麗らかな春の日差しがあっても花冷えするらしい
公式日程も着々とこなしていき、オリエンス国に滞在する日数も少なくなってきた。
長期の滞在ににもかかわらずこの国の人々はとてもよくしてくれている。
もちろん、王族だからっていう意味じゃないよ。廊下ですれ違っても「アンニーナ様!」って声を掛けてくれるぐらいに親しくはなっていると思うんだ。エヘン。
そして、サンス王子とはもう、親友だね!多分、ズっ友って言っても過言ではないかもしれない。
ただ、あまりサンス王子とロイヤルトークをしているとハルトのご機嫌が悪くなる。
そして、このごろクスター王子もなんか変なんだよね~。素っ気ないというか冷たい?までは行かないけど距離を置かれている感じはするんだ。
ちょっとだけだけど、寂しいよね。お兄さんとズっ友なんだから弟君とも仲良くなりたいんだけど。
まあまあ、そこは強制して仲良くなるものでもないから・・・。良い距離感を見つけていこう!
今日の午後の予定をもって公式なものは終了かな?あとは予備日だから急な呼び出しとかが無いかぎりゆっくりしていってねの期間だよ。もう一度城下町に降りるのもいいかもね~。次はバレリアの休暇日を確認してから遊びに行く方がいいのかな。
私は、オリエンス国での仕事が終わったので肩の荷が下りた感じだった。思わず肩をグルグルと回していると
「姫・・・。姫・・・おやめください」
私の隣を歩くハルトが悲しいそうな表情でこちらを見上げてきた。
「ん?どうしたの?」
「姫なのに・・・その肩をグルグルするやつまるで仕事が終わり疲れた時にする僕の父に見えてきます・・・。」
「えっ・・・。ちょっと待って、それは聞き捨てならないわね。ハルトのお父様は一体幾つなの?」
ハルト父の年齢を聞いた後、私は肩を回すのをやめた・・・。もう絶対しないもん!
ハルトとつまらない話をしながら移動をしていると
「アンニーナ王女様!」
見知らぬ使用人が私を呼び止めた。
「突然呼び止めてしまい申し訳ございません。王子がお呼びですのでご同行していただきたく」
「王子がですか?」
「はい、この後の予定はございますか?」
視線は下げたまま丁寧に問いかけてきた。
私はサンス王子が呼んでいると思い。そのまま了承した。
「はい。ちょうど最終公務を終えたので大丈夫ですよ」
「王子が少しお話をしたいとおっしゃられているので」
「じゃあ、今から行きましょう。ハンスも大丈夫よね?」
「はい、僕も予定はございませんのでついていきますよ」
ハンスの返事を聞いて私が頷いていると
「あの、申し訳ございませんが使用人が入れるエリアではございませんのでこちらでお部屋で待機してもらいたいのですが」
その言葉にハンスが反論する。
「この前、姫がそちらの文官だか貴族だかに言いがかりをつけられたばかりです。はいそうですかとどこにでもついていく能天気で無防備な姫をおいそれとお渡しすることはできません」
ん?ハルト君や最後の方悪口じゃね?
すると、使用人が少し悩んだ後
「では、そちらの護衛の方を途中まで連れていくというのはいかがでしょう。きちんとこちらの王子と面会をする場面を見れば納得していただけると思うのですが」
「う~ん。そうね。せっかく王子とも仲良くなったんだから、あまり疑心暗鬼になるのも良くないわ。ここはこの方のいう通りにしましょう」
「姫・・・。」
さすがのハルトも私の最終判断を覆すことはできないので、私に少し頭を下げ「かしこまりました」と言った。
「それじゃあ、待たせるのも申し訳ないのでこのまま行きましょうか?案内をお願いしてもいい?」
「はい!それではこちらへどうぞ!護衛の方々もご一緒に」
そうしてその使用人の後をついていった。
使用人が案内してくれたのはサンス王子がいつもリラックスする時に使用している中庭だった。
奥の方に男性のような人影がみえる。
そのまま庭に入ろうとすると
「すみません、護衛の方々はここまででお願いします」
「そうね、向こうにサンス王子がいらっしゃるし、大丈夫よ?」
私もその使用人の言葉に続いて安心するように促した。
「「はっかしこまりました。ではここで待機しています」」
護衛たちがそう言うと
「あの、申し訳ございませんが多分このまま王子は夕食を誘われると思いますので解散して頂いたほうがよいと思います」
あら?そうなの?聞いてないけど。サプライズかな?時々ここで昼食を頂くこともあったから夕食もありえるのかな?
護衛たちは私の判断を待っていたので、その使用人の言葉通りハルトに無事に会えたと報告して欲しいと言って帰らせた。
その後ろ姿を見送った後
「では、アンニーナ王女様、こちらへどうぞ・・・」
その使用人の後についていくと
「ご機嫌麗しゅう、アンニーナ様」
私はてっきりサンス王子が待っていると思っていたけどどうやら違ったみたいだった。
「クスター王子、ご機嫌麗しゅう」
久しぶりに笑うクスター王子が中庭とその奥にある林の間で佇んでいた。
最後までお読みいただきありがとうございました。




