呪いをかけた王子様(裏)
少し内容が重いので深夜に出すことにしました。
明日の午前中に次の話だせるかな・・・。
僕には三人のお兄様がいる。
一番目のお兄様は王太子であと数年で王様になるんだ。
二番目のお兄様は一番目のお兄様のお手伝いをするんだって。
三番目のお兄様はやっと婚約者を見つけて喜んでたかな。
四番目の僕は、ようやく8歳になったばかりなんだ。
ねぇ、知ってる?この世界は魔法にあふれているんだよ?
僕たち王族はその恩恵を一番受けているってお兄様達が教えてくれたんだ。
でもね、傲慢になってはいけないんだ。
だって実際に国を動かしているのは王族じゃないから。
王族はあくまでもその国の最終防衛機構。もう人扱いされてないよね。
その認識は他の国でも同じなんだって。王子や王女にどこまで教えるかは国によって違うらしいけど。
口の悪い一部の行政の高位貴族は僕たちの事を『マスコット』って呼んでたんだ。
僕たちは、傲慢になってはいけないけど侮られるのはもっと駄目って一番上のお兄様が言ってたよ。
次の日からその貴族は必要以上に何も話さなくなったんだって。
不思議だよね?どうしてかな?
気になったから一番上のお兄様に尋ねてみたんだ。
「エーベハルト、お前見ていたんじゃないの?彼が私達を侮っていたところを」
一番上のお兄様は何かを思い出したのかすごく楽しいそうに笑いながら話の続きをした。
「彼は誰が奥方の体調を悪くしたのか理解しているようだったしね。」
しばらくすると、あの貴族が僕たちが住んでいるエリアに面会の許可を得てやってきた。
一番上のお兄様が「エーベもきちんと見て許してあげて」というので立ち会った。
少し広めの客室に一番目と二番目のお兄様そして僕の三人が待機していた。
三番目のお兄様は好きな人を探してちょうどお城に居なかったんだ。
一番目のお兄様が一人用のソファーに座りその後方左側に二番目のお兄様、右側に僕が立っていたんだ。
貴族が部屋に入るなり、一番目のお兄様目掛けて土下座をし始めたんだ。
少しびっくりしちゃった。
「王太子殿下並びにラインハルト殿下エーベハルト殿下にはご機嫌麗しゅう・・・。」
「そんなご丁寧な挨拶はしなくて大丈夫だよ?」
一番上のお兄様が貴族の挨拶を遮った。
貴族はその言葉に一瞬震えたように見えた。
「ああ、今日は国王と王妃は『マスコット』のお仕事でこの場に立ち会えないことを謝っていたよ」
「誠に、誠に、無礼な発言でした。どうか、お許しくださいとは申し上げません。私目に直接罰をお与えください」
その貴族はより一層頭を下げて一番上のお兄様に懇願していた。
一番上のお兄様は少し考えながら足を組みなおしていた。
「お前に罰を与えても、ちっとも効かないじゃないか。それじゃあ罰にならないよね?」
一番上のお兄様はつま先でその貴族の頭をぐっと踏みつけていた。
僕は、そんな乱暴なお兄様を見たことがなかったので少し怖くなった。
それを二番目のお兄様が気づいてくれたようだった。
「コンラート兄様、エーベが震えていますよ?」
一番上のお兄様は踏みつけたまま、僕の方を見た。
「エーベはこいつが哀れに思うかい?」
僕は一番上のお兄様を見た後、その貴族を見た。
その貴族は大人なのに体を震わせ、泣いているのだろうかカーペットの色が少し変色していた。
やっぱり僕は怖くなって、二番目のお兄様の裾をギュッとにぎった。
二番目のお兄様は僕の頭をそっと撫でて「今の気持ちを言ってごらん?」と囁いた。
「ちょっと、可哀想かな?でも、僕たちの事をマスコットって呼ぶのは嫌だと思う」
「エーベルハルト殿下!本当に申し訳ございません」
「お父様もお母様もお兄様方も一生懸命この国を守ろうとしているのです。決してみせかけだけではないんです!」
