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ブレイブ&ルシファー  作者: イーグル
32/78

30、大国に集う強者達

「うおおおーーー!」


大勢の人間が施設へと集まり中央にある舞台へと注目する。


そこには闘う男達がいた、剣や槍に斧、時には魔法や拳で戦いを繰り広げる者とスタイルは人それぞれだった。


此処はヴァント王国が主催する武術大会、各国からまだ見ぬ強豪を集うために勇者カリアの優勝以来再び開催されたのだ。大会は盛り上がり、その強さや試合で人々は熱狂。強者の発掘と同時に国としての利益なども兼ねていた。


強者同士がぶつかり、片方が接戦を制して勝ち上がりまた強者同士が激突する。その繰り返しで会場のボルテージは上がり決勝まで来れば最高にまで到達していく。


決勝まで勝ち上がった大柄な男達、片方が斧を扱い片方が大剣を振るう。互いに破壊力ある獲物を持ち武器によるぶつかり合いは一際激しい物があり、流石決勝戦と言うべきか勝ち上がって来た強者達の力と力の激突は迫力充分だった。


力の限り武器を振るい、技を繰り出し続ける男達。



そして大剣が斧を吹き飛ばし斧を持っていた男は丸腰、その首元に大剣の切っ先を突きつけて勝負は決まった。



「それまで!勝者ドルム!」



武術大会の優勝が此処に決まり会場からは歓声が沸き立ち拍手も起こっている。ドルムという男は190cm程の大柄で筋肉質、黒い角刈りで軽装の鎧を身に付けている。大剣が重量ある分、防具の方を軽量にしていた。大きな体の割に素早く、パワーとスピードを兼ね備えて更に30代で戦いの経験を積んでおり今大会優勝候補ナンバーワンと言われていて下馬評通りの結果となったのだ。

彼が今大会を制してカリアに続く武術大会の覇者に輝き大会は終了したのだった。






武術大会が終わり、大会の優勝者ドルムを始めとした実力者達が翌日にヴァント王国の城へと招かれて王の間に通されると国王であるベーザが姿を見せる。

「待たせたな、武術大会を戦い抜いた勇猛果敢な猛者達よ。まあ楽にするといい」

ベーザが現れるまでドルム達は玉座を前に片膝をつき、頭を下げていた。ベーザの言葉を受けて皆がその頭を上げる。



この度ヴァント城に招かれたのは優勝者のドルムの他に大会ベスト8まで勝ち上がった戦士達、ドルムを入れて8人の者達が集まっている。



大きな戦斧を装備し、分厚い鎧兜に身を包んだドルムと同じぐらいの大きな身体である重戦士のモーザ。決勝戦まで勝ち進み惜しくもドルムに敗れ準優勝となっている男。

動きは鈍いが少しの攻撃ではビクともせず斧を軽々と振り回す人間離れしたパワーで相手を圧倒する。



茶髪で長髪の男、黒い布の服を着て腰に剣を差すスピードを長所としている剣士のローレ。彼は準決勝まで勝ち進みドルムに敗れている。

目にも止まらぬスピードと剣術が自慢であり武術大会ではルックスのおかげで女性人気が全出場者で一番を誇っていた。



青髪に短髪で眼鏡をかけ、グレーのローブを着て身の丈程の長い杖を持った長身の男ウィザ。見た目通り彼は魔法を扱い、準決勝まで勝ち進み、モーザとは戦う前に自ら辞退して棄権負けとなった。

強力な攻撃魔法を操り、補助魔法も得意としていて相手を倒すだけでなく自分や味方を強化する術も持つ優れた魔法使いだ。



頬の切り傷を持つ黒髪の男、ローレと同じく重さを嫌ってか軽装の鎧を着ずに青い服を着て他の者と違って武器を持たない。彼は拳闘士のザック、武器は己の拳のみだ。

素手で勝ち上がって注目されてきて来たがモーザの鉄壁の鎧は破れずベスト8で敗退した。



ヴァント王国騎士団の鎧に身を包み、唯一ベスト8に自国の騎士代表として勝ち上がってきた若き騎士アーガス。体格がドルムやモーザにも劣らぬ程に恵まれており、今大会最年少者でもある。

