炎る日差しもあるけれど、私もたまにはお仕事してます
「はい?」
私は驚いてカロルにキスされた場所を手で押さえながら彼女を見た。
カロルはフフフと笑って話を続ける。
「だって、同性婚も認められているからね。・・・まあ、私達はお互い王位継承者だから少し揉めると思うけど、メリーディエースはナタンの子どもに後を継がせることもできるだろうし・・・」
と何かを考えながらどこか遠くを見つめていたカロルの横顔を私は何も考える事ができずただただ呆然としていた。
そして気が付くと自分の部屋に戻りいつの間にか眠っていた。
翌日スッキリとした気分で目が覚めると、バレリアとハルトの二人は仕事を始めていた。
寝室からソファーなどがある居間に移動すると二人とも駆け寄ってきたので少し驚いた。
「おはよ~」
「「おはようございます!」」
二人は声を揃えて挨拶を返してくれた。
すぐにバレリアは私の着替えを手伝ってくれた。
着替えた後、ソファーで寛いでいると
「実は、昨日の姫の担当の者が姫の様子が少しおかしいとの申し送りがありまして」
「そうなんです。その担当の者が色々話しかけても上の空だったと申しておりました」
心配そうにハルトとバレリアが声を掛けてきた。
そうなんだよね・・・。
「同性婚」
「「ドウセイコン?」」
「そう、って昨日カロル王女に言われちゃった」
バレリアは少し考え込むと
「確かに、同性婚は認められていますが・・・。王族ではめったに見られないですよね」
「あるにはあるんだ?」
「はい。余計な権力争いを避けたりする政治的なものと、まっ本当に愛し合ってる場合もあったと思いますよ」
「そうなんだね・・・」
私は昨日のカロルを思い出していると
「姫・・・。姫は女性の方がお好きなんですか?」
ハルトは口元を引きつらせながら聞いてきた。
「えっ、そんなこと分からないよ。カロル王女が何を考えているのかも分からないよ」
私は〝プシュ~〟と空気が抜けるような音が聞こえるぐらい力が抜けた。
「ハルトも余計な事を言わないでお仕事するわよ。アンニーナ様、朝食をお持ちいたしますのでそのままあちらへ移動してください」
バレリアは、まだ日差しが強くないバルコニーに朝食を用意してくれたみたいだった。
風が少しだけ冷たいから心地よく食事ができそうだった。
「姫!今日は、ちゃんと公務が入っていますのでがんばってくださいね」
ハルトも気持ちを持ち上げたのかいつものようにスケジュールを説明してくれた。
「は~い。姫がんばりまぁ~す」
私も自分のモチベーションを上げる為に少しだけふざけてみた。
「では、こちらのお部屋で待機してください」
相変わらず部屋の移動はモリーさんが担当してくれているみたいでもうね、毎日会ってる。
モリーさんお休みとかあるのかな?ちょっと心配になってきたよ。
今日は初日の様に色々な役人さんと会って必要な事があれば話を詰めていくもしくは私が本国に持って帰るという仕事の内容になる。もちろん、最終決定は国王が持っているのでメリーディエース側もむちゃな話は持ってこないと踏んでる。
そう、むちゃな話は持ってこないんだが!
「王女様は美しいですね~。どうですか、うちの息子もなかなか男前ですよ!」
「王女様、この話の件についてはお互いの上官にもう一度確認ということで。・・・ちなみにこの後プライベートな時間はありませんか?いやね。私がお薦めのお店がありまして、ぜひ案内したいのです」
「王女様、ワシこう見えても気持ちは20代なんじゃよ!」
まぁ~ナンパが多い多い。確かにお見合いの目的もあるって言ってるけど!!
オリエンスにはなかった案件だよね!
そして、美しさゆえにモテてしまう私の隣で段々と青筋を浮かべている人物がいます。
さて誰でしょう?
『もうしわけございません。王女は貴殿のご子息には興味がございません。次!』
『もうしわけございません。王女の外出のタイミングは決まっておりますので一貴族との外食はできません。次!』
『もう・・・。早くこの者を連れていってください!』
確かに最後の役人の人はおじいちゃんだったね。気持ちは20代って言ってたけどね。
「ふぅ~。これで今日の公務は終了ですね。私は、何件か確認する内容がありますので少しだけこの場を離れます。姫は、モリーさんが来るのをこの護衛たちと一緒に待機してくださいね!」
ハルト君はプリプリと怒りながら部屋を出ていった。
「今日の坊はいつもの倍ぐらいご機嫌が悪いな」
護衛の一人が楽しそうに話していた。
「ああ、だが仕方がないだろう・・・。」
ともう一人の護衛も言った。そして二人とも私を見た後、苦笑いをしていた。
我、王女だぞ!苦笑いは失礼だぞ!!
私は、そんな護衛二人にプイッと横を向いて怒っているアピールをしてみた。
まあ、全然通じないけどね。
こうして三人で楽しく話をしていると、ドアをノックする音が聞こえた。
面会予定がないのにノックされ瞬時に緊張が走る。
そして、護衛が声を掛ける合図を私にしたので
「どうぞ?」と控えめに入室許可を出した。
すると
「やあ!アンちゃん!ぼくだよ~。お仕事お疲れ様~」
ラウル国王が私の様子を覗きにきたみたいだった。
最後までお読みいただきありがとうございました。




