表敬訪問という名のお見合いだってさ
少し長いかもです。
少し呪いをかけた王子様(裏)と話が重なっています。
よろしくお願いします。
「という事で、各国を表敬訪問してきなさい」
「はい?」
私の手首に呪いがかかってはや9年、こんなに大きく育ちました。
ごめんなさい。嘘です。
痛くもなければ痒くもない。ちょっと愛着すら湧いてきたりしていますよ。
ほら、なんかおしゃれじゃない?
王女様のおしゃれアイテム、手首の呪い!なんちゃって・・・。
お父様に突然呼び出されて何を言われるのかとドキドキしました。
17歳になっても色々ドジっ子なんですよね。
でもね、大丈夫。この国の行政はお偉い貴族の方々が頑張って動かしてくれているので、セレモニー的なやつとかモニュメント見に行くやつとか市民の皆様に、「王家がんばってますよ!」的なご挨拶をすることがメインなのよ。
じゃあどうして王族っているの?って思ったでしょ?実は私達の家系はとても魔力が強いのよ。
皆が対応できない魔物の退治とか、まああってはならなけど、国同士で戦争的なものが発生した場合、最終兵器として王族が戦いに行くのよね。もちろん性別なんて関係ないわよ。
私のお母様、かなり強いらしい。まあ、普段見ててもわかr・・・。
「お父様、どうして急に表敬訪問ですか?」
「うん、アンニーナのその手首の呪いね。どこかの王室の人が掛けたのだとしたら解術してもらうかお見合いするか君が見て判断してくるといいよ」
「お見合いですか?」
「うん。アンニーナの年に近い王子がいる国がちょうど四カ国あったんだ。ついでに僕の代理として晩餐会とかに出てきてもらえるとすごく助かると思って。ほら、リリアーナちゃんを一人でお留守番させるの可哀想でしょ?」
「そうですね。お母様はまだ幼い弟につきっきりでお父様がいない間に二人で過ごされるのがすっごくイヤって事でいいですか?」
「うん。そうそう。たとえ子供でも男だからね。そうゆうの良くないと思うんだ。僕的に」
お父様・・・。弟5歳ですよ?どうして張り合おうとしてるんですか?確かに、お母様はちょっと、イヤかなり弟にデレデレですが焼きもちなんて大人げないんじゃないですか?
「あっ、アンニーナの仕事はエーヴィーが代理で頑張るって言ってたからこっちの公務とかは大丈夫だよ。心配しないでね」
「分かりました。せっかくなので旅行気分でちょっと行ってきますね。」
「さすがに、君と専属侍女の二人って訳にはいかないから何人かこちらで人を選んでいるからね。それとハルト君は絶対ついていくそうだよ?彼大丈夫なのかな?まだ成人してないよね?子供だよね?」
お父様が心配しているのは、私が呪いを受けた翌年から私の専属傍仕え(始めのうちはもっと下っ端だったけどね)の一人になったハルト君。どうやら貴族の人に頭を下げながらこの子を王室で雇って欲しいって言われたらしい。
「私からもハルトに確認してみますね。」
ハルトとはもう9年の付き合いになるのね。
他の侍女の人たちは私が赤ちゃんの時から身の回りの事をしてもらっていたからほぼ家族みたいなかんじなんだけど。
私は、お父様との話し合いを終えると一度自室に戻った。
すると、侍女のバレリアとハルトが待機していた。
「アンニーナ様、お疲れさまでした。」
移動中に軽くかけていた上着をバレリアに渡しソファーに座ると、ハルトがお茶を持ってきてくれた。
「ハルト、ありがとう。そうそう、ハルトも私の表敬訪問に行くの?」
「もちろんですよ!姫様を一人で見知らぬ土地に行かせるわけには行きませんからね!」
ハルトの「フンス」という鼻息が聞こえてきそうな勢いで言われた。
「でも、お父様も心配していたのよ。ハルトってまだ未成年でしょ?」
ハルトは元々小柄で今も私より背が少し低い。
そして、なにより美少年なので傍仕えと言っても色々な使用人がハルトにちょっかいをかけているみたいだった。髪と瞳はよくあるブラウンだけど、髪の質は良いらしくサラサラで癖のないストレートを肩の辺りまで伸ばしていた。