期待の若手騎士として剣を振るい勝ち上がりウィザとの試合で惜しくも敗退している。



頭を丸め、神父服を動きやすくカスタマイズした格好で神に仕える身にも関わらず闘技場に参加し聖なる魔法に回復と更に両手持ちの鋼鉄の長い棒を武器として相手を叩きのめしてベスト8まで勝ち残った僧侶のガンスター。

僧侶と思えぬ攻撃的な棒術と自身を回復させ、大会優勝のドルム相手に試合の最長時間を記録した。



緑の布の服を着て頭にも同色の帽子を被り狩人のよう格好した男。その見た目通り弓矢を扱い、1対1で近距離戦の者が多く不利なのではないかという下馬評を跳ね除けベスト8まで勝ち残った弓使いのカーロン。

普通の者よりも弓矢を準備し放つのがとても素早く、ローレとの試合では速さと速さの勝負を展開していた。



いずれも腕利き揃いである男達が今大会ベスト8で頼もしき存在だとベーザは頷いた。



「優秀な諸君の腕は見せてもらった。そこで皆には魔王軍討伐隊に加わってもらいたい!無論タダでと言うつもりなど無い、高額の報酬は用意する。更に魔王軍の魔王を討ち取った者には望む物をなんでも与えようではないか!」

ベーザは魔王軍を倒す為の戦力を確保しようとしていた、そこで手っ取り早いのが各国から自国へと来させる事だ。

高い優勝賞金を用意し、優勝の名誉と共に富を得られるのは魅力的だと感じる者は多いはず。事実多くの猛者達はヴァント王国へとやってきて大会への参加を表明、優勝を目指していずれも力の限り戦った。

そしてその選りすぐりの8人をスカウトすれば即戦力となり要にもなるはずだ。



「何でも…本当かよ国王様よ?」

「こら!王に対してなんたる口の聞き方だ!」

ベーザの話を聞いていた優勝者のドルムは破格の報酬と思って本当にくれるのかと疑いを持っていた、長年戦って来て酸いも甘いもある程度は知っており今の話がただの口約束かもしれないと。そのドルムに王の傍に控えていた大臣が怒ってドルムを指差す。

「まあ待て、流石に大げさではあったが望む物は我がヴァント王国が全力で用意することを約束する。それだけ魔王軍を討ち滅ぼす事に大きな意味がある事を分かってもらいたい」

「うむ…世は魔王軍の侵攻が続くばかり、噂では頼れるヴァント王国騎士団の騎士団長殿率いる軍と更に勇者カリアが討伐に向かって行方不明と聞きますからな。彼ら程の猛者でも止められず侵攻は続く…なのでそういう報酬なのでしょう」

僧侶のガンスターは此処に来る前に勇者達の行方不明という噂を聞いており、彼らはおそらく死んだ。あの強者達でも無理で自分達へ白羽の矢が立って報酬は跳ね上がったのだと推測した。

「良いじゃねぇの、旅の路銀はいくらあっても困りはしないし贅沢出来るに越したこたぁないだろ」

拳闘士のザックはあまり深くは考えず良い報酬で贅沢出来れば良いと思い気合が入ったのか自分の掌に拳を当てた。

「豪華に世界一周旅行とかしてみたいと思ってた所だ。その報酬で…まあ充分可能っぽいだろうな、天下のヴァント王国が用意するぐらいなんだ」

眼鏡を上に微かに上げ、報酬を貰って旅行する事を考えていたウィザ。大国が全力で用意すると言うぐらいだから世界一周旅行も充分可能なはず。



「アーガスよ、我がヴァント王国の騎士としてお前が魔王を撃ち破った暁には報酬だけでなく次の騎士団長をすぐ任せよう!」

「!よろしいのですかベーザ国王…!」

「良い、何時まで経っても報告の一つも無しで戻らぬベンが何時までも不在ではヴァント王国騎士団としての威信に関わって来る。奴もそろそろ年で若い者がそろそろ受け継ぐべきだと考えていた所だ、やれるか?」

