欲しいなら、
ずっと好きだった。なのに、彼女は何処の馬の骨とも知らぬクソ野郎と結婚して……。
彼女の事が欲しくて、欲しくて…。なのに、手に入れる事がほぼ不可能な、ジレンマ。
嗚呼…、欲しい…。
欲しい欲しい欲しいほしいホしイ欲シイほシい欲しいッッ!!!
なんとかして、彼女を手に入れられる方法はないのだろうか?
例えば……其処で、名案が浮かんだ。只、それはーー…いや。私は、十分に我慢したのだ。だから、彼女も許してくれる筈だ。
私は待った、23年間。そして、漸く実を結ぶ。
「母さん。この女性と、結婚したいんだ」
恋人で、私の好きな人の息子は、そう告げた。それに、彼女は驚いた様に目を見開いて、私を見つめている。
嗚呼…私の事を見てくれた。しかも、今迄向けられた事がない、怒りの込められた痛い視線。
本当は、愛情が込められた優しい眼差しで見つめられたかった、ケド…。
「っ……あっ…えーっと……二人は、いつから……」
震えた声でそう尋ねる彼女に、息子は母親の気持ちに気付いてないのか、「子供の頃から好きで、高校を卒業する時に、思い切って想いを打ち明けてからだから……二年前かな?」と、呑気に答える。
彼女の遺伝子を半分引き継いでるから、期待していたが…あの男の方が強かったらしい。
「あっ…貴女は、それでイイの?」
淡々とした口調の中に、怒りを含ませた声音で、彼女は私に尋ねる。蔑んだ目で、私を睨む彼女。
彼女が、私の事を見ている。こんなに見つめられたの、は・じ・め・て♡嗚呼…もっと、私を見つめて。私以外、その視界に映さないでッ。もっと…もっと……。
「ずっと前から、(貴女の事を)愛してたの」