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「アースルーリンドの騎士」別記『幼い頃』  作者: 天野音色
第三章『三人の子供と騎士編』
29/115

9 剣士の器量

 ローフィスが剣を握るのを見て、アイリスがテテュスに視線を送り、目で止めた。

テテュスは剣を下げるアイリスを見、ローフィスに気づく。

ファントレイユも、打って来ないローランデがローフィスを見つめているのに気づく。


ローランデは剣を握るローフィスに、訊ねた。

「どっちと、やる?」

ローフィスは顔を、上げた。

「見本が、要るんだろう?」

ローランデは頷いた。


ギュンターは耐久力のある俊敏な男で、その一撃に晒されたら危険な男だったし、オーガスタスと来たらその大柄な体格を裏切って素晴らしくしなやかで、その腕の長さから彼が真剣を振ると、どれだけ間合いを空けても彼の射程内で、他の倍以上剣を入れて隙を狙わなければ、彼の懐には入れない。


ディングレーはいつでも真っ直ぐ相対し、それを外す事が困難な位に素早い。

そして、そのまま攻撃に転じてもよさそうなのに彼は来ない。

全く攻撃の様子を見せずにいきなりばっさり斬りかかる、定石外れの喰えない男だった。

アイリスはその舞踏のような優美さで踊るような剣運びをし、見とれると一瞬の隙も見逃さずに切って捨てるぞっとする男で…。

シェイルは一旦その気になると冷酷無比のハンターに成り、その短剣は容赦なく殺気を帯びて、頭、心臓、首筋を狙い、それを避けると燕のような素早さで懐に突っ込んで来る、勇敢な男だった。


そして…ローフィスは………。

ローランデの前に立つローフィスに、全然構えた所が無く普段通りで、ファントレイユとレイファスはテテュスの両脇に並び見つめて、呆けた。

ゼイブンとは真逆で、ローフィスは変わらない。

いつもの、とても軽やかに見える男ぶりでにこやかにローランデを見つめ、かかって来いと顎をしゃくる。

だが子供達がローランデを見ると、彼はとても真剣な表情を見せた。


「…つまり、あれが罠だ」

アイリスが静かに告げた。

テテュスが顔を上げる。


ローランデが、まるで隙だらけに見えるローフィスの様子をまだ、伺う。

シェイルは手を額に当て、吐息を吐き出した。

「…ゼイブンでさえ、おちゃらけじゃなかったのに…」

アイリスは苦笑した。

「だって、おちゃらけで油断させるのがローフィスの手だものな」

シェイルは呆れてアイリスを見つめた。

「…乗る、ローランデじゃないぜ?」

アイリスが、頷いた。


じっと見つめるレイファスの視線を受けて、シェイルがつぶやく。

「あれを参考にすると、性格が悪い奴に成るぜ」

テテュスもファントレイユもつい、思った。

だってローフィスはどう見ても、凄くいい奴だ…。


ローランデがとうとう、一瞬で間を詰め、そのままがっつり、迎え撃つローフィスと剣を重ねる。

燕のように後ろに飛び跳ね、ローランデは一旦下がるが続き、剣を振りかぶり、ローフィスにかかっていく。

全くの正攻法で、ローフィスはその剣も、受けた。

がっ!

かかっていくローランデのバランスは素晴らしく、どれだけ足場を変えても直ぐ、その体勢を持ち直し、皆はそのしなやかで流れるような動きに、見とれた。

がっ!

ローランデがローフィスを揺さぶるが、ローフィスはまだ奥の手を出して来ない。

ローランデの速度が、上がる。

がっ!がっ!がっ!

間合いを詰めると、その俊速で一気に三度、打ってかかる。

ローフィスは最初の一撃を剣合わせ止め、次の一撃をひょい!と頭傾け避け、直ぐ次の一撃を剣で叩き落とす。

がっ!

打ち込んだ後引き様、ローランデの脇に、短剣が見えない早さで飛び込む。

ローランデが血相変えてそれをはたき落とし、瞬間、落とした剣を慌てて引き上げた。

がっ!

