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ブレイブ&ルシファー  作者: イーグル
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65、戦いの果てに待つもの

アスの身体に宿る魔力のオーラ、紫色はどんどん輝きが大きくなっていく。魔力が順調に溜まっており彼の最強魔法の準備は歓声間近まで来た。


これにシュウは特に阻止しようと動き出す気配は無い、ただアスの姿を眺めているだけだ。


「どうしました!?慌てふためいて阻止に来るのかと思ったのですがそのまま棒立ちですか?それとも諦めて消し炭にされる覚悟を固めていますか!?はっはっは!それならば結構、せめて苦しまず楽にあの世へ送って差し上げますよ!」

完全にアスは勝利を確信、もう自分の魔法の発動は誰にも止められない。広範囲に及ぶ攻撃がこれからアスの周囲に展開されるのだ、逃げる事は不可能。一度発動すれば相手は確実に葬れる。



「…………」

だが、それでもシュウは何もしない。その場から動こうともしなかった。


「フン、せめて何か一言欲しかったのですがまあ良いでしょう。沈黙したまま果てるが良いでしょう!」

アスの魔力は溜まりきり、魔法を発動させようとしていた。



その時。





ドガァァーーーーーンッ ガスッ



「ぐわああああ!?」

突然アス自身が爆発が起こり、アスは爆破の衝撃によって吹き飛ばされ柱へと激しく激突。


「がはっ……!な、何が起こったと言うのですか……?!」

礼服が所々焼け焦げ、最初の頃の優雅さは何処にも無い。アスは酷いダメージを受けながら困惑した表情を浮かべていた。自分の身に何があったのか頭の理解が追いついていない様子だ。


「簡単な事、キミの中の爆弾が爆発しちゃったんだよ」

「ば、爆弾!?」

その時黙っていたシュウが口を開く、アスの中にある爆弾が作動したと。アスは自分の中に爆弾などあるはずが無いと信じられないでいたが少し考えると……。



「!!まさか、さっき私を殴った時に!?」

それはシュウがアスの後ろへと回り込んだ時だった、アスの頭を思いっきり杖で殴った時だ。

「それ、あの時に杖の先端にこういう種を仕込んでキミに取り付けたんだよね」

そう言うとシュウは杖を持つ右手とは反対の左手を見せる、その掌には肉眼では分かりづらい程の小さな種があった。

これを先程アスに取り付けたのだ。


「この種は魔力を餌に成長するものでね、成長と言っても大きくなる訳じゃない。気づかなかっただろ?爆発するまで、そして取り付けたのは……一つだけじゃないんだよね」

「な!?」

他にもまだあるのかとアスは慌てた様子で自分の髪や礼服を手で振り払い落とし、爆発を喰らわないようにしようとしていた。


その姿は隙だらけだ、そしてシュウはそんな無防備な敵に容赦などしない。



「魔王に匹敵する魔力……誰がそう言ったのか知らないけど、キミがそう思ってるなら改めて見せようか?その魔王の魔力っていう物をさ」

シュウは黒い玉を無数に発生させる、文字通りの無数。それは先程アスが見せた魔法と同じものだが数が違いすぎる。



「!?う、うわああ……!」

圧倒的なまでの魔力。嫌でもアスはそれを感じ取ってしまう、そこから湧き上がって来るのは恐怖。

死への恐怖が間近にあった。本当の魔王の暗黒魔法、それはアスとは明らかにレベルが、次元が違った。




「ダークボム・サイクロン!」



ドドドドドォォォーーーーーーーーーーーーーーンッ



「グギャァァァーーーーーーーーーーーーーー!!!!」

暗黒の爆弾、それが無数にアスへと飛んでいき次々と爆発。彼の断末魔が響き渡り、魔法に対する耐性がアスは高かった。だがシュウの魔力はその耐性を上回る破壊力を持つ、ただそれだけの話だ。


アスの礼服は焼け焦げ、アスは白目を剥いたまま倒れて絶命していた。これが吸血鬼の頂点に立つ男の最期だった。









「うおおおお!」


キィンッ キィンッ


ガーランはカリアに対して猛攻を仕掛け続けていた、剣を振り回し魔法を唱え続けカリアに反撃を許さない。

カリアはそれらの攻撃をいずれも剣で防いだり右へ左へと素早いステップで避け続けていた。


これにより反撃は許していないガーランだが未だカリアへ決定的なダメージは与えられていなかった。



「こんの!ちょこまかちょこまか動き回りやがって!」

攻撃を長らく当てられない事にガーランは段々イラつき始める、これまでの相手はすぐに倒れており粘ったとしてもこれ程長くはなかった。彼の戦いの中でこれほど長く続く物は今回が初めてと言っていいかもしれない。

