炎る日差しより暑苦しいハイテンション王族との出会い
「見てくださぁ~い!ほら!すっごく広いですね。」
バレリアは愛読書の見開き1ページに載っているメリーディエースを象徴する一面の海を見て思わず歓声をあげていた。いつも冷静なバレリアではなく子供の様に目を輝かせていた。
メリーディエースの海は有名だけど、それと同じぐらい有名なのは白い砂浜らしい。
「アンニーナ様、少しだけ裸足で歩いてもいいですか?」
バレリアはソワソワしながら私を見つめてくるので
「大丈夫よ、ハルトが近くに付いてくれているしね」
「ありがとうございます!」
と言うとバレリアはすぐに裸足になり海辺まで走っていった。
「ごめん、誰か一人だけバレリアさんについてあげて」
私がお願いすると、護衛の一人が「了解しました」と言うとそのまま後をついていった。
さすがに、いつもの重装備ではなくこの国に対応している服だった。
「あの人も裸足で走りたかったかな?」
私は呟くと
「あの護衛の方、そんなタイプに見えませんけどね?」
私の疑問にハルトが答えてくれた。
「アンニーナ様!よろしいでしょうか!」
私についてくれている護衛の方が突然発言の許可を求めてきたので、どうぞ~と答えると
「はっありがとうございます。彼は昨日の夜、海に行くのが嬉しくてウッキウキで寝る準備をしていました!」
「そうなんだね~。」 「男性の心はいつまでも少年っていいますからね~」
私の言葉に続いて、ハルトも感想を述べた。
「イヤイヤ、少年が言うのはおかしいでしょ?」 ハルト君、なぜ照れてるの?
「でね、ハルト君・・・。」
「どうかしましたか?姫?」
「私、思うんだ」
「何かご不興を買いましたか?」
「何この格好!!!」
そう!確かにバレリアはノースリーブのワンピースを私に見せて呟いていたけど、その結果が
「ちょっと暑いんですけど!何?この重装備!」
私の今の着ている服はきっとそばにいる護衛よりも重装備だと思うの。
「ノースリーブのワンピースにカーディガンはまだ理解できます。でもねその上から日焼け防止の手袋、おみ足が焼けてしまします~!からのこのズボン!もちろん薄いけど靴下も履いているよ!そして、帽子」
「からの~」
「この前が全然見えない何?これ?レース?」
私はご不興内容をハルト君に端から端まで詳しく説明しましたとも!
「これ全然、バカンスじゃない!このかわいいグラスに入った飲み物を飲むにもこのレースの横から飲まないといけなし。目元もサングラスしなきゃダメだし。これ、不審者だよ?ハルト君たちがいないと通報されちゃうよね?」
私が今座っているのは一面に海が見える特等席のテラスだ。
遠くの方でバレリアが波と戯れていた。
メリーディエース王族のプライベートビーチもあるらしいが今日は城下町に降りたかったので一般開放されている砂浜に行った。
「私も波の傍に行きたい・・・」
「姫、今日は止めときましょうね。」
「バレリアさん楽しそう・・・。」
「そうですね・・・。」
奥の方でバレリアの楽しそうな声が聞こえている
〝キャァ~アハハッ〟
〝すごい~い!波がこっちに向かってきます!〟
〝見てください!あれなんですかね?〟
〝海の生き物かな~?〟
〝えっ?〟
・
・
・
〝ギャ~!!!!〟
私はうっすら聞こえるバレリアを目を細めながら見ていると
ん?
「ねえ、ハルト?なんか最後の声変じゃなかった?」
ハルトも私の後ろで立って待機していたが、寛いでいる私の前へ躍り出た。
「そうですね・・・。少しかくにn・・・。」
『魔物だぁ~海から魔物が出たぞぉ~』
ごつい声の男の人が近くにいる住民に退避するように声をかけていたが
「バレリアさん、腰抜かしてない?」
「そうかもしれませんね」
「助けに行かないの?」
私の疑問にハルトと護衛が渋い表情をする。
「僕たちの役目はね・・・姫を守る事なんですよ。すみません。一介の使用人の為に傍を離れる事はできません」
護衛もハルトの言葉にただ頷くだけだった。
「しぁ~ない。じゃあ、護衛対象が動きますか・・・」
と私は言うと、その場から全力でバレリアの方へ向かって走り出した。
「姫!」 「アンニーナ様!!」
二人は焦って私に付いてくる。
「ハルト、この場合攻撃魔法を使っても怒られないわよね?」
私は走りながら片手で魔力をまとめ始めた。
「はい、攻撃対象が魔物の場合は国際法免責事項に当てはまります!」
ハルトは私の言いたいことを理化してくれたみたいだった。
「じゃあ、久しぶりにデカいの行きますか~!」
バレリアに聞かれると注意されそうだったが今は緊急事態だったのでノーカンでしょ!
「おりゃ~」
私はバレリア目掛けてウニョウニョしている何かを突き刺そうとしている部分に攻撃魔法を放った。
〝キュイーン〟
見かけによらず可愛い声で鳴きやがるぜ!と思いながら2回目の準備をしていると
『そこを狙うのは得策じゃないよ!』
と言いながらその人はウニャウニャした物体を頭から真っ二つにした。
〝キュ〟
の音だけ残して魔物は消滅した。
「大丈夫かい?お嬢さん」
腰を抜かしたバレリアに手をそっと差し伸べ立たせた。
「すみません、うちの者がお世話になりました」
私がその人にお礼を言うと
「いいんだよ。こんなレディーに怖い思いをさせて申し訳なかったね」
夏の日差しに似合うコクリコカラーの髪を靡かせながら『ニッ』と音が聞こえそうな笑顔を私達に見せてくれた。
最後までお読みいただきありがとうございました。




