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にゃっく・ザ・リッパー  作者: ねこおう
運命の迷宮編
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128話 意外な援軍

 マズいぞ!

 こんな天井にぶら下がってる状態じゃ逃げ場がない。

 降りようにも落下中を狙われたらひとたまりもない!

 能力の上がり過ぎも困ったものだ。


 アレックスが俺達の真下にやって来た。

 俺達の方をじっと見ている。


「ざ……く」


 アレックスが何か言ったようだが聞き取れなかった。

 言葉じゃなかったのかもしれない。

 俺達に話しかけたわけじゃないのかもしれない。


「野郎、俺達が力尽きて落ちてくるのを待ってやがるのか?」

「……スカートだったら覗かれてた」

「……お前、余裕だな」


 コイツの考えてる事はさっぱりわからん。

 やっぱりムーンシーカーだからか?

 今の言葉には全く感情がこもってなかったし。

 それともこの絶望的な状況で気が変になったか?

 ……いや、多分どれも違うな。

 こういう奴なんだ。


 ……ん?

 そういえば変態マッチョゾンビの姿がねえな……あ、いた。


 変態マッチョゾンビは俺達の事に気付かなかったのか、ちょっと離れた所を歩いていた。

 向かっている先にはエレベーターがあるがそこを目指しているのかはわからない。



 このピンチをどう切り抜ける?

 このままの状態が続けば、アレックスはまた何かを俺達に投げてくるだろう。

 実際辺りを見回し始めた。


 この状態じゃまともに避ける事もできねえし、どうすりゃいいんだ?


 とそのときだ、

 アレックスの動きが止まった。

 その視線の先にいたのはシエスだった。


「お待たせしましたね、チトセ、マリ。あとはボクに任せて下さい!」


 シエスの全身はゾンビを倒したときの返り血で赤く染まっていた。

 それだけならちょっと引く程度なんだが……。


 寝違えたなんてレベルでは済まされない程、人ではありえない角度まで頭が回転していた。

 右目付近には大きな傷があり、今にも眼球が落ちそうだ。

 自慢の盾はなく、右腕はだらんと下がって機能していないようにみえる。

 歩き方もどこかおかしい。

 知らない奴が見たらゾンビと勘違いしそうだ。


 こんなボロボロのシエスを見て、


「助かったぜ!後は任せたぞ!」


 なんて本気で言う奴がいたら見てみたいぜ!


「お前、大丈夫か?」


 大丈夫じゃないのは一目瞭然だが、思わず口から出てしまった。


「大丈夫デス!覚悟しなさい!フランケン!」


 アレックスだけどな。


「……ぐふ」

「……笑いましたね。後悔させてあげますよ、この化け物め!」


 いや、お前ら、見た目どっちも化けもんだぜ!


 ……ん?

 デジャヴ?


 果敢にアレックスに向かっていったシエスだったが、パンチ一発で吹き飛ばされた。


 お約束な展開だった。

 それでもシエスが来てくれて助かった。


 ほんのちょっとでもアレックスの気を引いてくれたお陰で無防備な落下時に攻撃されることなく無事着地する事が出来た。

 約十メートルの高さから降りたのにダメージは全くなかった。


 魔法、やっぱりすごいぜ!


 だが、ピンチなのは変わらない。

 俺達にアレックスが迫る。


 ⁉︎さっきより速い!


 アレックスの動きは確実に速くなっている。


 ちょっとでも気を抜いたら間違いなく殺られる!



 アレックスは体の黒いシミが広がる度に動きが速くなるようだ。

 俺の思い過ごしではない。


 やっぱりコイツ、レイマ化してる!

 はやく倒さないと手遅れになるぞ!


 とはいえ、今の俺やマリ(シェーラ含む)にコイツを倒す手段はない。


 そして、そのときが来た。


 ん!?


 いきなり力が抜けるような感覚と共にマリが重くなった。

 違う。

 最初にかけた魔法が解けたんだ。


 やばいっ!

 すぐに二回目の魔法も解けるぞ!


 二重魔法だから今までアレックスからどうにか逃げ回ることができた。

 魔法は後一回しか使えない。

 今かけ直してもすぐに二回目の魔法が解けるからかけるだけ無駄な気がする。


 それでもやるか⁉︎


「どむーっ!!」


 アレックスがなんだかわからん奇声を上げた。

 俺に後がないことがわかり、勝利宣言でもしたのか?


 アレックスの右手の爪が俺に向かって伸びる。

 その爪は途中で黒化し、不規則な動きを見せる。


 爪が触手になりやがった!

 ダメだ!

 もう間に合わない!


 その時だ。

 俺の左肩にちっちゃなものが乗ったかと思うと、迫る触手をシュッ、と断ち切った。


 にゃっくだ。

 にゃっくの皇帝拳がレイマの触手を切り裂いたのだ!


 切断された触手が塵となって消える。


「来てくれたか!」


 にゃっくがここに来た、ということは闇皇帝に勝ったのか!


 と、

 アレックスに攻撃を仕掛ける子猫がいた。

 闇皇帝だった。


「げっる、ぐぐ!」


 アレックスが怒り狂い奇声を上げながら闇皇帝を攻撃するが、闇皇帝は素早く回避した。


 なに⁉︎

 闇皇帝がアレックスを攻撃⁉︎

 仲間割れしたのか?

 一体どうなってるんだ!?


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