テーマ友情ですぐ頭に浮かんだもの
友情がテーマで、真っ先に頭に浮かんだベタなやつ。
とある学校の秋の恒例 (?)行事である長距離走大会。
そのイベントで一緒に準備運動をしている、仲の良さそうな男子2人がいる。
2人とも同じ位の身長で、髪型も同じショートヘアで、学校のジャージ姿なのであまり見分けがつかない。
それでも見分けようとするなら、顔つきが若干鋭い方と、顔つきが若干丸い方と表現しようか。
「一緒にゴールしような!」
「勿論だぜ!」
仲の良さそうな、ではなかった。 親友だった。
その親友2人がマラソンに意欲を見せ……いや、その確かな友情を学校全体へ見せつけようとしていた。
この2人は運動部に入っていないし、運動部に勧誘されるほどの高い身体能力は持っていない。
それでも2人のペースで最後まで一緒に走り抜いて、2人でゴールしようと誓いあったのだ。
マラソン大会は無事に始まり、2人も並んで一緒にスタートする。
走り続けていると、小さなトラブルが多発する。
スタート直後では、最初だけでもトップをとってやるとばかりに猛ダッシュをかけながら、他の走者を煽りたてるお調子者が現れる。
序盤は走者が固まっているので、他の走者とぶつかってコケるなんて事もたまに起きる。
中盤頃になれば「なんで走らされているんだ」「もう良いだろ」「歩こうぜ」「やってられねえよ、マラソンなんて」等の呪詛を振りまいて、走り続けようとする気力を削る者が現れる。
終盤が近くなればスタミナが切れて歩き出す走者が増え、視覚へ直接「もう歩いても良いんじゃないか」と訴えかけてくる。
それでも意地でも歩くまいと、歩くような速度であろうと走り続けている。
が、やはりそんな速度で走っているという事は、スタミナが尽きかけている証拠に他ならない。
なんとか走り続けて、ゴールが視界に入るようになった頃。
「俺達頑張ったよなっ!」
若干丸い方が今までを回想するように口を開けば、若干鋭い方が注意を促す。
「まだだ! ゴールするまで油断するなよっ!」
「……そうだなっ」
ゴールまでもうあと、およそ20歩残っていればいい方か。
その頃になると、顔つきが若干丸い方が不穏な空気を見せる。
それを鋭い方が察知するが、鋭い方のスタミナはもう尽きかけている。
なにかを言えるスタミナは残っていないので、丸い方をじっと見つめる。
すると……。
「ごめんっ!」
「っ!!?」
余力を残していた丸い方が、ここに来て加速した。
なんて事だ。
アレだけ仲良しで「マラソンを一緒にゴールしよう」と約束し合った仲なのに。
なんて事だ!
そのショックからか、鋭い方に叫ぶだけの力が湧いてきた。
「裏切り者〜〜〜っ!!」
「ホントごめんって〜〜!!」
これは、この行事では良くある光景。
なお親友2人は、約束を破った罰として丸い方がファミレスで美味いものをおごるって事に決まって、仲直りしました。




