麗らかな春の日差しにもやはり影はあるようです(表)
引き続きクスター視点です。
どうやらお兄様は僕が急にいなくなったので慌てて探してくれていたようだった。
あれから僕は半日ぐらい気を失っていたようだった。
侍医の説明によると恐怖によるものだったらしい。
僕が目を覚ますと兄様はすぐに部屋に様子をうかがいに来てくれた。
「クスター大丈夫かい?」
兄様は優しく僕を撫でてくれた少しくすぐったくて目を細めてしまう。
「はい。もう大丈夫です。兄様」
「父上と母上ももうすぐこの部屋にやってくるよ。僕が少しあわてん坊だったから先に着いてしまったんだ」
少し恥ずかしそうに教えてくれた兄様は少し可愛らしかった。
「兄様・・・。」
「ん?どうしたんだい?」
「本当にありがとうございました。あの時兄様がいらしてくれなければ僕は、王族として生きていくことができなかったと思います」
僕は思い出すと少し怖くなり涙目になった。
すると兄様は僕をギュッと抱きしめると。
「なにをバカなことを言うんだ。たとえどんな状況でも、どんな状態でもクスターは僕の可愛い弟だ!クスターが王族を辞めなけらばいけないのなら僕も一緒に辞めるよ!二人でどこか静かな町で暮らそう!」
兄様の優しさに我慢していた涙が一気に溢れた。
「兄様!兄様!」
二人でグズグズと泣いていると
「サンスもクスターも随分と物騒な話をしているな」
「そうですよ。私達はこのままでは子供を二人も失いそうになりそうですわ!」
お父様とお母様が苦笑いをしながら僕のベッドに近づいてきた。
僕専属の侍女や傍仕えも苦笑いをしながら僕たちを見ている。
「クスター王子がどこかへいかれるのなら、私共も一緒に参ります!」
「そうですわ!クスター王子はお料理が苦手でしょう。この私が作ります!」
「私もです!これといって得意なものはありませんが、ずっとお傍にお仕えさせてください!」
専属の護衛も侍女も膝まづきながら訴えてきた。
僕は・・・。みんなに大切にされていたんだね。
「まぁ~、だったら私も一冒険者になって魔物を狩って生活できますしね!」
「おい!君まで何を言い出すんだ!私も一緒に連れていってくれよ!」
お母様は冒険者になりたかったらしい。そして、いつもは冷静なお父様もお母様の発言にタジタジになっていた。
家族が僕の為に色々と考えてくれることがすごくうれしかった。僕は、大切にされているみたいだ。
「お父様、お母様、お兄様・・・」
僕が呼ぶとみんなこちらを見てくれた。何も言わずにただただ頷いてくれた。
「国王陛下、申し訳ございませんが次の予定の時間が迫っています。」
お父様の専属文官がものすごく申し訳なさそうに僕を見た後、お父様に伝えた。
「お父様、僕はもう大丈夫です。お母様もこの後、定例のお茶会があるのでしょ?」
「そうだな。サンスはまだ時間があると思うからクスターを頼んだぞ」
「サンス、頼みましたよ。」
「はい、お父様、お母様」
お兄様は返事をすると二人とも安心したのかそのまま部屋を出ていった。
「君たちも作業が残っていると思うから各自持ち場に戻っても大丈夫だよ。しばらくは私がクスターを見ておこう」
「ありがとうございます。サンス王子」
兄様の言葉に僕の専属達は一斉にお礼を言った後部屋を出ていった。
「さて、クスターはこの兄と何かお話ししたことはあるかな?」
「そうですね。兄様のお話しならすべて聞きたいです!」
「そうだなぁ~。この前が失敗した話でもしようかな?」
「兄様も失敗したりすのですか?」
「もちろんだよ。失敗ばかりで大変だよ。その時にね・・・。」
兄様の失敗話はとても面白かった。そして以前よりももっともっと兄様が大好きになった。
しばらく兄様とお話ししていたが兄様も公務が入り部屋へ戻っていった。
ベッドでゴロゴロしていると、さっきまで一緒にいた兄様の事を思い出す。
兄様は僕を連れて二人でどこかに住んでもいいねって言ってくれたのを思い出す。
「ずっとずっと兄様と二人で生きていけたらいいのにな」
それはもちろんここでもいい。だけど二人の邪魔は誰にもされたくないな・・・。
「そんなことできるかな?できたらいいのにな」
僕の魅了魔法を少しだけ使えば兄様には誰も近づけなくなるかな?
少しだけなら・・・いいよね?
次回からはアンニーナに戻ります。
最後までお読みいただきありがとうございました。




