僕のすべてが解放された世界「メルアカ王国編」 2話
ここに来てから一週間が経過した。
あれから僕は騎士となった。騎士とはいえ下の下の下の低級騎士だが。
騎士になる一週間の間にたくさんのことを知った。では、あの後のてんまつを話そう。
「えーっとどこだここ?」
目を開けるとあたりは草原だった。おかしな事だが草原なのに緑色ではない。青色の草原だった。
しばらくその場にとどまっていたが歩くことにした。
しばらく歩いていると町らしき集落がぼんやりとだが見えてきた。
少しだがおなかがすいてきたので食事をとろうと町へ向かった。
町へは1時間足らずでついた。体感時間であるが・・・
町に入ると、驚いたことにこの町は死んでいた。つまり人が暮らせるような環境ではなかった。
家はボロボロ、人はやせ細っており、皆年老いていた。とてもだが食糧があるとは思えなかった。
このような状況で食糧を恵んでほしいとは口が裂けても言えないので一つの疑問のを解決しようとした。
とりあえずこの世界はどこでどのような所なのかという疑問だ。
近くを老婆が通ったので話しかけてみた。
「こんにちは。私の名前は加賀美成矢といいます。他の町から来たのですがここはどこですか?」
他の世界から来ました。と言ってしまうとおかしな人だと思われてしまいそうだったので他の所から来た
と言うことにした。
すると、「ごにょごにょごにょごにょごにょ」というと去って行ってしまった。
「・・・」状況がさっぱりと読めない。話しかけても答えてくれないのか。この住人は。
少し苛立ちを感じたが歳をとっているのだから仕方ない。と、切り替え他の住人にも話を聞き回った。が、結局答えを教えてくれる住人は一人も居なかった。
「・・・ なんなだーーこの町はー」と,とりあえず心で叫んだ。すると町にいた人がこちらを注目
しはじめた。
興味をもつ顔ではなかった。よくわからないが直感で感じた。
獲物を見る目だと。
「とにかくここに居るとやばい。」と思い、この場を去ろうとしたとき「パンッ」と銃の様な音がした。
「えっ・・・」人の歓声が沸く。するとまた「パンッ」と再び銃の音がした。また歓声が沸く。すると
視界が定まらなくなった。
「まさか・・・」自分の中で最悪な状況の想像ができた。
自分の体をおそるおそる見ると何かが刺さっていた。
予想は的中した。銃の標的は自分自身であったことに・・・
すると急に恐怖心を抱いた。「やばい、この人達おかしいだろ。なんで平気に人を殺そうとするんだ」
逃げようとするが足がうまく動かず逃げられない。そうしているうちに「パンッ」という音が聞こえた。
それと同時に僕は倒れた。だがまだ朦朧とだが意識があった。「すまん。解放の日のためだ・・・」
誰の言葉なのかはわからなかったが意識を失う寸前そんな言葉が聞こえた。
・・・
目を覚ますと移動している何かに乗っていた。
「うぅ・・・はっ」意識が戻るとあの町での出来事を思い出した。
「僕の体はどうなったんだ。」
体を調べると目立った外傷がないことを確認したので自分は生きているのだとわかった。
あの町では麻酔銃でも撃たれて意識を失っていたのだろうか。考えていると一人の男が話しかけてきた。
「めぇ醒めたか?」ガタイのいい男だった。若い。もしかして20代いや、10代だろうか。
「はい。おかげさまで。」
あたりを見るとこの男以外は誰も居なかった。
だがこの世界に来て話しかけてきたのはこの男が初めてだった。
そうだ。町では教えてもらえなかったことがこの人なら教えてくれるかもしれない。そう思い、
「会ったばかりですがいくつか質問してもいいですか。」と、訪ねてみた。
男は驚いた顔をしたが、「あぁいいぜいくらでも聞いてくれ」と言った。
「じゃあ3つ程お聞きします。僕はいつからここにいて、今この乗り物はどこへ向かっているのですか?そ
れから僕が話している言葉がわかるのですか?」
すると男は「おまえ何キャルトあるんだ?」と聞いてきた。
「えっキャルト」初めて聞いた単語だった。
「とぼけるなよもったいぶらずに教えろそしたらおまえの質問にも答えてやるからよ。」
「いや、本当に知らないんだ。なんなんだそのキャルトというのは・・・」
「なんなんだと言われてもキャルトはキャルトだからな・・・第一なんで知らないんだお前親は?」
「いない物心ついたころにはすでに1人だった」と、僕は嘘をついた自分が居たはずの世界には親は居たの
だが、この世界に親は居ない。それにここは自分のいた世界なのかそうでないのかすらわからないだから
こう答えるしかなかったのだ。
「そうかいままでよくいままで生きてられたな。なら教えてやる。」
男は少し間をあけると語り出した
「キャルトってのはな王族が言うには[感情]っていうらしいぜ。」
「・・・感情。」
正直戸惑った。感情なんて数えられるのか、それに今の言い方だと感情ってなんなのか知らないのだろうか
「ちなみに俺はいま4キャルトあるんだ。すげーだろ一般人の4倍だぜ。で、お前だがここに入ってきたのは2日前キュラントの町から来たんだ。で、今はシランド王国に向かっているこの乗り物だがキジュって
いう動物の腹のなかだ。後1日もすれば出られるぜ。」
「腹の中なのか」衝撃的な真実に気付き驚いていると知らない男が中に入ってきた
「着いたぞ。今すぐ出ろブラッシュども。」
僕はこの時まだ知らなかったこの世界に人は存在しないいうことに・・・」




