第2話 伸びしろ
さて。
どうにか五位の壁を越えた完全版。
こうなると、話は変わる。
もちろん、ユニークユーザー獲得という観点からすれば、より上位の方が有利だ。
特にハイファンタジー一位は、大抵日間総合ランキング五位以内に入ってる事が多く、そこからも読者の流入が見込めるからだ。
その上、その日は休日。
これは簡易版の時に感じていた事だが、休日というのは小説家になろうのトップページに表示されている「月間ランキング」、特に月間ランキングの上位五作品へのアクセスは増える。
まあ、体感です。
簡易版はお陰様で月間ランキング五位以内に入った。
そして、ランキングが下降したあとも「あれ、このランクにしては、いつもよりPV多いな」と感じる場合、それは土日祝といった休日だった、というだけで、詳細なデータはない。
もし、スマートフォンで見ている人は、ちょっとトップページへ飛んで頂きたい。
すると、機種にもよるだろうが、月間ランキング一位の作品はスクロールすることなく表示されていると思う。
そしてちょっとスクロールして、月間ランキングという文字が一番上に来ると、一画面にちょうど五作品が表示される、という機種が多いのではないだろうか。
これこそ、月間ランキングブーストだ。
私の場合も、「簡易版」が月間ランキング五位に入った時、明らかに休日のアクセスが増えた。
つまり、ユニークユーザー獲得の観点でいえば、上位層の方が有利。
だが、有利な点はある。
「未読の読者」
つまり、伸びしろである。
上位層というのは、その伸びしろが枯渇しかけている。
これは例えは良くないが、マルチ商法と同じで、まだ会員が少ないうちは新規会員たちが「ブックマーク」や「評価」を投げてくれる。
だが、読者は当たり前だが無限ではない。
どうしても、新規読者という「未評価、未ブクマ」の読者は減るのだ。
流行ったマルチの末端が飽和し、新規獲得が困難になるのに近い。
もちろん、その作品が持つ「器」というかキャパシティみたいなものがあるので、その作品がどこまで伸びるか、はわからない。
だが、基本的にポイント獲得が下がっているところに、章終わりなどで、あとがきでポイントを獲得するのは、最後のブースト。
それを使えば、その後は下降するしかない。
実際一位に返り咲いた作品も、その後数日で再び下降し始めた。
つまり表紙に載った時点で、いかにこの『伸びしろ』を温存できているか、ここが第二の戦いなのである。
いかに低ポイントで、五位の壁を抜けるか。
これは簡易版で体験した。
簡易版は、完結時点でのブックマークは37、累計ポイントは216ptと、伸びしろしかなかった。
それが完結時に「完結ブースト」で150ptでジャンル別ランキングへと入り、そこからあっという間に五位の壁を越え、二位へと躍り出た。
そして、1日の獲得pt6400という、タイミングが違えばジャンル別一位を取ってもおかしくないほどの評価を頂いた。
一方完全版は、グダグダし過ぎた。
完結と同時に簡易版ブーストをかけていれば、おそらく五位の壁はその時点で抜けただろう。
だが、そうしなかったのだから仕方ない。
あとの祭りだ。
では、せっかくの五位になった訳なので、自分にできる事は何か。
もう、正直ほとんど何もなかった。
だから私は、これまであまり見たことがない、『奇策』を打つことにした。
(続くかも)