ローフィスの剣が頭上から襲うのを何とか食い止め、ローフィスはそれを見てさっさと引いて間合いを取る。

にこやかに笑うと、続けるか?と問う顔を、した。


レイファスが呆けてつぶやく。

「…投げたとこ、全然見えなかった」

シェイルははーっと、息を吐いて顔を下げた。

「ああいうのが、大好きだ」

アイリスも頷く。

「絶対、飛んで来ないだろうと隙を付くのがだろ?」

シェイルは、うんうんと首を縦に、振った。


性格が悪い…と言うのを、テテュスとファントレイユは何となく、解った気が、した。

続きローランデが間合いを詰めて突っ込むと、ローフィスも同様に突っ込む。

両者、あんなに素早い男達があんな勢いで詰めたら、ぶつかるんじゃないかと思う勢いで、剣を構えて斬りかかるローランデの真正面に、ローフィスは明るい栗色の髪を散らして一気に間を詰めて入ると、直ぐその体を鮮やかに横に滑らす。

「…やられる…」

シェイルのつぶやき声に皆がどこ?と見た。

だってローフィスは剣を持ち上げず、下げたままだ。

が、ローランデは剣を携え、長い髪を跳ねながら横のローフィスに向き直り、一瞬で後ろに、跳ね飛んだ。


皆がどうして?と呆然と見るが、アイリスが唸った。

「…ローフィスが足を、掛けようとした」

テテュスもファントレイユもレイファスもが、あんぐり口を、開ける。


体勢を崩し様、ローランデは短剣を警戒したがローフィスは剣を横から、大振りする。

ざっ…!

跳ね飛んだ位置から更に後ろに、ローランデは体を泳がせて腹を掠める剣を避け、そして直ぐ剣を持ち上げて、心臓を急襲する短剣をはたき落とし、直ぐ、体勢を持ち直すと、ローフィスめがけてかかっていく。

短剣は飛ばないと判断した大胆な攻撃に、だがローフィスは投げた。

腹の真ん中で、ローランデは進む足を止めぬまま、左手で脇差しを半身抜いてそれを弾き、二度、三度と肩を振り剣筋を変えて、ローフィスめがけて突っ込んで行く。

「…さすが…」

その流れるようなしなやかさに、思わずシェイルが見とれて洩らす。

ローフィスは思い切り体を倒して突っ込み、突っ込むローランデの腹へと長剣を先に叩き込み、ローランデは左の脇差しで瞬時に剣を合わせ、外へと弾き様、右手の剣をローフィスの頭上から、一気に振り下ろす。

がローフィスはその剣が身を襲う前、更に速度を上げて突っ込み、ローランデに体当たって、剣を避ける。

がっ!


ローランデは肩で息をし、体当たった時抱きつくローフィスに、つぶやいた。

「…斬り合いだよな?」


オーガスタスは顔を手で被い、ギュンターは腕組みして顔を、下げた。

ディングレーに至っては、顔に当てた指の隙間から、対戦を見守っていた。


ローフィスはローランデの体から身を起こすと、深い空色の瞳を向けて屈託無く笑った。

「勝てないが、負けない戦法だ」

ローランデは深いため息を吐くと、握る剣を鞘に収める。

そして見つめる子供達に向くと、言った。

「…ローフィスは油断ならない。

オーガスタスもその射程が広いから迂闊に間合いに飛び込めないが、ローフィスは飛び込むと短剣か、足掛けが待ってる。

しかも左右両方。

終いに…これだ」

レイファスがそっと訊ねた。

「…抱きつき?」

ローランデはため息混じりに、頷いた。

「戦闘中に抱きつく奴が、居るか?」

アイリスもつぶやく。

「…しかも相手はローランデだ。

彼はどれだけ素早く剣を振ると思う?

余程の見切りの良さと判断力、それに勇気が無けりゃ、ローランデ相手に突っ込もうだなんて…ましてや抱きつくだなんて考える奴は居ない」

シェイルも唸った。

「絶対!真似するな。お前らがやったら、抱きつく前に一瞬で斬り殺されるぞ」


子供達は朗らかに笑う、ローフィスを思わず尊敬の眼差しで見つめた。

ローランデがローフィスを、軽く睨んで言った。

「手本にならない」

「こういう戦法もあると、覚えとくだけで十分だ」

シェイルが怒鳴った。

「あんな戦い方するのは、あんたぐらいだ!」

ローフィスは肩をすくめた。

その軽やかな男は微笑むと倍、爽やかな美男に見える。

「足掛けならギュンターがしょっ中やってるし、オーガスタスもだ。

オーガスタスの場合は悲惨だぞ。あいつ、足が長いからな。

離れて走ってたら突然転んで、上から剣を浴びせられるくらい、悲しい負け方は無い」


オーガスタスが鬣のような栗毛を頭毎揺らし、鳶色の瞳を向けて異論を唱えた。

「…その気で斬りかかって、いつの間にか短剣で腹を突かれてるのも最悪だぞ。

投げてるのが全然、見えないからな!お前は」

ローフィスはその大柄な友を見つめて笑った。

「お前に負ける方が絶対、悲しい。

無様ったら無いからな!」


ギュンターが、だれきってるゼイブンを見た。

「…関心が、全く無いようだな?」

ゼイブンは殆ど仰向けなくらい椅子に沈み込み、腹の上で両手を組みつぶやいた。

「ローフィスと一緒の仕事だと、俺は短剣を持たずに、済む」

ディングレーもオーガスタスも呆れきった。

だがゼイブンは続けて、ぼやいた。

「…でも上司のアイリスが意地悪だから、滅多に楽させて貰えない」


アイリスがぷんぷん怒った。

「お前が断るから、ローフィスの面倒な仕事が増えるんだ!」

ローフィスも呻いた。

「俺はお前の尻拭いなんだぜ?」

ゼイブンは二人に怒鳴った。

「出世させるような仕事を俺に割り振るからだ!

