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ブレイブ&ルシファー  作者: イーグル
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44、決戦前の作戦会議

「魔王軍はマードン王国を制圧、そして次なる狙いはロウガ王国。その先にある……此処ヴァント王国と思われます」

ヴァント王国、王の間にて兵からの報告を堂々と玉座に座って聞いていた国王ベーザ。

「予想通りだな。此処を狙って来るのであればそのルートしかあるまい、奴らはマードンを制圧して調子に乗っているだろう…時間稼ぎとも知らずにな」

魔法騎士団を持つマードンを落とされても特に動揺する様子は無く、むしろ思い通りに事が運んでいてベーザの口元はニヤリと笑っていた。

マードンはただの時間稼ぎ、だからヴァント王国から兵を出す事は無く彼らには犠牲になってもらったのだ。この事はマードン王国には一切伝えておらず彼らはこの事実を知らずに国を落とされ命を散らしていった。これも魔王軍を倒し、今の世を静めるならば小さな犠牲だと切って捨てている。

「今度は我がヴァント王国も本気で魔王軍打倒に動こうではないか、ロウガ王国の騎士団も猛者揃い。更にドラゴンライダーの居る傭兵団に向こうの魔王軍の懐にはターウォの者達が潜んでいる。奴らは既に袋の鼠よ」

「ロウガ王国は戦力を整え、磐石の布陣で魔王軍を何時でも迎え撃つ準備がある。と伝言を受けております」

「うむ、流石我々に匹敵する大国だけあるわ。外からは多くの騎士団の猛者、中からはターウォの奇襲。奴らを始末すれば魔王軍にこれまで制圧された場所は後からゆっくり取り返せるという訳だ」

魔王軍の包囲網は整い、後は袋叩きにし魔を全滅させれば全部が終わる。そして元通りの自分の思い通りに出来ると思うとベーザの笑いは止まらなかった。


「しかしリオンの奴め、まだ戻らん気か」

「はっ…各国を巡って見聞を広め将来のヴァント王国の役に立ち、リオン王子はさらなる繁栄の為にと城に戻る気配は無さそうです」

「それは結構な事ではあるが何も今この大事な時でなくともよかろう。全く、変に勉強熱心な息子に育ったものだ」

リオンの思惑をベーザは知らぬまま魔王軍が侵攻してきた今も城に戻らず各国へ回っていて勉強熱心過ぎると軽くため息をついた。

本当は父親である自分から逃れる為なのだが…。












マードン王国にある作戦会議室、アムレート程の広さではないもののカリアとシュウ、参謀のミナに魔王軍の長を務めるゼッド、バルバ、クレイ、マリアンといった面々が会議するにはそれでも充分過ぎるぐらいの広さだ。

それぞれ席に座って会議は始まっている。

「この度のマードン制圧はゼッド、バルバの2部隊の活躍で成功しました。これで次に待ち構えるのはロウガ王国、騎士団の数はヴァント王国の騎士団と比べ小規模ではありますが一人一人が強く、ヴァント王国騎士団にも匹敵する程との事です」

手元の資料にミナは目を落とした後に全員へと次の戦いについて、その相手について分かっている事を伝える。

「ヴァント王国騎士団ねぇ……けど、それ以前にゼッドの旦那が纏めてやっちまった事あるよな」

バルバは以前にヴァント王国騎士団がゼッド率いる竜の軍団によって全滅させられたのを思い出す、それはカリアがヴァント騎士団長のベンに裏切られた時だ。ベンはシュウの業火によって葬られ、それ以外の騎士団はゼッド達が全員倒している。

ならば恐れる必要は無いのでは、バルバが言わんとしている事はこの場の全員に伝わってきた。

「確かに騎士団長も出ていて腕利きではあったが…あの時の騎士団は荒削りの者が多かった。当時の私を魔王もろとも消す為に騎士団長という実力者を置いて残りは遠征で成長を期待してか、または居なくても支障の無い、悪く言うならば戦力があまり期待出来ないような騎士…それを同行させた可能性がある」

「つまりそいつぁ……あの時相手してたヴァント騎士団はただの雑魚の集まりだったって事かよ!?舐めた真似しやがる!」

「あくまで可能性だ、そこまで熱くなるな」

カリアの説明を聞いてバルバはヴァント王国にコケにされたと感じて表情は怒りへと染まっていた。それに比べゼッドの方はというと落ち着いた表情で頭に血が上った様子は特に無い。

