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にゃっく・ザ・リッパー  作者: ねこおう
運命の迷宮編
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170話 ダンジョン・セイリューとの戦い

「アディ・ラス!」


 二重がけが完了した。これが今の俺の全力だ。


「シー・ル・ディー!」


 前回透視したが念のためもう一度透視してみる。


「……だめだ!やっぱ核とかねえ!」


 力ずくでバラバラにぶっ壊すしかないのかよ!


「おいっ!立てっ!プリシス!頭は飾りだろ!」


 呼びかけにプリシスはピクリともせず、頭部、そしてパイロットがいるはずのランドセルからも返事はない。


 プリンセス・イーエスは頭無しでも動いていたがこいつはダメなのか?

 もしかしてリモートじゃ操作できないとか?


 ランドセルを叩いてみたが反応はない。


 メインカメラの頭が宙を舞った時に目を回したか⁈


 ダンジョン・セイリューが片足でぴょんぴょん跳ねながら向かって来る。

 その不恰好な動きは生死がかかっている状況でなければ笑ってしまっただろう。

 俺は逃げなかった。

 ダンジョン・セイリューのラリアットが迫る。


 同じ攻撃なんか喰らうかよっ!


 なんて心で叫んだが実際のところギリギリだった。

 アディ・ラスは肉体強化するだけでなくバリアでもある。

 だからライアットを食らってもノーダメージの可能性もあった。

 二重がけしてるしな。


 もちろん確かめる気などない。

 俺はマゾじゃないからな!

 

 避けながらもその腕にケロロを巻きつける。


「捻じ切れろっ!……って切れねえ⁈」


 パワーアップしたのはスピードだけじゃねえって事かよ!


 ケロロを戻しながらダンジョン・セイリューの右足に蹴りを入れる。

 今度は効果があった。とはいえ尻餅をつかせただけだ。


 くそっ!ぶっ壊せると思ったのによ!

 これでもダメージ与えられねえってどうすりゃいいんだっ⁈



 ダンジョン・セイリューとの距離を取りスマホに目をやる。

 既に戦い開始から九分過ぎていた。


 まずい!

 約束の時間まであと一分じゃねえか!

 どうする⁈倒す方法ねえぞ!

 作戦失敗なのか⁈でもプリシスを失った今、次はねえぞ!


 その時だった。

 迫り来るダンジョン・セイリューが不意に派手にコケた。


「ん⁉︎」


 プリシスが右腕を飛ばしてダンジョン・セイリューの足を掴んだのだ。


「プリシス!ってデュラハンかよっ」


 プリシスは左腕に頭を抱えて立っていたのだ。

 プリンセス・イーエスは手のひらにもカメラがあったがプリシスはその機能をロケットパンチと引き換えに削除されたようだ。

 プリシスが右肘から伸びたワイヤーを巻き戻し始めると、ダンジョン・セイリューが倒れたまま引きずられていく。


「心配させやがって!」

「つうほうしました」


 相変わらず訳わからんが許す!

 これで勝機が見えた!……のか?


 ダンジョン・セイリューが立ち上がろうともがく。


 やばい!奴を自由にさせたら面倒だ。


「プリシス!高速移動だ!」


 プリシスがローラースケートを起動し高速で走り出す。

 起き上がろうとしていたダンジョン・セイリューはバランスを崩し再び引きずられていく。



 プリシスが時間を稼いでいるうちに考えるんだ!奴を倒す方法を!

 奴の硬さは異常だ。

 今のプリシスでパワーアップしたダンジョン・セイリューを破壊できるだろうか?

 以前ぷーこがハイパーモード?を使うには頭が必要だと言っていたよな。

 改良型といってもそこは同じでもう全力を出せない可能性が高い。

 さっきダンジョン・セイリューを捕まえる事が出来たのは奴が俺に気をとられていたからだろう。

 一度放せば二度と捕まえられない気がする。


 残る手は俺が更にアディ・ラスで体を強化する事だが前に失敗している。

 今回成功するとは思えない。


 ……ちょっと待てよ。

 まだ手があるじゃねえか。部分強化だ。

 記憶が曖昧でどこで使ったかわからないがやった事があることは確かだ。

 アディ・ラスを体の一部に集中する。

 その部分に激痛が走るが攻撃後すぐに戻せばいい。


「こっちへ来い!……ん?」


 プリシスの体が派手に揺れている。

 いや、プリシスが左右に揺れているのは走り出したときからだが、てっきりダンジョン・セイリューを自由にさせないために意図的にやってると思っていた。

 だが今は揺れが大きく、今にも転倒しそうだ。

 明らかにやり過ぎだ。


 もしかして揺れてたのは意図的じゃなくて故障してたのか?

 ……いや、違う!

 酔ってやがるんだ!

 カメラである頭部を抱えて走ってるから画面が安定せず揺れまくってるんだ!それで気分が悪くなったな!


 ついに限界がきたらしく、プリシスが派手に転けた。


「プリシス!」


 返事はなく、ピクリとも動かない。

 だがこの距離なら十分だ。

 立ち上がろうとするダンジョン・セイリューへ向かって走る。


 ダンジョン・セイリューは俺に気づいている。

 ダンジョン・セイリューのパンチが迫る。

 よけた瞬間にアディ・ラスを左腕とその手の短剣に集中させる。

 左腕に激痛が走るが無視してそのまま振り抜く。

 ダンジョン・セイリューの左腕の根元に刃がスッと吸い込まれ、

 腕が宙を舞った。

 続けて首を斬り飛ばした。


「これでどう、」


 ドカッ!


「ぐはっ⁉︎」


 気づくと壁に打ち付けられていた。

 体に激痛が走る。

 すぐに何が起きたか理解した。


 ダンジョン・セイリューの頭突きを胸に食らったのだ。

 正確にはもう頭はなかったから首突き?だ。


 息ができない。

 肺をやられたか……内臓も肋骨も何本か折れたな。

 アディ・ラスを少しでも全身に残しておいてよかったぜ。

 してなかったら間違いなく即死だった。

 とはいえ致命傷だ。

 このまま放っておいたら間違いなく死ぬ。


 自分でも不思議なほど冷静に状況判断が出来る。

 ポケットからポーションを取り出し一気に飲んだ。

 一瞬苦痛が増したが、直ぐに収まり息もできるようになった。

 ダンジョン・セイリューが迫る。

 プリシスに動く気配はない。


 ランドセルは見た目と違い強度が高い。

 にゃんダリウム合金製?のフレームのお陰か俺と壁でサンドイッチにされたが潰れてはいない。

 俺の方が痛かったくらいだ。


 パイロットは大丈夫か⁉

 操縦席には安全装置があるはずだが流石に無傷とも思えない。

 死んでねえだろうな。

 すぐ終わらせるからそれまで頑張れよ!



 ダンジョン・セイリューの残された部位は右足だけだ。

 これを破壊すれば終わりのはずだ。


「もう時間過ぎてんだ。集合場所に行かなきゃならねえからよ……さっさとくたばれ!」


 首突き?の体勢で向かってくるダンジョン・セイリューの右足にケロロを巻きつけて力いっぱい引っ張る。

 転けた所に再び左腕と短剣にアディ・ラスを集中させて右足を切断し、その胸に短剣を突き刺した。

 短剣はアディ・ラスの強化に耐えられなくなって砕け散った。

 その後、ダンジョン・セイリューが消滅し水晶玉が現れた。



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