俺は平でそこらを蝶のようにひらひら飛んでいたいんだ!」

アイリスはがっくり、肩を落とした。

「…隊長にローフィス。顧問にゼイブンを押して私は後ろに、引っ込みたいのに…。

どうして私の部下は皆、出世欲が、無いんだ?!」

ゼイブンが手を、振り上げた。

「そりゃ、あんたが適任だ。

優雅なのに睨みはきくし、王族にも大貴族にも顔はきく。

上の覚えもめでたいし、肝も座って相手に侮られない。

あんたが居たら、周囲は自然にあんたに椅子を、譲っちまう」


今度はアイリスが、ぼやいた。

「ゼイブンに誉められても、ちっとも嬉しくない」

ローフィスは軽やかに笑った。

「だが顧問くらいなら出来るだろう?ゼイブン。

『神聖神殿隊』は美形だらけだぞ!」

ゼイブンがその一つ年上の男の軽口に、論外だと目を剥いた。

「男ばっかじゃないか!

第一、綺麗な顔して人外の者だ!

全うな会話にどれだけ苦労すると思ってる!

迂闊に接すると、心を読まれるんだぞ!

それに、神聖呪文だなんてあんな面倒なものを覚えるだなんて、持っての他だ!

そういうのは素晴らしく要領のいい、あんたの仕事だ!」


ローフィスとアイリスは顔を見合わせ、ローフィスが拳を顎に当て、おもむろにつぶやく。

「そういえば、監査長のポストが直空くな」

ゼイブンは慌てて両腕を振り、椅子からすっ飛んで身を起こし、ローフィスを指差して怒鳴った。

「絶対!俺に振るなよ!

野郎の尻追っかけて、どこが楽しい!」

オーガスタスもディングレーもが一瞬目を見交わすと、二人して大きなため息を、付いた。


アイリスが、ゼイブンをじっと、睨むように見た。

ローフィスが、自分より上背で普段は優雅そのものの二つ年下のその男の、切羽詰まった様子を目にし、静かにつぶやく。

「どっかに入っといた方が無難だぞ?

『神聖神殿隊』付き連隊長を押しつけられても、いいのか?

アイリスは少しでも長くテテュスと一緒に居たいから、どっかでキレたら絶対、俺かお前に回って来る」

間髪入れずにゼイブンが怒鳴る。

「間違いなくお前だろう!年も上だし、人望もある!」

ローフィスはマジに怒るゼイブンをじっと見、すかさず言った。

「だってお前、アイリスとは親戚じゃないか。

皆も納得する」

ゼイブンが、ぐうの音も出ずに思わず歯を剥く。


ファントレイユが心配げに見上げ、そっと尋ねた。

「セフィリアと…離婚する?」

ゼイブンはファントレイユを怒鳴りつけた。

「セフィリアと離婚しない!連隊長もごめんだ!」

ローランデが大きなため息を吐き、ゼイブンが気づいて訊ねる。

「…何だ?」

ローランデは髪に顔を埋めるように俯いたまま、つぶやく。

「息子の面倒さえ見る気の無い奴に、役職を迫るなんて…」

シェイルも思い切り、頷いた。

「問題外だ」



 夕食の席で、思い出したようにギュンターが、ディングレーにささやいた。

「ローフィスとの仲を、ファントレイユの母親に疑われた事、そんなに打撃なのか?」

ローフィスはそれを耳に途端顔を上げ様、バラしたな。とシェイルを睨む。

シェイルは肩をすくめた。

「口が、滑った」

ディングレーがギュンターを、見た。

「お前、オーガスタスとそういう仲でお前が女役をしてるんだろうと言われたら、どうする!」

ギュンターはすかさず、応えた。

「俺が男役だと、言う迄さ」

オーガスタスが、スープをぶっ!と吹き出した。

ローフィスも訊ねる。

「否定、しないのか?」

ゼイブンが言った。

「無駄だろう…。俺だって最初セフィリアに、アイリスの仕事仲間だからきっちり、奴と寝室で過ごしてるんだろうと、疑われた」

皆が何げにそう言い、スープを掬ったスプーンを口に運ぶゼイブンを、凝視した。


ディングレーが、思わず訊ねる。

「…それで、どうした?」

ゼイブンは妻、セフィリアに翻弄される黒髪の大貴族の、男らしい顔が真剣そのものなのに、肩をすくめた。

「美人の言う事だぜ?

