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0か、1か  作者: Hysui
3/3

健康体

 生物は何も食べないと死んでしまう。当然人間も例外ではない。つまり朝から気分の良くない僕もなにか食べないといけない。

 一食ぐらい抜いてもいいかと考えたが母親の「絶対に飯は抜くな」の言葉を残しているのでこれに従うことにする。ちなみに母親は二週間出張中で、予定では明後日帰ってくることになっている。


 昼休み。僕は昼休み開始の鐘と同時に急いで食堂へ向かう。急ぐのは食堂のあまり多くない席がすぐに埋まってしまうからだ。

 食堂に着くと、僕はすぐに日替わりランチを注文した。体に優しいものが出てくるようにお祈りする。

「葉山くんだね。はいこれ」

 あゝ、無情。今日はフライ定食のようだ。僕にはまだ祈祷力が足りないというのか。しかし出されたものは食わねばならない。

 ……今なんで名前を呼ばれたんだ?まぁいいか。

 運良く食堂の隅に空席を見つけたのでそそくさと座る。

「いただきます」

 とはいったものの、まだこのフライ定食のことをよく見ていなかった。もしかしたら案外簡単に食べられるかもしれない。

 そして、僕の目に最初に止まったものは…

「エビフライ……」

 エビフライがデカい。蕎麦屋の海老天くらいデカい。それが二つもある。しかも他のフライもどれも同じようなサイズだ。なんだこれ。地獄か?

 「全部食ってやる……」

 僕はエビフライにかじりつく。熱々だ。美味い。気がつくと一本まるごと食べてしまっていた。毒を食らわばなんとやら。勢いで尻尾も食べる。

 次は何を食べようか。行儀悪く迷い箸をする。

「……うっぷ……」

 やはりエビフライを一気食いするのは良くなかったか。とりあえず味噌汁を飲んで落ち着こう。

 カラン、と下から音がした。箸を落とした音だった。箸を拾おうと身を屈める。が、そのままバランスを崩して床に倒れてしまった。

 「あえ……?」

 体に力が入らない。起き上がるどころか喋ることもまはまならない。

 「うぅ……」

 「おい、大丈夫か?」

 誰かに体を起こされる。しかし、返事もできずに頭もがくんと垂れ下がってしまう。

 「誰か!養護の先生呼んでこい!」

 誰かが誰かを呼ぶ声が聞こえる。そして、だんだん眠くなってくる。

 ……眠い。もうこのまま、寝てしまって、もいいんじゃ、ないか?


 僕の意識はそこで途切れた。

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