「姫様だってまだ、未成年王族じゃないですか。僕と同じですよ」
小さい子扱いが気に入らなかったのかハルトはプンスカと怒りながら私のスカートの裾などを皺ができないように綺麗に伸ばしていた。
「ハルト、その仕事は侍女の持ち分よ。貴方がする必要はないわ」
「その件につきましては、きちんと侍女長と話し合いが付いているので大丈夫です!ねっ?バレリアさん?」
ハルトはニコリとバレリアに微笑むと、彼女は頬を染めながら
「はい、かなり昔から申し送りされているので大丈夫ですよ」
「だったらいいのだけど・・・。」
でも、エーヴィーには男性の傍仕えなんていないわよね~。
家族によって考え方が違うのかしらね?不思議だわ。
「アンニーナ様、私はこれで失礼します。すぐに後の者がやってきますので何かあれば、ハルト君に言ってください」
「あっうん。バレリアお疲れ様~。」
私の言葉にバレリアは頭を下げながら
「それでは、御前を失礼します。」といって部屋を出ていった。
私は、次の仕事まで少し時間があったので寛ごうとソファーに体を預けていると
「姫、そのような体勢になると髪型が崩れてしまいますよ!」
とハルトがまた怒りながら近づいてきた。
「次の面談で今日の公務は終了だから少しぐらい大丈夫でしょ~」
といいながら私はぐだぁ~としていると
「と言いつつもう時間じゃないですか?」
ハルトは置時計の方を見ながら私に確認をしてきた。
「あっ、本当だ!じゃあ行かなくちゃ!どこの間か知ってる?」
「姫!お待ちください!その前に髪を少し綺麗にします!」
立ち上がろうとしていた私の肩を持つとグッと力を入れそのまま強制的にソファーに戻った。
ハルトって小さいのに意外と力持ち?なのね?
「ほら!こんなにきれいな桃色の髪が!!!」
「ハルト君!この髪は桃色ではなくシャンパンピングと呼ばれているのです。この国の王家特有の髪色なので決して人前では間違えないようにね!」
そう、私の髪は根本は淡いゴールドなのだけど毛先に行くほど桃色になっていく不思議な髪色だった。
ちなみに、その髪色を持っているのはお父様と私だけだった。
叔父様は桃色があまり出ていない。エーヴィーは叔母様の髪色を受け継いでいた。
《この桃色ってなんだかなよなよしたイメージを持たれるんだよね。で勘違いする同性が湧いてくるから何度ギッタンギッタンにしたことか》
とよくぼやいていたのを思い出すわ。確かに女性だとかわいいですむかもしれないけど男性だとまた違ったニュアンスがでてくるのかもしれないわね。
私は、ハルトに髪を整えてもらっていた。
整えてもらっていた。
うん。整えてもらっていたわよね?
「ハルト?少し髪を整える時間長くない?」
ハルトは今日の髪型のハーフアップの伸ばしている部分を何度も櫛でとかしていた。
あんまりとかすと、抜けちゃいそうだからほどほどにしてね?ね?
私あんまり毛根強い方じゃないと思うし。
ハルトは私の言葉で自分が執拗に髪をとかしていると気づいたらしく
「はっ、すみません。ついつい夢中になってしまって」
私は呆れながら立ち上がると
「じゃあ、椿の間にこのまま移動するからハルトは案内してちょうだい」
「はい、姫!仰せのままに」
ハルトは頭を下げると先にドアまで進みそのまま開けてくれた。
「では参りましょう」
ハルトの後ろ姿を見て私はふと思った。
「どうして、ハルトは私の事姫って呼ぶんだろう?」
その問いに前を行く小さな背中は答えてくれなかった。
【補足】 髪色 瞳色
アンニーナ シャンパンピンク ラベンダーローズ
アンニーナの父 シャンパンピンク アクアブルー
アンニーナの母 アップルグリーン ラベンダーローズ
エーヴィー アッシュシルバー アクアブルー
エーヴィーの父 シャンパンゴールド アクアブルー
エーヴィーの母 アッシュシルバー グラスグリーン
最後までお読みいただきありがとうございました。




