階層950・暴走する魔法
「ついに僕も魔法を使えるようになったんだー!!」
なんで…なんでピヨッシーが話してるんだ?
しかも、ギソの死体の上で凄いぴょこぴょこしてるし…意味わからん。
「だ、大丈夫…ですか…」
白い狐が涙を浮かべながら俺の目の前に現れた。
こいつは聞かないとわからないのか?見ただけでわかるだろ。
「おい狐。」
こいつはもう狐って呼ぼっと。
「はわ、はい…」
狐にはいろんなことを聞いた。
なぜギソに攫われたのか、何をされたのか、なぜピヨッシーが倒れていたのか。
渋々ながら答えてくれた。その結果、俺は地獄を見た。
「私…魔法が使えるんです…」
「魔法なら俺も使えるけど?」
「普通のじゃないんです…おかしいんです。私の魔法…」
ギソの基地にいると息が詰まるから外に出て、湖の水を飲んだ。
「狐ぇ~。おかしいじゃなくてさ~。具体的に話してくれよ~。」
ん?なんだ?頭がくらくらするぞ?まるで酔っているみたいだ。
でも俺ぁ~酒なんか飲んでねぇし、みせぇ~ねんだし…
「あ」
コクッ
俺は隣にいる狐に倒れ込んだ。たまたまじゃな~よ。わざとだ。地面は固いし、汚れるからな。
でも酔っているみたいなのはわざとじゃね~い。
「どどど、どうしたんですか!?だ、だだいじょうぶ?」
何だ?こいつも酔ってんのか?
いやいや違うだろう。こいつは酔ってねえし俺も酔ってねえ!!
「これがお前の魔法か!!」
俺は一瞬にして立ち上がろうとしたが、池に落ちた。
それに気づかずに狐は話し始めた。
「ごめんなさい…私に近づく人、ううん違う。私に近づいた生き物全員がおかしくなっちゃうんです…」
狐はまた涙を浮かべて顔を隠した。
「ギソは…ギソ君は、元々優しい人だったんです。お父さんに怒られて意地派って村を出たときにはじめて会って。それから私は何回もギソに会いに行きました。優しくて、賢くて、かっこよくて…」
狐は話を止め、俺がいないことに気付いた。
「いない…」
ピヨッシーが自慢げに話した。
「ゲンゾーは池に落ちたよ!」
なんでだ?頭ではわかってる。早く池から出ないと…なのに体が動かない。
もうそろ息がやばいぞ。もう限界だ。
「また…私のせいで…ゲンゾーさん!!」
狐は服を脱ぎ棄て、池に飛び込んだ。
うわっ!?動く!動くぞ!!体が動く!!
俺は周りを見渡すと、白いもじゃもじゃがこっちに近づいてくる。
あれはなんだ?イカか?ゴミか?
あ、狐か。って裸じゃねえか!?
狐は裸で俺を助けに来た。別に来なくてもよかったのにな。
そんで…最高に興奮した!!
「ぷはっ!」
池から顔を出し、大きく息を吸った。
狐の顔を見てみると、少し赤くなっていた。せっかく綺麗な白色なのに…
でもまぁ、赤くても綺麗だな。美人は何しても美人か~。キツ姉ちゃんも何しても美人だったな。
池を上がり、狐は木の陰に隠れた。まぁこれが普通だな。
でもどうして急に体が動くようになったんだ?ま、考えても無駄かな。
「なぁ~狐?お前名前なんだよ?それとさ、なんでそんなに離れてんの!!」
今は村に帰っている最中である。でもなぜか狐は俺とピヨッシーに近づこうとしない。
また魔法が暴発しちゃうとか考えてんのかな?まぁもう大丈夫だろ。
俺は狐に走って近づきに行った。
「ミリンです!!ダメです!近づかないでください!!」
近づくとその分走って逃げていく。ミリンか~。きつねでいいや。
「ピヨッシー!あいつを挟み撃ちにするぞ!!」
ピヨッシーは俺の肩から飛び出し、狐を追った。
「任せて!僕が捕まえるよ!!」