疑惑は疑惑でしか無く、事実じゃないから、自分が俺と付き合って確かめて見ろと言ってやった」


皆が一斉に、感心したような吐息を、吐いた。

が、ローフィスがつぶやく。

「忘れるな。結婚後は寝室から、閉め出されてるんだぞ」

皆が、そうだった。と我に帰る。

ゼイブンがそう言うローフィスを、しっかり睨んだ。


ファントレイユがつい、隣でスープを口に運ぶレイファスにつぶやく。

「寝室に入る事が、重要なんだ」

レイファスは解ってないファントレイユにつぶやき返す。

「君はいつも、入れてもらえる?」

だがファントレイユはゼイブンに遠慮するようにチラ…と見、そっと、頷いた。

オーガスタスとローフィスが、ため息を吐く。

ゼイブンが、喧嘩越しに言った。

「…何だ!」

ディングレーがぼやく。

「子供に気遣わせるなんてな」

ゼイブンは乱暴に皿の底にスプーンを、音を立てて当て、ファントレイユに向くと静かに怒鳴る。

「だがお前はセフィリアに頼まれても、寝室は嫌なんだろう?」

ファントレイユはそっとゼイブンを見上げてささやく。

「だって僕もう赤ちゃんじゃないし…。

熱だって出ないのに、一緒に寝たりしたら恥ずかしいじゃないか…。

でもゼイブンは一緒がいいんだよね?

どうして…恥ずかしく無いの?」


皆がつい、知識の無いファントレイユを凝視したが、ゼイブンは怒鳴った。

「夫婦だと、恥ずかしく無いんだ!」

「…ゼイブンが、赤ちゃんみたいでも?」

ファントレイユの言葉に皆が思わず想像してクスクス笑う。

ゼイブンが口を開こうとし、テテュスに先を超された。

「大人はする事があるから。赤ちゃんみたいにならないんだ」

「する事?」

ファントレイユの素朴な質問に、大人達は一斉に、誰がフォローするか、顔を見回しあった。

が、レイファスが果敢に口を開く。

「だって君、男の子の印が付いてるだろう?」

皆がこの場の食事中にレイファスが始めるのかと、顔を下げた。


ファントレイユが、頷く。

「君のは出てて、女の子のは引っ込んでる。

合うように、なってるって知ってる?」

ファントレイユは首を横に、振った。

「…つまり僕のを…女の子に入れるの?」

レイファスは頷く。

「そうすると、男の子の中の液が女の子の中に入って、混じるとそこから子供が産まれる。

僕に兄弟が出来ないのはアリシャがもう子供を産まない方がいいくらい体が弱いからだけど、君に出来ないのは、ゼイブンがセフィリアの寝室から閉め出されてて、子供を作る作業が、出来ないからだ」


ファントレイユが、不安そうにゼイブンを見上げた。

「…でも僕ちゃんと、ゼイブンが帰って来た時セフィリアの寝室に入るの、断ってるよね?」

ゼイブンは素っ気なく言った。

「安心しろ。弟か妹が出来ないのはお前のせいじゃ、ない」

ファントレイユが心から、ほっとした。

そしてゼイブンに瞳を向ける。

「寝室じゃないと、駄目なの?」

ゼイブンは息子を見て、がなった。

「俺だって寝室にこだわる気は無いが、セフィリアが不潔な所でしたいと思うか?」

ファントレイユは、頷いた。

「じゃ、本当は寝室以外でも、子供は作れる?」

ゼイブンはファントレイユを、見た。

「別に潔癖性で無くても、身分の高い品のいい相手は、馬小屋だとか納屋だとか、草の上でしたいとは言わないもんだ。覚えとけ!」

ファントレイユは頷き、尋ねる。

「農家の女将さんは、平気?」

ゼイブンは頷く。

「じゃ、あの時、レイファスと僕が居なかったらあの納屋で子作り、した?」

皆の、食事の手が、一斉に止まる。


ゼイブンはファントレイユをじっ、と見た。

「…俺だってお前に兄弟をくれてやりたいが、セフィリア以外で子供を作ったりしたら、離婚だ。

ちゃんと、子供が出来ない方法がある」

ファントレイユはゼイブンを、見た。

皆が見守る中、ファントレイユの口が再び開き、更に、この会話が続くと、全員が覚悟を、決めた。

「だって、子造りする為に、するんじゃないの?」

「ファントレイユ。お前全然、自分の触って無いのか?」

ファントレイユは意味が、解らないように首を横に、振った。

「だってしょっ中触ってる」

「…そういうんじゃ、無い。

年頃に成ると、しょんべんの他に、溜まってくるもんがある。

男は出さないといけないが、出す場所が女性の中だと、最高に気持ちいい」


皆がひたすら下を向き、食事を掻き込み始める。

ファントレイユはレイファスを、見た。

レイファスもテテュスもついファントレイユと一緒に、ゼイブンの講義を、聞いていた。

「…それってレイファスが言ってた、年頃の男の、体の構造の事?

