僕のすべてが解放された世界!「メルアカ王国]編第6話
「あっ おはよう」
僕にかけられた言葉は暖かく優しい声だった。
おはよ。と言いかけたが口を閉ざした。
話そうとした瞬間自分の行動に後ろめたさを感じたからだ。
あのとき僕は彼女を見捨てたんだ。見殺しにしたんだ。僕が臆病だから。だから彼女とは話せない。
しばらく間が開き。
あれ。なんで今目の前に彼女が居るんだ。との現実に気付き、起き上がり
「おはよう」
と言葉を返した。すると彼女はにっこりと笑ってハグを求めてきた。
その表情は照れくさくて、けれど悔しそうだった。
ただ嫌がってはいない。彼女の行動を見て直感した。
理由は今居る場所が自分が隠れていた建物と違うこと。そして、体感湿度が高かったことだ。
おそらくずっとあの体勢で見守ってくれたのだと思ったからだ。
ただ疑問はこれほど至近距離でいながらなぜ殺さないのか。そして、なぜ彼女は僕に好意を抱いているのか
との事だ。
「早くいなさいよ」
そう言い放ち抱きしめられた。
「えっ。」
驚いて思わず声を上げてしまった。異性の人物に抱きしめられたのは初めてだったので思わず声が出た。
抱きしめられたのは5秒ほどだったが昇天しそうになりかける程幸せに感じた。
抱き終えると心の底から恥ずかしくなりボーーっと思考が停止した。
その状況を見て彼女はおかしく思ったのか
「どういたのゼロくん様子がおかしいよ。」と、言われた。
「顔赤くなってるし。おろおろしているし。」
「えっ、僕そんなにおかしかった。すいません。でも男の純情はこんな感じだと思うけどな。」
と話すと、
「やっぱり変だよ、ゼロくんらしくないないよ。元に戻ってよ。」
ありのままの自分が否定され、しらない人物の名を呼ばれ、僕という存在を否定された。
先ほどまでの感情が変化しこの女にイライラしてきた。
どう対処すればいいのかわからずこのもやもや感から解放されたいと思い
もうわからないからどこかに行ってくれと言葉が出そうになった時、
これで、お願いっ「ピリッドゼネレーション」との言葉が聞こえ頭の中に映像が入ってきた。
現在より2時間程前
そこには3人の人物に囲まれている自分が居た。
男2人と女1人に。
「さぁ、いい加減諦めなさい。さっき戦ってわかったでしょうあなた一人では絶対に私に勝てないって」
勝ち誇ったように女は話した。
「ここは個の世界。自分のことしか考えられない奴しかいないのよ。ここには自分を守ってくれる奴なんて
いやしない。自分を守れるのは自分だけなんだよ。」と、言い放ち
「やれっ」と、男達に命令した。
動こうとしたが体が動かない。体が疲弊しきっている。よく見ると体が傷だらけだ。
男達の気配が近づいてくる。
殺れた
と、そのときバタバタと、人が倒れる音がした。
えっ、なんだ、何が起きたんだ。
状況を確認すべく目を開けると大きな男がいた。
隣には僕を襲ってきた男が倒れている。
この人が助けてくれたのか。と思い再び大きな男を見るとあることに気づいた。
そこに立っていたのは僕自身だった。
「大丈夫かいお嬢ちゃん。」
僕だ。目の前に立っているのは紛れもなく僕自身だった。驚いた、僕にこれほど似ている人物が居るなんて
今起きている事態に僕の理解度が対応しかねていると、口が僕の意思に関係なく動き、
「助けて」と、発した。
この声によって理解した。この声は彼女の声だ。つまりこの体は彼女ので今起きているのは彼女の
スチィグマによって起きている事なのか。
謎の三人組、僕、そして彼女。この状況はあのときの続きか。あの後に起きた出来事なのか
ならばこの後に起きた出来事がわかるはず。すると、
「わかった。ならば条件をのんでもらおうかお嬢ちゃん。僕の座右の銘はGiveandtakeだからさ。」
「わかった。私を殺さないなら何でもするからお願い」と、返すと
「まず一つ 僕の許嫁になること
二つ 僕を何があっても殺さないこと 以上。
いいね、お嬢ちゃん約束だからね 」
と話していた。
驚愕した。僕がここまで大胆な発言をしただなんて。しかしこれで彼女の対応の理由がわかった。
と、そのとき彼女の記憶の中の僕の背後に大柄な男が刃物を手に斬りかかってきた。
「危ない」と、彼女が発すると僕はおそってきた男の額に手を当て
[大丈夫だよ。 「スラッガ」]と言い放った。
すると、大柄な男はゆっくりと倒れた。
「悪いね。これから僕は幸せな人生を歩む事が約束されたんだ。邪魔するなら消えてもらうよ。」
そのときの僕はもう一人の女に不気味な笑顔で言い放っていた。




