麗らかな春の日差しの中で不眠症王子と出会う
「アンニーナ様、準備はよろしいでしょうか?」
バレリアに確認されて私は頷いた。
「それでは、参りますので足元にお気を付けください。」
「は~い」
オリエンスの王都に到着すると、バレリアとハルトに服装の最終チェックをされた。このまま現ウェール国王に謁見するので身だしなみは本当に重要だ。お父様の代理の訪問ということもあり一応国賓扱いとなっていた。
普通緊張するよね~。私もかなり緊張してる。
駅から出ると、オリエンスの国民の皆様が自国とプロヴェンツァーレ国の国旗を振って出迎えてくれた。
キャァ~とか綺麗~とか、ありがと!!と心の中でお返事しながら小さく手を振り返す。
そして、車に乗るとゆっくりとした速度で走り出した。
護衛の方が小走りで追いつけるぐらいの速度だった。
その間、ずっとアルカイックスマイルと手を振り続けた。
がんばった。私!
駅からお城まではあまり距離はなく、すぐにたどり着くことができた。城内に入ると護衛たちは自分達の車に乗り込み車の速度も上がった。誰も見てないしね。
車の窓を閉めると、ハルトがこの後の予定を話始めた。
国王に謁見した後は、王太子主催の昼食会がある。
その後、王太子との歓談になる。
「僕たちは、ウェール王太子との歓談の時は傍にいることができないのでお気をつけてくださいね!」
私はマナーの事だと思い
「大丈夫よ。そんなに心配しないで。粗相なんてしないから」
私はハルトを安心させるように親指を立てた。
「アンニーナ様、そのような事は・・・」
バレリアが言葉を濁しながら注意した。うぅ~。ごめんっ。
お城のメインゲートに着くと、車のドアがガチャっと開けられた。
私が降りようとしたとき、頭が車の上部に当たらないようにそっとエスコートしてくれた。ありがとう!見知らぬ紳士よ!
私は、入り口で待機していた青年と少年の方に向かって歩いた。
「ようこそオリエンス国へいらっしゃいました。私は今回プロヴェンツァーレ王女の案内役として指名されました。サンス・ウェール・オリエンスと申します。以後よろしくお願いします。」
「こちらこそ、私はアンニーナ・プロヴェンツァーレです。今回は父の名代でこの国へ参りました。よろしくお願いします」
私が、手をそっと差し出すとサンス王子は指に触れるか触れないかぐらいの距離で口付けをした。
色々な人の目があるけど、こういうマナーなの!お互いにスマートにこなさないといけないのよ!
すると、サンスの隣いる少年が
「ようこそいらいっしゃいました。私はサンス王太子の弟クスター・ウェール・オリエンスです。よろしくお願いします」
サンスの弟クスターはモジモジとしながら私の方を見た。
私もニコリと笑った後、再び手を差し出した。
兄と同じ事をするのが嬉しいのか、サンスの方をチラリと見た後同じように挨拶をしてくれた。
それを見ていたクスターは弟をねぎらうように頭をひと撫ですると
「さあ、父上が謁見室で待っています。さっそくそちらに向かいましょうか?」
との言葉をもらいそのまま移動した。
バレリアとハルトは使用人同士の打ち合わせがあるらしく別行動になった。
謁見室ではお父様と同じぐらいの国王がニコニコと笑いながらよく来たねぇ~。
ゆっくりしていってね!と言ってくれた。
うん。優しい~。
その後もスケジュールをこなし、今日最後の予定のサンスとの歓談になった。
少し疲れていた私をサンスはリラックスできるからと言って庭園の方を案内してくれた。
その庭は、サンス自身も疲れた時にこっそり尋ねるという国が管理しているというには質素な庭だった。
「本当はこれぐらいの規模が一番心安らぐと思うのですけどね」
サンスは見慣れているだろう庭は見渡しながら、歓談の為に用意してくれていた席に誘導してくれた。
「普段はあの東屋で一人で本を読んだり書類の整理をしたりするんだけど今回はみんな気合が入っているらしくわざわざタープまで張ってくれたよ」
と笑いながら自分達の上をソヨソヨと風に靡いている白い布を見ながら教えてくれた。
「そうなんですね~。風もすごく心地いですし、うっかり寝てしまいそうですね。」
私の言葉にサンスはクククと笑いながら
「その時は私がお部屋まで連れていきますから安心してください」
といたずらっ子の様な表情で伝えてくれた。
最後までお読みいただきありがとうございました。