でも…女性は?気持ちいいの?

子供が出来ないのに?」


ゼイブンはファントレイユを、じっ、と見た。

「ファントレイユ。覚えとけ。それは男の力量だ。

剣と同じで、上手いヘタがある。

ヘタな男にされたら女性は二度と嫌だと思うし、上手ければ子供迄欲しくて、一緒にしようと何度も誘って来るように成る。

いいか。俺はそれなりにいい男だが、そっちが下手くそだといくら美男でも女に相手に、されないぞ?」


レイファスがつい、聞いた。

「じゃ、あの人さらいが、ゼイブンがヘタだと言ったから、もの凄く怒って斬り殺したんだね?」

皆が一斉に顔を上げて、ゼイブンを見た。

ゼイブンは額に手を付けて、俯く。

「…レイファス。男にとって、ヘタと言われるのは、致命的だ」


「でも相手の女に言われたんじゃ、無いんだろう?」

アイリスに聞かれ、レイファスが言った。

「相手の女がそう言ったと、人さらいが言った」

ローフィスもやれやれと肩をすくめた。

「どうせ、嘘だろう?」

ディングレーが大きなため息を吐き、オーガスタスがつぶやく。

「…それで斬り殺すか?普通」

ゼイブンも顔を上げた。

「だろう?俺に剣を抜かせたのが、あいつの最大の誤算だ。

せめて抜く前に言ってりゃ、俺だって殴ってお終いにした」

ゼイブンのその開き直りに、食べ物が喉に詰まる音が、そこら中で、した。


ゼイブンはフォークで肉を突くと持ち上げ、つぶやく。

「アイリスやローフィスなら、きっちり言い返して相手の考えを変えさせたろうな。

俺も別の事ならせもう少し、分別がある」

「…本当か?」

ローフィスの問いにゼイブンは憮然と、答えた。

「確かだ」


「上手なのが、大事?」

また、あちこちでファントレイユの質問が始まったと、喉の詰まる音がする。

ゼイブンはジロリとファントレイユを、見た。

テテュスがつい、聞いた。

「どんなのが、上手?」

ぶっ!と吹く音がし、それがアイリスだと解ると、ゼイブンは驚愕した。

「…あんたがテテュスに色々教えたんだろう?」

アイリスは必死で水を喉に流し込むと、言った。

「私じゃない。ローフィスだ…。テテュスに知識がある事すら、知らなかった」

テテュスはアイリスを見つめた。

「ディングレーだよ。だって女の人に誘われたのに、断ってたから、どうして?って聞いた」

ゼイブンは肩を揺らした。

「彼は大貴族だからな。そこらの女には見向きもしないだろう?」

テテュスがつぶやく。

「そうじゃなくて、何で、誘うのかって。

普通は男の人が誘うのに。

そしたら、ローフィスはディングレーは凄く男らしいから、腕に抱かれたりしたらきっとうっとりなるからだって。

で、僕が、それ位はどうしてしてあげないの?って聞いたら…」

アイリスが、思わず、乗り出した。

「聞いたら?」

ディングレーが、ごほんごほんと、合図を送る。

テテュスが、気づいて俯く。

アイリスはディングレーを睨むと更に乗り出した。

「大丈夫だ。ディングレーとは私が後で、話を付けるから」

「…つまり…さっき、レイファスが言ったような事を教えてくれた。

男にとっては…相手もだけど、楽しい事で…でも慎重にならないと、子供が出来たりしたら、結婚しなくちゃならなくて、とんでも無い女性を連れて帰ると、アイリスが凄く困るから、楽しんで誰とでもすればいいもんじゃ、無いって」


ディングレーが、アイリスをじろりと見てつぶやく。

「全うだろう?」

アイリスは、ほっとした様子を見せた。

「でもゼイブンは上手で、子供が出来ないやり方を、してるんだよね?」

テテュスの瞳がきらきらし、それが、とても知りたい様子を見せたし、ファントレイユもレイファスも興味津々だった。

三人がゼイブンを一心に見つめ、皆が自分に回って来ない様子に、安堵した。

「…テテュス。凄く、知りたいようだが、剣の極意を口で聞かされて解るか?

