1/14
1
クリスマスものです
これは、後に「滅んだ世界」と称されるオンラインゲームで紡がれた、恋愛物語詩――
計りの山の頂近く
山から突き出た一角に
ボスたる赤き強者がいた
白骨の鳥人を模した身体に
鈍色に光る大鎌を携えて
ボス特有の赤き身体をして
管理者によって定められた
小さきボス部屋に
一人君臨していた
そのボスに挑む少女がいた
長き金髪を腰まで落とし
右手には木槌を
左手には木盾を
細き腰に巻いてある帯に
回復アイテムを詰めた袋
ボスを見る目は
優しげな瞳でありながら
精一杯、しっかりと
ボスの動きを見据えようと
頑張っている目つき
挑む少女と待ち受けるボス
わずかの膠着を経て
少女はボスへと駆け出すも
一合も打ち据えることなく
ボスの放つ衝撃波に
近づくことはできず
あっさりと、ただあっさりと
追い詰められてしまった
回復アイテムも底をつき
窮地に陥った少女は
抗う術もなく
ただ、瞳を強く瞑っていた
ボスの大鎌が勢いつけて
少女の身体へと
突き刺さるその寸前
爆発音と衝撃音の二重奏が
少女の危機を救い出す
未だに大鎌が来ぬことに
疑問を抱き
瞳を開けた少女は見る
爆発と強打に敗したボスと
ボスを倒したのであろう
長い黒髪を無造作に束ね
長柄の黒鎚を肩に置き
ボロボロのマントを纏った
悲哀を宿した瞳の青年の姿を
その邂逅を経て、物語は紡がれ始める
一つの罪と抱いた想いの物語が――




