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うっかり王女適当に返事をした王子が魔法で縛ってきたのでサクッと解術してもらうことにしました。  作者: 鈴木 澪人
オリエンス編

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麗らかな春の日差しの中で不眠症王子に心開かれる

 次第に私たちはハルトとクスター王子の妨害(ぼうがい)をかいくぐって会うようになっていた。

バレないように会うのが少し楽しかったりする。私って悪い女の子ね。ふぅ~。

 今日もサンス王子を探していたら廊下の死角から手首を持たれぐっと引っ張られた。


「わっ!」


そこは、キャーでしょ?って思ったあなた。人って急に怖い目にあったら声なんてでないからね!

サンス王子は私を見ると嬉しそうに微笑んだ。

私も微笑み返しながら二人で人気のない廊下を走りだす。


 握られた手首が少しピリピリしていた。

そう、あの魔法陣が描かれている左の手首だった。


 サンス王子は時々私の足がもつれていないか確認するように振り返る。

きっといい人なんだろうな~。心遣いができる人なんだろうな~。

そうは思うけど、なぜか心は熱くならなかった。やっぱりお互い次の王位を継ぐものだから無意識に気持ちをセーブしているのかな?


 二人はそのまま人気のない庭にたどり着いた。


「ここは、本当に私だけしか入れない庭なんだ」


「すごく綺麗な場所ですね」


いつも穏やかな気候のこの国ならではの青々とした庭にポツンと白い東屋が立っていた。


「こっち!」


子どもが秘密基地を教えるようにそこに連れていかれた。

誰もこないといっても管理をしてくれている使用人達によって椅子には綺麗な布が敷き詰められクッションもいくつか置かれていた。


 そこに私を座らせると


「少しだけいいかな?」


「?いいですよ?」


私は訳が分からないまま許可をすると


「では、失礼します」といいながらサンス王子が私の膝に頭をのせてきた。


おふっ。これっていわゆる膝枕ってやつじゃないですか。恋人同士の定番の奴!!

恋愛小説で読んだことあるよ。うらやましくてハルトに八つ当たりしたよ!


 まあ、でも眠れない王子のお願いだし少しぐらいなら仕方がないか・・・。

と色々と考えているうちにサンス王子が私の膝にそっと頭を乗せた。

そして、何も話さずにそのまま静かに目を閉じた。


 ねぇ知ってる?目の前に人の頭があるとついつい髪を触てしまうんだよ。不思議だよね?

私は、サンス王子の美しいホリゾンブルーの髪を寝かしつけるように撫でていた。


 時間にして10分くらいかな?サンス王子がゆっくりと目を開くと小さな声で「ありがと」と言ってきた。


「いいえ。大丈夫ですよ?」距離感おかしいと思いますけどね?と思いながら伝えた。


「アンニーナ嬢といると心がスッと軽くなるんだ。どうしてだろうね」


「え?ん~。私は特に何もしていませんよ?」と両手を上げてアピールした。


実は、無限大の癒しの力がぁ~とか聖女なんですぅ~とか言うべきなのかもしれないけどまぁ基本的に王族にはそのような立場の人が出現することはない。だって基本的に戦闘民族(たたかうこ)だからね。カナシイ。


それはサンス王子も理解していると思う。王族の帝王学なってよっぽど()()()()()なかったら内容は同じだからね。


「私はいつの間にか心が壊れてしまったのかもしれない。このまま王位を継いでこの国を守れることができるのだろうか。この国の人たちは安心して生活することができるのだろうか?と日々悩んでしまうんだ」


え~。それを私に言っちゃうの~。どうしよ。なんて答えたらいいんだろ。

漢だろ!しっかりしろよ!ぐらいでいいのかな?


残念ながらサンス王子は私の励ましを期待しているわけではないようだったわ。


「・・・。幸いクスターも私と同じ教育をうけている。このままだったら私よりもクスターの方が王にふさわしい人物なのかもしれない・・・なんてね」


「サンス王子・・・」


「もしクスターに王位を譲ることができるなら、アンニーナ嬢の国にお婿に行ける可能性も出てくるわけだしね」


「そうですね~って?ん?」 ドユコト?


「少しだけ考えてみてよ。アンニーナ嬢がここへ表敬訪問した理由の一つにお婿さん探しもあるんでしょ?」


「えっあっハイ・・・。」


「私も立候補しちゃおうかな?」


サンス王子はおどけるように私を見上げながらささやいていた。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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