そっちも同じで、実地でしなきゃ解らない」

テテュスは、そうか…。と俯き、また煌めく瞳をして、顔を上げた。

「テテュス。俺はファントレイユだろうが、野郎に実地で教えるのはごめんだ。

幸い、お前の親父のアイリスは野郎だろうが平気だし、美男で腕が立って、身分が高い上に、あっちの方もそれは上手いと女達に評判の、腹の立つ男だから、もう少し大きくなったら実地で習えるぞ!」

アイリスが途端、怒鳴った。

「相変わらず、人に押しつけるのが得意だな!」

ローフィスが、吐息を吐いた。

「でもテテュスにせがまれたら、教えるだろう?」

アイリスはテテュスのきらきらした瞳を、見た。

「…そりゃ……断れる、訳が無い……」

ゼイブンが、そら見ろと、白い瞳で見、子供達は皆、いざとなったらアイリスを頼ればいいと、納得して頷き合ったりしたから、皆が大丈夫かと、アイリスを伺った。


やっと会話が終了したと思った矢先、ファントレイユが皆のふいを、付いた。

「ギュンターはローランデがとても、好きなんだよね?

男の人相手って、どうするの?」


そこら中で、咽せ返る音がし、ローランデはギュンターをそっと伺った。

ギュンターは顔色も変えず、ファントレイユに問い返した。

「お前、男としたいか?」

ファントレイユは、ふ…と、隣のレイファスとテテュスを見、首を横に振った。

「じゃ、したくなる迄とっとけ。第一近衛に進んだら、嫌でも解る」

ファントレイユはギュンターを見たが、彼はそれ以上話す気が無いのを知って、大人しく頷いた。


レイファスがそっとファントレイユに言った。

「アイリスなら、知ってるしいつかきっと、教えてくれる」

ファントレイユも、そうだね。と笑った。

漏れ聞いたアイリスが思わず顔を下げ、ディングレーに釘を刺された。

「…俺は絶対宛にするな」



 食後酒をたしなむ為に、皆が部屋を居間に移した。

ぞろぞろと進む中、シェイルがローフィスの横に付く隙を狙って、ギュンターがローランデの横に滑り込むと彼の耳元でささやいた。

「お前、子供の講習を任された、責任者だろう?

子供達も知りたいようだから、そっちも目の前でしてやったら、一発で解るぞ」

バシン!

全員が、その音に振り向く。

ギュンターの頬に真っ赤な手形が残り、ローランデがぷんぷん怒って、シェイルの横に歩き去った。


オーガスタスが、額に手を添えながら首を横に振ってギュンターの後ろからささやく。

「お前、最悪の馬鹿だな」

ゼイブンも唸った。

「あれで垂らしで評判だなんて、信じられないぜ!

俺だってもう少しマシな口説き文句が言える」

隣でディングレーが肩をすくめ、ローフィスが振り向く。

「ギュンターは放っといても相手の方から寄って来るから、巧みな口説き文句を知らなくても仕方無いだろう?」

ゼイブンが、その金髪の美貌の頬を腫らした男を睨んだ。

「自分からは、口説いた事が無いのか?

ムカつく野郎だぜ」

アイリスがすかさず言った。

「さっき思わず本音が聞けたな。ゼイブン。

美男で身分が高い、腹の立つ男なんだろう?私は」

そう横で冷たく微笑むアイリスを、真顔でゼイブンは見た。

自分より背が高く、そのしっかりした体格は優雅に見えても、押し出し十分だった。

ゼイブンは肩をすくめた。

「…嫉妬で睨まれるくらい、自分はいい男なんだと思えないのか?

俺はあんたやギュンターにライバル視されたら、例え睨まれようが、気分がいいぜ」

ディングレーが思わず口を開いた。

「…だがあんたの本命はセフィリアだろう?

