アレム村のスパイム
町についた。いや、村というべきだろうか。小さな村だ。畑が広がるいかにも田舎な感じだ。老後はこんなところで暮らしたい。そんなのどかな村というのが見た感じ。向こうには大きな山脈が広がっている。とりあえずカイは村に入ってみた。
「いや、でも、全然知らねえ所だし、言葉とか、通じんのか? 色々大丈夫か?まあ戦闘なら出来るが…」うーんと悩んでいた時、後ろから声をかけられた。
「君、外から来たの? 腹が減ってるなら、家で食べてく?」青年の言葉だった。だが、言葉が通じるのは良かった。生きる上では問題なさそうだ。しかし、腹も減ってるので、頂くことにした。
道中、カイは聞いた。
「俺は、カイ。アタッ…冒険、者だ。あなたの名前は?」
「俺は、スパイム。見たままの一人暮らし。まあ、この時期にここに来るって事は、お前も狙ってるんだろ? アルカイルの石。」
「アルカイルの石?なんだそれは」
「まさか、本当の遭難者か?お前? まあいい、アルカイルの石ってのはな…」
アルカイルの石。それは、ここアレム村の伝説の勇者、アルカイルが残した魔石らしい。それを使って剣を作ると何かが起こるとか、起こらないとか。そして、今年、この魔石を手に入れる者を戦いで決めるらしい。その戦いの名はアルカイルの戦い。既に多くの戦士達がこの村に来ているんだとか。
「まあ、伝説だけどよお、信じた方が面白えじゃん? カイも出るか? 俺は出るぜ」
俺の魔剣ジフリーチと新しい剣で二刀流、もしくは状況によって剣を変えるのもいいな…
「俺は強くなりたい。出るぜ。スパイム。俺も。」
俺たちは握手を交わした。まだなんもわからねえけど、スパイムに聞く所、王都アステラにはギルドもあるらしい。そのギルドメンバーもきているかもしれないそうだ。ここで話題性を作るのも悪くない。
とにかく生活基盤が出来てからじゃないと後のことは考えられない。まずは、安心した生活があってこそ異世界をじっくり見つめたいのだ。
まずは、この アルカイルの戦いで優勝する。
そして、王都に行こう。
異世界での目標が一つ決まったのだった