婆さんはなんとか桃を引き上げるとお爺さんを呼びに行きました。


「なんとも立派な桃じゃのう」


 お爺さんは目を丸くして喜びました。お爺さんとお婆さんは桃を家に持ち帰ろうとしましたが重かったので、お爺さんが鉈を持って来て小さくすることにしました。ところがお爺さんが鉈を振っても桃は固くて割れません。何回か鉈を振ると桃が少しだけ欠けました。お爺さんはそれを拾って食べると力が沸いてきました。


「これなら桃を割れそうじゃ」


 お爺さんはそういって鉈を思いっきり振りました。すると桃は真っ二つに割れ、中から小さな男の子が出てきました。でもその子はお爺さんの鉈で真っ二つに割れて死んでいました。男の子の手には鬼が住む鬼が島への地図が握られていました。


「この子はお殿様の命を受けて鬼が島に向かっていたに違いない」


 お爺さんとお婆さんは怖くなって男の子と桃を隠しました。桃太郎が鬼を倒さずにいなくなったら、いずれ犯人探しが始まるだろうと考えたお爺さんは鬼が島に鬼退治に行く事にしました。



 お爺さんはお婆さんから日本一のきび団子をもらって旅にでました。お爺さんが村を出ると犬が近づいてきました。


「どこへ行くのですか?」

「鬼が島に鬼退治にいくんじゃ」

「きび団子をひとつ私にくださいな。そうすればお供しますよ」

「それは頼もしい」


 お爺さんは犬にきび団子を与えて一緒に鬼が島に行くことになりました。道を進んでいると、木から猿が降りてきて言いました。


「どこへ行くのですか?」

「鬼が島に鬼退治にいくんじゃ」

「きび団子をひとつ私にくださいな。そうすればお供しますよ」

「それは頼もしい」


 お爺さんは猿にきび団子をあげようとしました。しかし犬がそれを遮りました。


「この猿は私の不倶戴天の敵。共に行くわけにはまいりません」

「なんだと!」


 犬と猿は喧嘩を始めてしまいました。喧嘩はいつまでたっても終わらず、お爺さんは呆れて一人で行く事にしました。お爺さんが道を進んでいると、とても美しい羽をしたキジが飛んでいました。キジはお爺さんの前に下りて言いました。


「どこへ――」


 お爺さんはキジの話を聞かずに矢を射ると一撃で仕留めました。近くの村でキジを売ると、そのお金で沢山のお酒を買いました。



 それからお爺さんは酒を詰んだ船で鬼が島に向かいました。水面に映る自分を見て、お爺さんは自分がとても若くなっているのに気が付きました。お爺さんは桃を食べて若返ったのです。お爺さんはニヤリと笑いました。


 島にはとても大きな門がありました。


「たのもー。大鬼さまのためにお酒を持ってきました」


 お爺さんがそういうと門が開かれて歓迎され、その日は宴会になりました。お酒が大好きな大鬼はお爺さんを気に入り、二人は肩を並べて酒を飲みました。やがて大鬼が酔いつぶれるとお爺さんは隠し持っていた鉈を取りだして、大鬼の首をちょん切ってしまいました。


 それを見た小鬼は怖気づいて言いました。


「何でもしますので、どうか命だけはお助けを」


 お爺さんは言いました。


「何でもとな。ならば若く美しい女子(おなご)を連れてくるのじゃ」


 それを聞いて小鬼はすぐに出ていきました。



 数日後、小鬼が戻って来ました。


「お約束通りに若く美しい女子を連れてきました」


 小鬼は約束通りにしましたが、お爺さんは小鬼の首をちょん切ってしまいました。お爺さんは女子に近寄りました。女子は怖い顔をしながらお爺さんに声を掛けました。


「若くて美しい女子とはどういうことですか?お爺さん」


 なんとこの女子はお爺さんに隠れて桃を食べて若くなったお婆さんだったのです。それから、お爺さんは鬼の様に怖くなったお婆さんの尻に敷かれて幸せに暮らしましたさ。




 めでたしめでたし


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― 新着の感想 ―
[良い点] 鬼を退治したはずが鬼が新しく出ている(笑) 犬と猿役に立たない(笑) キジだけ活躍ですね [一言] 鬼退治に言って鬼を作ってどうするんだ(笑)
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