誰もライバルは現れないから、安心しろ」

その言葉につい、アイリスもローフィスも肩を揺らして笑った。


子供達の視線を感じて、ローランデが思わず振り返る。

きらきらした瞳が六つ瞳に飛び込んで来たが、静かに言った。

「そういう見本は見せない。

ギュンターのする事は悪影響しか与えないから。

アイリスか、ゼイブン辺りだったらきっと参考になるから、機会があったら彼らに見せてもらいなさい」


いつも優しいローランデに、もの凄く、迫力のある様子でそう言われ、子供達はびっくりした。

つい、ファントレイユは隣に居るゼイブンを見上げた。

「ギュンターは、ヘタなの?」

ゼイブンはぎょっとした。

「ファントレイユ。大人の男に迂闊にヘタと言ったら喧嘩を売ってるも同然だと、解らないのか?」


こっそり、ゼイブンとファントレイユはギュンターを、見る。

が、ギュンターは肩をすくめた。

「ヘタかどうか、見せてやりたいがローランデが同意しない」

ローランデは、召使いから酒の入ったグラスを受け取り様、さっとギュンターに振り向き怒鳴る。

「当たり前だ!」

ギュンターはその剣幕に、肩をすくめた。

オーガスタスがファントレイユにそっとささやく。

「ギュンターの関心事は今、ローランデだけだから何を言おうが気に止めない。

だがゼイブンの言った事はまんざら、嘘じゃない。

相手に寄っては…ゼイブンみたいにこだわる奴だと、斬り殺されるぞ」

ファントレイユはオーガスタスを、見た。

「オーガスタスは、怒らない?」

オーガスタスはファントレイユを見つめて、親しみ易い笑顔で笑った。

「俺はした相手の女に言われない限り、信じない」

ファントレイユも、レイファスもテテュスも頷いた。


皆がやっとグラスを受け取り、それぞれソファに掛けてくつろぐが、子供達がその関心事から心が離れていないのに、気づく。

レイファスが、そっと訊ねた。

「…ギュンターがヘタだから、ローランデが嫌がってるんじゃ、無いよね?」

それは小声だったが、爆薬が投じられたように皆が感じて、固まった。

シェイルが憮然として言った。

「さっきゼイブンが言ったろう?

育ちのいい奴は寝室を好むが、ギュンターと来たら、発情した豹みたいにどこでもやりたがるから、育ちのいいローランデは嫌がってる」

ファントレイユがゼイブンに訊ねた。

「納屋でしたいってゼイブンがセフィリアに言ったら、ひっぱたかれる?」

ゼイブンは横の小さな息子を見た。

「…夕食の席で俺が口をきいてもらえないのを、見てるだろう?

あれが何のせいだと思ってた?」


テテュスが顔を、上げた。

「口を…きいてもらえないの?」

レイファスがつい、ゼイブンを見た。

「でもそれ位、どってこと無いんでしょう?」

ゼイブンはレイファスの顔を、まじまじと見た。

「お前も惚れた相手が出来れば解るが、無視されると心底心が、凍るぞ」

「………ゼイブンでも?」

テテュスがきくと、ゼイブンは神妙に頷いた。


ファントレイユが、そんなゼイブンを見つめて訊ねた。

「…どうして寝室の他じゃ、嫌なのかな?」

続いての投下だ。と、皆が下を向く。

が、ゼイブンが素っ気なく言った。

「そりゃ…服を脱ぐからさ」

「…でも、草の上で裸だと気持ちいいと思う」

ファントレイユがゼイブンを見上げる。

「自分から進んで脱ぐからだろう?

お前は気分じゃないのに、俺に無理矢理脱がされたらどう思う?」

ファントレイユが、あどけない顔をゼイブンに向けた。

「ゼイブンなら、平気」

大人達は全員、ゼイブンを見つめたが、ゼイブンは頬杖付いて考え込んだ。

「…だって以前餓鬼と喧嘩した時、お前服を、脱がされたんだろう?」

ファントレイユの眉が、凄く、寄った。

「あれは凄く、嫌だった」

アイリスが呆けて訊ねた。

「近頃の苛めは、服を脱がすのかい?」

レイファスが、返答した。

「…ファントレイユが女の子みたいだから。

本当に男かどうか、確かめたがってた」

全員が一斉に、ため息を付いた。


ファントレイユが必死な顔を、ギュンターに向けた。

「ギュンターは子供の頃、された?」

ギュンターは吐息を吐くと、つぶやく。

「その前に相手を、殴り倒してる」

そうだろうと、皆が頷く。

が今度はファントレイユはテテュスに顔を、向けた。

「テテュスは?」

テテュスはびっくりして、顔を横に振った。

「一度もない」

ファントレイユが途端、がっかりする。

そしてレイファスに振り向くが、レイファスはそれを見て口を開く。

「僕はだってその前に、逃げ出してる」

ファントレイユが、いきなり叫んだ。

「あんなに乱暴だなんて、思わなかった!

