炎る日差しより暑苦しいハイテンション王族と一緒に討伐(前編)
私は魔物討伐は危険だと判断しユーリアとバレリアは部屋に残した。
今回の移動は車を使用するのでモリーさんに案内されたエントランスに向かった。
そこには既にカロル王女とナタン王子が私と同じように動きやすい服装で待機していた。
「おはようございます。カロル王女、ナタン王子」
「「おはよう!アンニーナ」」
姉弟は同じタイミングで私に挨拶をしてくれた。二人は顔を見合わせて少し恥ずかしそうだった。
分かるわ~。なんか気恥ずかしくなるよね。
「じゃあ、一緒の車に乗ろうか。そちらの方が警備もしやすいしね」
「はい。分かりました。」
こうして王族の車と護衛達の車の二台で目的地に行くことになった。
自動車の原動力はもちろん魔導具だ。中々市民の手には届かないものだと思う。
一部の高位貴族か王族ぐらいしか所有していないんじゃないかな。
市民の移動手段は馬車や自転車になる。
魔導具は多分作ることができるけどそれを動かすエネルギーの魔力が絶対的に不足しているのだと思う。
静かに動き出した車は初めて私達が観光にいった海辺よりももっと端の方だった。
そこは観光地ではないらしく地元の人々が遊びに来る海辺らしい。
「今日は、魔物討伐の知らせを近隣の住民には告知しているんだ。万が一という事はないが予防線は張ってある。地元の警邏との打ち合わせは終了しているからその辺は大丈夫だよ。安心して暴れてね」
「カロル姉さんは見たんでしょ?アンニーナの魔法。私も早く見てみたいよ」
ナタンは嬉しそうに車窓を眺めながらカロル王女に話しかけいた。
「そうだね。アンニーナの国は海がないから海の魔物は初めてだったみたいだけどコツを覚えたら一発で倒せそうな感じだったかな」
「へぇ~。そうなんだ~。すごいね」
「そんなことないですよ。結局、自分の侍女を危険な目に合わせてしまっているのでまだまだ鍛えないとと反省しました」
私はバレリアの事を思い出し反省した。身を守る手段がないのにさぞ怖かっただろうと思った。
「今日の討伐で、私はナタンが魔物の弱点をレクチャーしながらになるからすぐに慣れると思うよ」
「はい。がんばります」
その後、三人でどんな魔物を倒したことがあるかを話し合った。やはり国や気候が違うと出現する魔物も違ってくるらしく今度時間のある王族はそれぞれの国の魔物の討伐をしてみるのもいいかもしれないという結果になった。
車が静かに止まると、ドアが開いた。どうやらどちらかの護衛が開けてくれたみたいだった。
「ありがとう」と私がお礼を言いながら先に車を降りると後の二人も続いて降りてきた。
「キャー!カロル王女!」
「今日はナタン王子もいらっしゃるわ!」
「あの少女は、今滞在されている国の王女様かしら?」
さすがに王族が三人も集まると華があるらしく(自分で言うのは恥ずかしいけどね)一目見ようと近隣住人たちが集まっていたらしい。
「アンニーナ、申し訳ないが軽く手を振ってあげてくれないかい?」
カロル王女に促されたので、私は小さく手を振った。
「キャー。カロル王女の隣に並ぶ美男美女ね!!素敵だわ~!」
「私もいる事を忘れないでね!」と言いながらナタン王子が、カロル王女の反対側に立ち手を振った。
「がんばってくださ~い!!」
どうやら魔物討伐の告知のせいか応援の声援もあった。
「君たちは、事前に伝えられている避難所で待機していてね。君たちの事だから踊りながら楽しんで待っていてくれると嬉しいよ」
カロル王女はニコリと笑いながら住民たちに声をかけた。
「じゃあ、早速行こうか」
カロル王女の声かけに私とナタンは頷いた。
車を止めた場所から今回の討伐個所は近く徒歩5分ぐらいの距離だった。
事前に国の討伐隊が何か作業をしているみたいだった。
私はそれを不思議そうに眺めていると
「彼らは選抜隊として弱い魔物を間引いてくれているんだ。そして、大物が何体いるかを確認してくれている」
カロル王女の話をフムフムと聞いていると、隊長級らしき人がこちらに向かって走ってきた。
「報告します。現在、数十体の魔物が確認されています。まだ辛うじて目視できる距離なので緊急性はないと思います」
「分かったありがとう。これからは大きな魔法が行使される非戦闘員は住民と同じエリアまで退避。その他の者は私達より後方にて支援するように!」
「はっ了解しました!」
討伐隊はあらかじめ聞かされているのか隊長が小さな魔法陣を展開すると
『総員、これより後方支援に変更。非戦闘員は速やかに待機確認後、王族級魔法が発動される。』
『介護班・観測班住民退避エリアへ退避』
『迎撃班、後方へ移動完了』
『狙撃班も後方へ移動完了』
隊長は全ての連絡を受けた後、カロル王女に再び報告した。
最後までお読みいただきありがとうございました。




