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ANDOLL*ACTTION登龍門編  作者: 文丸くじら


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それでは皆さん

ジョージ・ブルースは目を丸くしていた。データだけの存在が、覆した。逆転した。それなのにデータ抽出どころが、システムエッグのコピーさえ奪われた。

慌てて奪い返そうと別のパソコンを起動しようとしたジョージ・ブルースの目の前に十二人の人外が揃っていた。冷や汗どころではない。血が凍りつく恐怖だ。


「ど、どけぇっ!!今なら、今なら私が一番になる手段が手に入る!お前を倒す手段が……」

「あー、もう面倒だから結果だけ言うけどさ、どんなに頑張っても青い血が主人公になるのは無理だからね。こんな性悪人外達が主人公なんて物語崩壊もいいところさ」


青頭千里は呆れたように告げ、ジョージ・ブルースへ近寄る。怯えたようにジョージ・ブルースは後退るが、逃げ場はどこにもない。

青の魔女は微笑んでいる。楽しいことだと、ジョージ・ブルースが始末されるのが最高だと、心の底から面白いと感じている。

魔女を敵にした時点で青い血に勝ち目はない。相手が同じ血族である青の魔女であればなおさらだ。それでも諦めたくないジョージ・ブルースは叫ぶ。


「わたっ、私は、ヌハッ、ハハハハ、私はここでは終わらんぞ……絶対にいつかお前を蹴落として血族の一番となり全てを支配してや」


そこでジョージ・ブルースの記録は途絶えている。その手法を知っている者は人外以外誰もいない。





崩れる地下室を潜り抜け、電車は地底世界へ向かって走り続ける。車内は揺れていないが、背後から聞こえてくる土砂の音に汗が止まらない。

キッキがモグリに急ぐように指示する中、マーリンは顔を俯かせて見届けた映像を思い出していた。友人の最後、約束を守るために走り続けた姿。

そして自分が億以上一週間を繰り返したのは無駄ではなかったことに、心底涙した。そのデータが狭間進歩の力となり、鎧となった。


竜宮健斗は皆川万結が能力で作り上げた百%の未来を写し出す写真を眺めていた。金色の龍が鱗を散らばせながらも駆け上がる、勇ましい姿。

それは最後に全てを賭けた狭間進歩の姿。花山静香をジョージ・ブルースから奪い返すための特攻だった。


「……駄目だ、ムーくんかっけぇわ。俺じゃあ勝てない」

「当たり前でしょう。ケンは普通なんだから」


電脳世界で竜に近い姿になったことを踏まえた上で、崋山優香は竜宮健斗を普通と定義した。これ以上無茶をさせないために。

帽子屋はチェシャ猫と楓の手で予備パーツをつけられている。CPUと動力部は無傷だったが、体のパーツ損壊が酷かったのだ。

そのせいで現在豊穣雷冠は正座し、クラカと求道哲也から説教を食らっていた。理路整然と攻めてくる言葉に、人間兵器は敵わない。


「だから……皆で帰ろう。自分の家に」

「応。そうだな」


電車は地下室の崩壊から完全に逃れ、光り輝く遊園地に辿り着く。そこからは地上へ向かう電車に乗り、中央エリアの駅に出る。

外へ向かえば、朝焼けの紫色の空が赤く染まりつつあった。わずかに顔を覗かせ始めた太陽に、全員が目を細めた。

そしてそれぞれが帰るべきエリアに向かい、家に向かい、こっそりと自分の部屋へ辿り着く。竜宮健斗は深い眠りに身を任せた。




マスターは少しだけ不機嫌だった。青頭千里に頼まれた、もしも八日目が出来上がったらそのデータが欲しいという依頼。

完全にアラリスに出し抜かれた。詳しく言えば、アニマルデータ全てが力合わせて狭間進歩が落とした鱗をかき集め、アラリスが街のデータを回収し、ブラックボックスに封じ込めたのだ。

最強ウイルスが密閉した箱は流石のマスターにも解析不能の存在であり、会議場という名のスパコン内で保存されているが、開けることすらできない。


そして狭間進歩のデータと花山静香という名のシステムエッグのコピーデータ。その足跡を途中までは追えたが、途切れてしまった。

まるでどこかの誰かが意図的に介入したような不自然さ。代わりに世界の誰も手が出せない。あの電脳世界を知っていたとしても、その欠片は全て消えたと同義だ。

マスターは大きく溜息をつき、少しだけ満足そうに呟く。悔しいが完敗というのも悪くない心地だ。天才が認めるべき事象。


「ああ、これだから……人間はやめられないんだ」


百余年しか生きられないとしても、血が赤いのが気に食わなくても、人間の素晴らしさは高鳴る鼓動に似ている。

例えそれがデータだとしても、こんなにも心動かすのならば、それは本物だ。マスターは聞こえないと知りながら、拍手を送った。




皆川万結は夜明け前に目が覚める。少しだけ祖母の布団から抜け出し、窓の向こうで輝き始めた黄金の太陽に目を細める。

そして窓辺に残されていた黄金の東洋龍のアンドール。もちろん中身にアニマルデータは入っていない。狭間進歩という少年のデータもない。

少しずつ青味を取り戻していく空に向かい、皆川万結は笑顔で呟く。もう二度と会えないけど、きっといつでも見守ってくれる友達に向かって。


「ムーくん、頑張ったね。幸せに」


幼い少女は、少年の代わりに未来へ歩き出す。百%確実ではない、それでも誰かが確かに守った未来へ。

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