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ウェデイングベーェェェェェェェェル(擬人化)

作者: あまねく

 僕は27歳の売れない漫画家だ。

 あんなに好きだった、漫画が描くのが辛くなっている。

 忙しい人は死ぬほど漫画を描いている。

 実際問題多忙で死んだ漫画家さんもいるらしい。

 編集者さんとは恙無くやっている。

  先週飼い猫のニャニャが行方不明になった、あんなになついていたのに、それがまた漫画を描く気力を無くしてソファに座ってギターのレスポールをピーンとならした。

 しかしある時ニャニャが帰って来た、女の子になって。

 そう、人間の女の子になって帰って来た。

 とてもかわいい、猫の面影がどことなくのこっている、それもそのはず猫耳だ。

 「ご主人様お留守にしててごめんなさい。実はわっちは妖怪猫又だったんですにゃ。猫又会議にでて少し留守にしてましたんだにゃ」

 かわいい女の子と話すのは久しぶりだったので僕はニャニャの豊満な胸とギリギリのメイド服のスカートの目のやり場に困った。

 「それでおわびに一緒に漫画を手伝おうと思い人間になりました。猫又は人間になれるんだにゃ」

 しっぽ(それは猫耳と一緒で隠せないらしい)

 「あっうん」

 僕はしどろもどろして頬をかいた。

 「じゃあさっそくスクリーントーンをはってあげるにゃ」

 ニャニャはカッターをとりだしスクリーントーンを原稿にはろうとしたが苦戦している。

 そして、あっとニャニャはちいさな悲鳴をあげると人差し指をなめはじめた。

 「どうしたの?」

 僕は隣の机に座っていたニャニャを見てみると人差し指からぷっくりと血が出ていた。

 「ごめんにゃさい、原稿に血をつけちゃいました」

 泣きそうな表情で僕を見つめるニャニャはすごく可愛いと思い、僕は思わずニャニャの人差し指をなめはじめた。

 「ごっご主人様だめですよ。汚にゃいですにゃ」

 「いやかい?」

 僕はなおも血をなめながら言った。

 錆びの味が口のなかに広がっていく。

 「いやじにゃいですけど。ご主人様お優しいんですね」

 僕は頬を赤らめニャニャを見つめた。

 「ねぇよかったら明日どこか一緒に出かけないかい?」

 僕は絆創膏をニャニャの指にまきつけながら言った。

 女の子とそんな事した事なかったのでドキドキしながら言った。

 「えっ?しかし漫画はどうするんですか?」

 「締め切りはまだ先だし大丈夫だよ」

 「うれしいですにゃ!」

 ニャニャはにっこり笑って正座したまましっぽをふりふりした。

 ★

 次の日僕の隣でニャニャが寝ていたのであまり眠れなくぼーぜんとしていた。

 僕らはまず遊園地にいきクレープを食べて最後にカラオケに行った。

 「じゃあわっちが先に歌いますにゃ」

 ニャニャはマイクをにぎり画面を見た。

 画面には童貞ソーヤングとかかれていた。

 見た目に似合わず激しい歌を歌うんだなぁと思い、僕はウェデイングベルを歌った。

 少しニャニャに結婚を意識させようという作戦だ。

 あとはサザンのマイナーな曲とボヘミアンラプソディーをデュエットで歌った。あれはデュエットの曲ではないのだが残り時間が少なくなってきたのでデュエットしたのだ。

 「楽しかったにゃ」

 ニャニャは僕のうでをつかんでまるで恋人のようだ。

 悪い気はしない。

 ★

 僕はどんどん漫画が売れてきて忙しくなってきた。

 ニャニャの相手ができなくなりニャニャが猫に戻っていたがまたもニャニャは消えていたが気づかなかった。

 そしてテーブルになにか手紙が置いてあった。

 招待状とかかれていた。

 封を開けてみると拙い字でわっち結婚します。ご主人様是非出席してください。と書いてある。

 ショックを隠せなかった。

 その日漫画の締め切りに間に合わせ少し遠くの教会にいくと

ウェデイングベルが僕の頭に流れてきた。

 ウェデイングベーェェル好きだったのよ。

 幸せの幕が上がった。

 見目麗しいウェデイングドレスをきたニャニャがしずしずと入場してきた。

 ニャニャはすみの机に座っていた僕を見つめてにっこり笑った。

 僕は笑顔を返して後ろを向くと涙がでた。

 はじまるはじまる。

 相手も猫又のようでハンサムな男性であった。

 僕はニャニャと彼に祝福の言葉をそっと呟いた。

 くたばっちまえ、アーメン。

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