「はっ!このアーガス、必ずや魔王軍を滅ぼし世を清めて見せましょう!」

国王の言葉を受けてヴァント王国の騎士アーガスは敬礼して応える。行方の分からないベンをもう騎士団長には置けずベーザは早々に切り捨ててアーガスを新たな騎士団長候補として見ており彼のやる気を出させようと騎士団長の座を約束し、これに彼は魔王を討つと誓ったのだった。

「あーあ、あの騎士団長さん捨てられたのかね。かーわいそう、同情はしねーけど」

これに小声で弓使いのカーロンは呟き、今の会話でベーザはベンを見放して国の威信を優先して考えてるというのが分かったが彼にとってはどうでも良く報酬を貰ってさっさとおさらばする事を考えている。

「………良い酒が飲めれば、いい」

「ほう、気が合うな。ならば褒美に極上の酒でも頂きたいものだ」

モーザとローレ、いずれもが酒好きであり報酬には酒を望んでいる。それもヴァント王国にかかれば最高級の酒を用意する事など造作もないだろう。



「では、諸君には今日から傭兵団としてヴァント王国に力を貸してもらう事になる。更にそこに9人目の助っ人にも入ってもらおう」

「9人目?ベスト8以下の奴で見込みある奴でも見つけたか?」

大会から他に優秀選手でも見つけたのかとドルムは予想していた、そして国王に呼ばれるとその者は王の間へと入って来る。


ボサボサの赤髪で顔立ちは中性的で額に黄色いヘアバンド、赤い布の服の上に黒い胸当てを装備しており身長は170cmぐらい。ベスト8の男達と比べれば身体は恵まれておらず年齢としては最年少のアーガスより更に下に見える。

「誰だ?あいつ」

「さあ…大会で見かけた覚えはありませんね」

8人がその顔を見るがいずれも大会で顔を合わせたり見かけた覚えは無い。


「ドラゴンライダー・アード。此処に」

「!?」

王の間に現れ、ベーザへと敬礼するアードと名乗る者。その者の言葉に驚く者が居た。

「おい、どうした?何驚いてんだ?」

訳がわからないといった感じのザック、彼からすれば驚く要素など特にあるとは思えなかった。

「知らねぇのか!?ドラゴンライダーって言ったら…ドラゴンに乗って戦う戦士で世界でも数少ないって言われてるんだよ!」

「竜に乗るなんてどんなに力のある戦士でもそれが出来る訳ではない、竜に認められた者だけが許される…それが竜使い…ドラゴンライダーだ」

大会優勝者のドルムも、冷静な剣士ローレも驚く程であり彼らにドラゴンライダーが共に戦ってくれる。それが信じられない事であり同時にとても頼もしい存在が来てくれた事になる。

「つまりこの戦…貰ったようなもんじゃね!?楽に褒美ゲットは美味いわー!」

強いドラゴンライダーが味方で居てくれるなら自分は楽出来るとカーロンはこの加入を歓迎し手を叩いた。


「(ドラゴンライダーに武術大会の強者達…これで我がヴァント王国の戦力は磐石というもの!魔王を倒し覇権は我らが握れるというものよ!)」

ベーザは各国から集いに集った猛者達の加入に内心で確信していた、魔王軍をヴァント王国が討ち滅ぼし世界の覇権を握れる事を。それしか考えておらず他にはあまり目を向けるような事は無い、それ以外を重要と見ていないだけなのかもしれない。


そしてベーザや8人が話す様子をドラゴンライダーのアードはただ静かに見ていた…。

まずは此処まで見ていただきありがとうございます、滅茶苦茶名前あるキャラ出る回でした。その名前一つ一つ考えるのに時間がかかって最近の回でも一番苦戦したかもしれないです。


この話が良いなと思ったらブクマと評価よろしくお願いします。評価方法はページ下にある☆☆☆☆☆をタップです、こういう評価が執筆のモチベに繋がったりします!

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