帰宅後
王宮からライルが戻り、家族に報告をする。
いつもは雑談の様に軽く話ながら代金の半額を渡すだけであるのだが、この日は違った。
ライルの雰囲気が普段とは違い、重大さを告げている。
だが、それは良いお知らせの様で、ライルはにこやかだ。
それも当然の事で、初めて会った時から狙いを定めていた姫達が自分の嫁になってくれると相手から言って来たのだ。
しかも、嫁さん候補に少なからず入っていた女騎士や侍女も言ってきたのだ。
もう少しで、王妃にも手が届きそうで届かなかったのが残念だった。
でも、王妃が義理の母に成ったことは嬉しかった。
それとは逆にラウロス叔父がラウロス親父になったのは、取分け気にしていなかった。
ライルは女にしか興味がなく男は気にしない質だった。
それに、この世界はモンスターや戦いによって、強い男しか生きられず。又、強い男は貴重なため男を囲うのはかなり顰蹙物だ。
勿論、ライルには男を囲うような趣味はない。
だから、強い男には多くの子孫を残す義務が課せられ、褒賞として女を贈られるのは名誉であり強さを認められた証しと謂えるし、その分責任もある。
贈られる女の方はというと、早い段階で話が通され気に入らない男には行かないという選択も出来るのである。
貰う男も嫌々来られたら滅入るし、それなら奴隷の方が良いのだ。
そして、家族にことの顛末を話したライルはご機嫌で、「これからは王宮も家みたいな物だし許嫁がいるから、遅くなりそうなら向こうに泊まってくるね。(これで、遠出していてもバレないな)」と言い放つ。
家族はそれぞれに思い感じた。王家に息子・弟が取られると、十歳にしてすでに家族の大黒柱みたいな状況になっているのである。