「それを聞いて安心した、最強の強国の騎士は本来もっと強いという事だな。なら今度こそ骨のある者達と戦えそうだ」

ゼッドはこういう男だった、強い者との戦いに喜びを感じ血を滾らせる。この前戦ったヴァントの騎士団が歯ごたえ無しでガッカリしていたが本当の力を持つ事を知ればもっと強い本来の実力を持つ騎士団と戦える。どうやら今回も彼が最前線に立つ事は確定で間違い無いだろう。


「(まあ、その最強の国の騎士団長は魔王様があっさりと消しちゃったけどね)」

当時の騎士団が新人や素人でも騎士団長まで弱過ぎるという事は無く、実力の無い者で勇者と魔王を殺すなど流石にベーザもそれは考えていないはず。だが力あるはずの騎士団長ベンはシュウの手で死んだ、マリアンはその事を言わず黙ってシュウへとちらっと視線を一瞬だけ向けた。

「では最前線はゼッド、何時も通りキミに任せるという事で問題は無いかな?」

「お任せください!」

シュウの言葉を受け、ゼッドは任せろとばかりに自分の胸を叩き張り切っている様子だ。

「なら私も出る、ヴァント王国騎士団が相手であるなら無視は出来ん」

今回の戦にはカリアも出ると言い出す、元々はヴァント王国に裏切られ報復という目的もあって魔王軍と手を組んだのも理由の一つだ。

「勿論。存分に戦うといいよ、ゼッド。良いよね?」

「……はっ」

ゼッドとしてはカリアの助けなど不要と言いたかったが、カリアが今回特に譲る気配が無い。更にシュウからもそう言われれば駄目だと言えなかった。


「…何時も以上の大きな軍ならこっちも、石人形とかスケルトンとか用意する…勿論今度は凶暴化にも気をつける…」

クレイの方も石人形やスケルトンといった自分の方の兵を前線に送る準備はする、言葉の最後に呟いたのは前にアスの魔法によって自分の人形達が支配され狂わされた事が影響しており静かながらも二度とアスに人形を奪われるものかと密かに闘志を燃やしていた。

傍に居るミニゴーレムは彼を落ち着かせんと背中をポンポンと無言で叩く。



「ガウーー」


ガブッ


「あ、こら……ディー…それ、食べ物じゃない…」

そのミニゴーレムの頭をディーはかじっており、ミニゴーレムはあわあわと慌てておりクレイも慌ててディーを止めに入る。こうして見れば子供が更に自分より小さい子供の面倒を見て奮闘し、なんとも微笑ましく見える。



「それで、バルバの空の軍団は…向こうが新たに迎え入れた傭兵団、その中にドラゴンライダーと呼ばれるドラゴンの乗り手である戦士がいます」

「ああ…聞いた事あるぜ。人間の中には竜と心を通わせて認められた者が共に戦う、そんな奴が居るってな」

「はい、竜の力と優れた戦士の力が合わさって戦えば大国の騎士団一つに匹敵するとまで言われます。たった一人のドラゴンライダーだけで」

ヴァント王国が最近新しく作った傭兵団、それが自分達とは違う魔族の集団との戦いで力を振るっていた事はミナも知って情報を入手していた。その中に世界でも数少ないドラゴンライダーがヴァント王国に味方しているという。

「空から強襲されては厄介なのでバルバ達は総力をもってドラゴンライダーを抑えてください」

「はっ!ドラゴンっつってもゼッドの旦那程の化物じゃねぇだろ、人間ごと切り裂いて地面に叩き落としといてやるよ」

言われるまでもないといった風でバルバはそう言うと用意された赤ワインで満たされたグラスを持てばグイっと勢いよく飲んだ。



「戦いの時は僕も行こう、ああ…勿論前線は任せるよ」

「あら、魔王様自ら?やっぱり勇者が出ると出たがるのですね」

シュウも今回の戦には自ら参戦、それにマリアンはからかうように言う。カリアが戦いに出る時は何時もシュウは戦いに出る。つまりそういう気があるからではないかと。


「今回は特に大事な戦いだ、そんな時……余計な邪魔者に入られたくないからね」

マリアンの言葉が聞こえたか聞こえてないか、シュウは目の前の騎士団や傭兵団以外を見ていた。同じ魔族であるガーランとアス、そして彼らの背後に居るであろう古の悪魔の王デーモンロードを。

まずは此処まで見ていただきありがとうございます、次に戦う相手が今まで以上に大きな戦力を持つので入念な作戦会議の回となりました。


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