僕は、感情に乗せて思わず最後の方は声を荒げてしまった。
王族なのに恥ずかしい。
「それは、私どもも十分理解しているのに・・・。本当に申し訳ございません」
「君はさっきからそれしか言ってないよね?」
一番上のお兄様はさらにその貴族の頭を踏みつけようとするので
「もう!もう大丈夫です!コンラートお兄様!僕は、この方を許しますから!」
僕の言葉を聞いた一番上のお兄様はその貴族の頭から足を外した。
僕は少しほっとした。
「それは良かった。ライ、エーベは疲れていると思うからお部屋に帰してあげて」
「はい、コンラート兄上」
僕の震える手をそっと握ってくれた二番目のお兄様はそのまま僕を部屋まで連れていってくれた。
※※※(コンラート side)
弟たちが部屋を去ると私はまだ残っていた貴族に向かいのソファーに座るように促し、傍仕えにお茶を入れるように頼んだ。
その貴族は少し痛かったのか踏まれていた頭を血が出ていないか確かめていた。
「駄目だよ。言葉に気を付けなきゃ。今回はエーベハルトが許してくれたから呪いが解けたけど」
「本当に申し訳ございませんでした。」
その貴族もそこまで悪気があったわけではなかったのだろう。
陰口ぐらい言いたい時もある。私だってあるんだから。
ただ、聞かれた相手が悪かった。
「エーベルハルトはまだ幼い。会話の前後を聞いていたわけでもないみたいだからな。真に受けてしまったんだろう」
王族は元々魔力が高いが、彼については呪いの力も強かった。
どれぐらい強力かというと無意識にかけてしまうぐらいだ。
今回の件も貴族たちの軽口を偶然聞いてしまったエーベが怒り彼の最愛に呪いをかけてしまったというとこだろう。
「貴殿も知っていると思うが、『我々は傲慢になるなしかし侮られるな』と教育されている。けっして貴族と対立したいと考えているわけではないからそちらの根回しは頼んだよ」
「はい!元々は私の失態。全身全霊をかけて務めさせていただきます。」
「うん。良かった。多分、貴殿が屋敷に戻る頃には奥方の体調も戻っているだろう。そしてこの件は内密にするように。」
「はっ、仰せのままに」
「じゃあ、早く戻って奥方の体調を確認するといいよ。」
貴族はお茶を飲むとそのまま立ち上がり一礼をした後部屋を出ていった。
しばらくすると、別のドアからラインハルトが入ってくる。
「エーベの体調はどうだった?」
「はい、ラート兄様の横暴ぶりにすごく驚いていましたよ」
「仕方ないだろ。呪いの解除条件はエーベに慈悲の気持ちをもたせることなんだから」
ラインハルトはいつの間にか私の向かいのソファーに座り新しいお茶を入れてもらっていた。
「ラート兄様、この方法まだ使うの?」
ラインハルトは呆れながら私の方を向いた。父上にも同じ質問をされたのを思い出す。
「まあ、次は当分ないんじゃないかな?あれが一番色々邪魔をしていたからね」
「だったらいいけど、エーベの精神衛生に問題アリだよ?大好きなラート兄様が次々と敵対貴族の頭を踏みつけるのを見せつけられるなんて」
「分かっているよ。でも、あれが一番効率がいいんだよね~。」
「はいはい、今のお気持ちは聞かなかったことにしますね」
ラインハルトは呆れながらお茶を口にすると「あ~おいしっ」と呟いていた。
「ねぇ、ライ」
「どうしました?」
「次の表敬訪問にさぁ~プロヴェンツァーレに行こうと思うんだ」
「あ~。あの魔女・ダーラ様がいらっしゃる国ですね」
「うん。エーベハルトを連れてね」
私はラインハルトに向かってにこやかに伝えた。
一番上のお兄様 コンラート
二番目のお兄様 ラインハルト
三番目のお兄様 ブルクハルト(婚活旅行中)
四番目の僕 エーベハルト(呪いの王子様?)
最後までお読みいただきありがとうございました。




