麗らかな春の日差しに一件落着!(前編)
目が覚めると全身真っ黒な服を着たハルトがベッドの横の椅子に座っていた。
ん?私もしかしてハルトに命狙われてる?
「何変な事考えているんですか?」
ハルトは私の考えていることに気づいていしまったらしくジト目でこちらを見てきた。
「イイエ ナニモ カンガエテ マセンヨ」
「かなり棒読みですよ?」と言うと溜息をついた。
「本当に心配したんですからね」
「ハイ ごめんなさい」
って私が謝る必要があるのかな?イヤ、無いよね!!
「プロヴェンツァーレの人たちは本当に心配していたんです。もちろん僕もですが・・・。一体何があったのか後できちんと説明してくださいね」
ハルトは私の右手をそっと握ると目を瞑りながら自分の額に手を置いた。
でも、私はその行為を不快に感じることは無かった。
クスター王子の時はやはり魔力を流したから駄目だったのかな?
これからどうしようか?とハルトと相談しているとノックをした後ドアがガチャリと開いた。
「アンニーナ嬢!大丈夫ですか?」
そこにはサンス王子を先頭に護衛に後ろ手に縛られているクスター王子、そしてクスター王子専属の使用人と私の使用人たちがわらわらを部屋に入ってきた。
いやね。いくらこの部屋が広いからって言っても十人以上の人が入るとギュウギュウになっちゃうからね。
「アンニーナ様!!」バレリアは涙目になりながら私の近くまで駆け寄ってきた。
「呪いをもらってしまうかもしれません!」クスター王子の専属の侍従がバレリアを止めに入るが
「アンニーナ様と一緒に呪われるなら私はどこまでもお供します!」
と決死の覚悟で言ってくれた。あっ涙が出ちゃう。お姫様だもん。
「ちょっと・・・。そんな呪い呪いって・・・。」とハンスが不貞腐れていたが私はバレリアとの美しい主従愛確認中だったので気が付かなかった。
「まあまあ、少しお見かけしない間にこんなにお窶れになられて。誰か!アンニーナを抱き上げてください!お部屋に戻りますよ!」
バレリアの一言で私の使用人たちが即座に役割分担を決め私を連れ出そうとしてくれる。
「アンニーナ嬢・・・。」
サンス王子は何か言いたげだったけど、バレリアはそれを許さなかった。
「サンス王子殿下、アンニーナ様のご容態が落ち着き次第こちらから使いの者を出しますので今はご容赦ください」と頭を深く下げた。
「ああ、そうだね。それに私の出る幕はもう終わっているようだ」
とサンス王子が二つに壊れたバングルを見つめながら言った。
「クスター王子の件は後で報告してください」
ハルトが私が部屋から出た後、クスター王子の側近に話しかけていた。
私の誘拐事件は一日もたたないうちに無事解決することとなった。
体調が完全に落ち着くまで、サンス王子側は待っているとのことだったのでそれからさらに一日ベッドの中で過ごすことになった。途中で王家から素敵なお花とこの国で有名なお菓子の詰め合わせを頂いた。
何についてのプレゼントなのかは大人なので尋ねなかった。そんな自分の判断力に惚れちまうぜ。
次の日、私の体調は完璧になりあの黒い茨も跡形もなく消えたのでサンス王子とクスター王子に会うことにした。二人ともわざわざ時間を調整してくれたようだった。
サンス王子のお気に入りの中庭は今回は使用を控えてもらい、王子の部屋で話し合うことになった。
さすがにハルトが絶対付き添う!とごねたので一応あちら側に確認すると、了承してくれた。
なんか一介の使用人の為に気を使わせてごめんね。
サンス王子の部屋に入ると、クスター王子は既に着いておりサンス王子の隣のソファーに座っていた。
私が向かい側のソファーに座ると、ハルトは私の後方に立って待機していた。
そして、サンス王子のメイドがお茶の準備をするとそのまま使用人たちは部屋を出ていった。
「すまないね。さすがに身内の問題を聴かせるわけにはいかなくて」
「大丈夫ですよ。」
「ありがとう。では早速で悪いけど、今回の件はこのクスターが一人で犯行に及びました。我がオリエンス国は一切の関与はしていない。ただ・・・。」
「ただ?」 ハンスが復唱した。かなりご立腹の様だ。君、使用人枠だからね?なんか王族として一緒に話聞いてるみたいな雰囲気だすのやめて?
「私の愚かな弟が、私を独占する為だけに起こした行動だったらしい。本当に申し訳ない」
サンス王子が深々と頭を下げているのを見てクスター王子も同じように頭を下げた。
「クスター王子、オーパーツなんて他国の王族につけちゃ駄目ですよ!もし次に付けるときはせめて一言確認した方がいいですよ!」
私は今回の件で一番怒りを覚えた内容についてだけ厳重に注意した。
「クスター王子はプロヴェンツァーレとの交戦を望んているのですか?」
あ~外野が嫌味を言ってる・・・。やめて。相手はまだ子どもなんだから。
「そっそんなことは望んでいません。」
クスター王子が顔色を失いながら即答した。
「クスター、他国の王族を何かで縛り付けるということはそうゆう事なんだよ?もしこれが私に対してだったらそれはクーデター扱いになるから・・・。気を付けてね」
サンス王子、なんか分からないけど身の危険を感じてるの止めて。そして、私の前でそれを見せないで。
家族間でそっとやって欲しいです。
「アンニーナ嬢、クスター王子の処分は貴方に一存します。この件については父上からも許可を得ています」
「兄様!」
サンス王子が弟を突き放すような発言をしたことによってクスター王子はかなり動揺していた。
いつまでも守ってもらえると心のどこかで思ていたんだろうね。
「ごめんね。それぐらいクスターがアンニーナ嬢にした罪は重いんだよ。下手をするとこの世界の均衡を壊すかもしれなかったからね。王子一人の命ぐらい軽んじてしまうんだ。」
「ごめんなさい!ごめんなさい!アンニーナ様!兄様」
いつもは大人びた雰囲気を醸し出そうとしていたクスターが幼い子供の様にグシャグシャに泣いていた。
「そうね~」
私は少し悩んだフリをした。元々クスター王子を断罪するつもりなんてなかったしね。
嫌じゃん?他国で断罪姫って呼ばれるの。もちろん自国でも嫌だよ。
「今回の件、私の一言で確かにクスター王子を助ける事はできるかもしれないけど王子の配下の者は全員極刑に近いわよね。だって、プロヴェンツァーレ第一継承者事私を害そうとしたのですから」
「アンニーナ様!」クスター王子はその言葉を聞くとソファーから立ち上がり私の傍にくると床に頭をこすりつけるように下げた。
「僕の事はどうなってもいいんです!でもっでもっ僕の為に動いてくれた使用人たちの命だけはどうかご慈悲をかけてくれませんでしょうか!!」
半分泣きながら私に一生懸命謝罪していると
「クスター王子!」
突然ドアが開き(いや、この国どうなっての?入室許可とかとんないの?とか思っていないから)
クスター王子の隠れ家で働いていた人たちが何人か乱入してきた。
この後10分後に後編行きます!
最後までお読みいただきありがとうございました。