側に君だってセフィリアだって居るのに!」

レイファスがそっと、言った。

「でも、離れていたし、僕らからは見えないし、全然近くじゃなかった」

ファントレイユもそっと、訊ねた。

「レイファス。それ、僕の事大間抜けだと、思ってる?」

皆がつい、レイファスを見つめるが、レイファスは肩をすくめた。

「だって君、相手が乱暴するだなんて全然、警戒もしてないし。僕だって安心な相手だと思ってる人にいきなり乱暴されたら、びっくりして抵抗出来ない」


テテュスが気遣うように、つぶやく。

「ファントレイユはとても気持ちが素直だから。

そんな事するなんて思わなくて、心がショックだったんじゃない?」

ファントレイユは大人しく、首を横に振った。

「それもあるけれど。凄く、不快な体験だった」

ローランデが心配そうに訊ねる。

「ひどくされたの?」

ファントレイユはまた、首を横に振った。

「一度目はレイファスが飛んで来てくれて、大人達を呼んでくれた」

シェイルが驚いて聞く。

「二度目が、あるのか?」

ゼイブンが、唸った。

「お前が、ぶっ飛ばした時か?」

レイファスが、頷いた。

シェイルとローランデが、ゼイブンを見て声を揃えた。

「ぶっ飛ばしたのか?」

レイファスが、思い出すようにつぶやく。

「自分より体の大きい三人に囲まれたのに、一人は蹴って、もう一人も蹴って、残った一人に殴りかかって相手を泣かせた。

僕今でもぞっとするけど。

大人に取り押さえられても、まだ相手を、睨んでた」


一同が一斉に、ゼイブンを見た。

オーガスタスがつぶやく。

「…キレたんだな?」

レイファスが、頷く。

ディングレーもため息を吐いた。

「ギュンターに喧嘩を売る筈だ」


ゼイブンは見つめるアイリスに訊ねた。

「やっぱり、俺譲りか?」

アイリスはたっぷり頷いた。

だがファントレイユは顔を、上げた。

「でも奴らは僕と子造りしたくて、したんじゃなくて、男かどうか、確かめたくてしたんだよ?」

ファントレイユの問いが元に戻り、全員がゼイブンに、何とかしろと、視線を送った。


 

だがそれぞれが会話を始め、ゼイブンがファントレイユの前に向いた時、ファントレイユはそっ、とゼイブンの左手を取った。

「…うんと、訓練した?」

ゼイブンは小さな息子に頷いた。

「暇が、あればな」

「ローランデが、いっぱい訓練しないとあんな風に成れないって」

「俺は殺された奴を、見てるからな。

あんな様に成りたくなかったら、訓練を積むしか無い。

だがお前は、見て無いだろう?」

ゼイブンのブルー・グレーの瞳が、伺うようで、ファントレイユは訊ねた。

「やっぱり、騎士にしたく無い?」

「アイリスも、同様だろう?

餓鬼を自分より早く亡くしたいと思う親は、いない。

ファントレイユ。お前は解って無いが、俺は不器用で…。だがお前は、可愛い」

ファントレイユがじっ、とゼイブンを、見た。

「ゼイブンが僕の事、ちゃんと好きだって解ってる」

ゼイブンは、頷いた。

「いい女の見分け方なら、幾らでも教えてやる」

レイファスはテテュスと話してたけどつい、口を挟んだ。

「…でも、捕まえたのはセフィリアだろ?」

ローフィスもアイリスも、苦笑する。

「セフィリアはいい女だし第一…惚れちまったら、関係無い。

ギュンターを見ろ。

在学中、マジ惚れだと解ったから、とんでもないのに惚れたもんだと感心した」

「いざ、自分がそうなったら?」

アイリスに聞かれ、ゼイブンは俯いた。

「こっちが惚れて、相手が応えてくれたら天国だ。

俺は子供も、授かったしな」

ギュンターが、睨んだ。

「俺よりうんと、マシか?」

ゼイブンは肩をすくめた。

「茨の道でもめげないお前に、心底脱帽してる。

俺にはそんな根性は、無い」

ギュンターは吐息を吐いた。

「お前に根性があると誉められてもな」

アイリスが、相づちを打った。

「嬉しく、無いだろう?」

ギュンターが頷き、ディングレーがつぶやく。

「だがアイリスよりはマシだ。

アイリスが今一番気にしてるのはテテュスで、テテュスと来たら天然で、アイリスを袖にしまくってる。

あんなにみっとも無く誰かの関心を必死で引こうとするアイリスを初めて見たし、周囲も構わず余裕を無くす様もだ」

アイリスは吐息を吐いた。

「どれだけみっとも無くても、テテュスが元気で私より長生きしてくれたら、それでいい」

テテュスは途端にアイリスの横に掛け寄り、彼の衣服を掴むと包むように受け容れる、アイリスの両腕にくるまれた。

テテュスはアイリスの胸に抱かれて、叫んだ。

「私は置いていったりしないから!

ちゃんと、アイリスに負けない剣豪に成って、敵に勝って生き残る!」

アイリスは微笑むと、そっと、彼を見つめた。

「約束だ」


「第一、そんな事ローランデが許さない。

あの厳しさを、見てるだろう?」

シェイルが言い、皆が、笑った。



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