一方のカリアは冷静でありガーランの動きをよく見て攻撃を躱し捌き続けており、未だ息は切らしていない。



「っ……くはぁっ…!」

その時、怒涛の攻撃を続けてきたガーランが僅かに息が乱れてきた。その際に攻撃が甘くなってカリアはそれを見逃さない。

「はああっ!」

「!?」


ガギィィッ


「ぐ!」

今度はカリアが大剣を振り下ろすとガーランがその攻撃を剣で受け止める、だが強烈な一撃だったのかガーランの剣を持つ手に若干の痺れが走った。

「うおおお!!」


カァァーーンッ


「ぐおぉ!?」

ガーランの剣が弾き飛ばされ宙を舞う、剣は地面へと突き刺さった。



「っ!?」

「お前の負けだ」

カリアの剣はガーランの喉元へと切っ先が向けられ、刺さるまで数ミリというギリギリの距離。

「く……!」

ガーランは観念したかのようにがくりと肩を落とした。これで決着かとカリアはそれを見て勝負はついたと確信。





「あ、カリア。さすがだね、ガーランに勝ったんだ」

「ガウーー」

物陰に隠れていたディーと合流してからシュウはカリアの元へと駆けつけていた。

「シュウ……てめえが居るって事は……」

「ああ、彼死んだよ」

シュウは視線をそちらへ向けて教えるとガーランもシュウの向く視線へと向くと黒焦げになって絶命しているアスの姿が遠くから確認出来た。


いけ好かない所があったがアスの実力は高かった、それこそ魔王に匹敵するのではと思う程に。だが現実は魔王シュウに全く歯が立たずアスは死んだ。子供の甘い魔王と思っていたが実力はやはり魔王の名に恥じない。



「ヴァント王国は滅び、裏で操るキミ達も敗れた。もうデーモンロード復活という野望はこれで終わりだよ」

「……」

表に居るヴァント王国の騎士団と魔物達はまもなくシュウの魔王軍が全員倒しきるはず、そうなれば残りはアスが死んだ今となってはガーラン一人。いくら彼がワーウルフとして強かろうが個人だけでは何も出来はしない。

彼が降伏するようならシュウは命を助けようと考えてた、離れたとはいえかつては同じ魔王軍だった。散々噛み付いて来たガーランが今この状況で降伏するのかどうかだが。







「…………ク、クク……」

「何がおかしい?」

その時ガーランは笑っていた、カリアは何かおかしな事でもあったのか剣を突きつけたまま問う。


「デーモンロードが……どうやって復活するのか知ってるのかよ?」

「どうやって?」

古の悪魔の復活方法、具体的な手段については何も聞いていない。アスもガーランもそれに関しては何も喋っていないしミナの情報でもそれは掴んでいなかった。



「デーモンロードはな、この地上で戦いが起こればそこから充満するエネルギーを餌として吸収していって力を蓄えてんだ。俺らだけじゃない、この世界全体での戦いだ」

「!お前、まさか…!?」

ガーランの語るデーモンロードが蘇る方法。それを聞いてカリアは気付き、シュウもハッと気付いた。


「そうだ!勇者カリア!魔王シュウ!お前らが始めた人間の国との戦い、それ自体がデーモンロードの餌になってたんだよ!お前ら阻止したつもりだろうがな、てめぇで呼び起こしてんだよ古の悪魔王をよぉ!」

此処に来てガーランは勝ち誇るように笑った。全てはデーモンロードの為になっていたカリアとシュウの人と魔の共存する世界の実現に向けた戦い。


「そんなハッタリが……!」

カリアは苦し紛れのハッタリでガーランはこちらを惑わせようとしていると考え、ガーランの言葉を信じないようにした。

だが、その時……。




ゴゴゴゴゴ……



「!地震……!?」

「が、ガウ!?」

突然地面が揺れてディーは身体がよろけながらもシュウへとしがみついてシュウもディーを左手で抱き止めた。


「この地にデーモンロードは封印された、そして間近で戦いが起これば奴にとっては最高の餌……エネルギーとなるんだ!ははは!お前ら間違いなく終わりだ!ジ・エンドだ!!」

自然発生の地震ではない、ガーランはこれがデーモンロードの目覚める時だと確信した。


「間近で……貴様!だからわざわざ騎士団を狂わせて見境なく戦わせて放置していたのか!それがデーモンロードの餌となるから!」

「今更遅ぇよ!さあ、悪魔王の目覚めの時だぜぇ!!」



ドガァァーーーーンッ


一行の近くにある神殿の床が突然一部吹き飛ぶ、それと同時に地震は収まる。今の揺れはその者が引き起こした物なのだと思わされると床からそれは出てくる。





「っ……この魔力は……デーモンロード……!」

カリアが剣で身構える横でシュウはとてつもない魔力を感じ取ってしまう、今までの魔力で一番高い反応だ。

それは自分に匹敵か同等、またはそれ以上の可能性。それ程の強大な魔力を持つ者が今現れようとしている……。

まずは此処まで見ていただきありがとうございます、戦いに決着がついたかと思ったら一番問題ある者が動き出そうとしている回です。カリアやシュウはどうなるか、次回をお楽しみに


この話が良いなと思ったらブクマと評価よろしくお願いします。評価方法はページ下にある☆☆☆☆☆をタップです、こういう評価が執筆のモチベに繋がったりします!

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