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ブレイブ&ルシファー  作者: イーグル
27/78

26、再び魔王は勇者に翻弄される

今回はおねショタ要素強めです、苦手な方は観覧をお控えくださいませ。

シュウに懐く赤子のドラゴン、ディー。


夕飯のハンバーグをペロリと平らげた後もシュウの傍に居て変わらず彼のマントをカジカジと噛んでいた、まだ腹が減っているのかそれともこれはただ遊べという合図なのか。

遊ぶと言っても幼い竜との遊び方についてはシュウは知らない、さっきゼッドに食べ物について聞きに行った時に遊びに関しても聞いておけばよかったかもしれない。

「お前は何をして遊びたいのかな?」

「ガウー」

未だ自分のマントを噛んでいるディーの頭を優しく撫でてみる、それにディーはすんなりと受け入れてシュウの撫でる手が気持ち良さそうな様子だった。


幼い頃は例えば自分だと何をして遊んでいたのか、どれくらい振り返ればそこに辿り着けるのか分からないくらい昔だ。魔族の人生は長い、人間の子供と変わらぬ姿とはいえシュウは永く生き続けているのだ。そんな自分が本当に産まれたての頃どうしてたのか。その時は物心つかぬ時期だったはずだから覚えているはずが無い、人間だけでなく魔族も例外ではない。

それでもシュウは自分は何をして遊んでいたか、可能な限り記憶を遡り続ける。

「…ボール遊び、か」

その時シュウは思い出す、当時やっていた遊びはボールを使って遊んでいた事だ。それを思い出すとシュウはそこからすぐ行動に出た。







「竜のボール遊びとは初めて見る」

「ああ、僕もだよ」

夕焼けの空、オレンジ色に照らされ闇へと染まるのはもうじきであり一帯が暗くなるのは時間の問題だった。

アムレート城の中庭でシュウはディーと共に街で余っていたボールを食糧と交換で貰い、遊び道具を無事に手に入れシュウはディーへと優しくボールを投げる。それにディーは口で上へと跳ね上げてその後に尻尾で打ってシュウへとボールを返す。

そのキャッチボールのやり取りをカリアは二人の間に立って見ていた。

人と人のボール遊びはよく見るが竜と魔族によるキャッチボールを見るのはカリアにとって初めてだが人間にとって珍しくても魔物達の世界ではこれが当たり前なのかもしれない。

「成長し、あの青いドラゴンのようなパワーが付いたらとんでもないボールが飛んで来そうだな」

「そうなったら流石にまともに受け止めきれないよ」

親の青いドラゴンのように大きく成長してもボール遊びをしてくれるのかどうかはディーが成長しなければ分からない、ただ大きくなったドラゴンのパワーは桁外れだ。カリアの想像するパワーあるボールを打った時にボールが破裂されかねない。

このディーが大きくなるまでどれくらいの時間が必要になるのか、やはり成長したらあの青いドラゴンのようになる可能性はある。


そんな考えをよそにディーはボールの方をカジカジと噛んでいた。

「こらこら、それは食べ物じゃないから。僕のマントも食べ物じゃないけどさ」

ボールを食べてしまうかもしれないのでシュウはボールを食べないようにディーへと注意。1日面倒を見て確実に言える事はディーは何かと噛む癖がある、しかし何でも噛む訳ではない。今の所はシュウのマントとボールぐらいだ。



話している間に空は夕焼けから闇へと染まって辺りは暗闇に包まれ始め、時間帯は夜へと変わる。ディーはボールを離すと大口を開けた、それは欠伸をしているような仕草に見えた。

「眠いのか。じゃあ部屋に行って休もう、歩けるかな?」

そう言うとシュウはディーと共に歩いて移動を開始、眠気がありながらディーはシュウの後をついて歩きシュウはあまり速くは歩かずディーの歩きに合わせる。

そんな二人の様子を見ながらカリアも護衛で付いて歩いて同行するのだった。




アムレート城の王族が元々使っていた寝室はやはり王の間や他の場所と同じく煌びやかであり一人で部屋を使うには充分過ぎるぐらいに広い、ベッドも2人どころか3人ぐらい余裕で眠れる程に大きかった。

この部屋を今はシュウの寝室として利用させてもらっており、今の主は新しくこの世に産まれた子を連れて此処へと戻って来る。

「さて、ディーは何処で………」

「zzzzzz」

ディーの寝る場所を何処にしようかとシュウが決めようとしていた時にディーはテーブルの上に乗って身を丸めて寝ていた。起こそうにも既にイビキをかいて夢の世界へと一足先に旅立ったようなので、これでは起こすのは悪い。

「テーブルは寝る場所じゃないんだけどなぁ…」

困ったようにシュウは軽く息をついた、今は身体が小さいディー。テーブルに余裕で乗れるが何時か大きく成長したらそれも出来なくなる、それまでにテーブルは寝床ではないというのを教えておかなければならないようだ。

「赤子のお世話っていうのは疲れるもんだね………」

シュウは着ているマントを脱ぎつつ、眠気が急激に襲って来て足元がおぼつかない感じになってきていた。それを見てカリアはシュウを支える。

「大丈夫か、あの雪原から結構な魔法を使い続けてきて疲れが出た方かもしれん」

「僕の魔力はそんなヤワじゃないよ……ディーの世話と比べれば楽……」

そう言う前にシュウは完全に崩れ落ち、その身体をカリアが完全に支える形となった。今回の雪原での魔法の連続使用、更に慣れない竜の育児と更に今までの活躍で一気にその疲れが出たのかシュウは一気に眠気に襲われてディーと同じく眠りに落ちていた。

「魔王も大変だな」

シュウの体重は小柄な子供と変わらぬ軽さ、普段大剣を持ち重い鎧を装備して戦うカリアにとってはそれを運ぶのは造作もない。シュウの身体を軽々と抱き上げてベッドまで運び、そこに寝かせると改めてシュウの寝顔を見てみれば魔王という事を忘れそうになる可愛い少年の寝顔だった。

「(この姿で彼は色々やってきた、青いドラゴンの戦いもシュウが居てくれなければどうなっていた事か)」

青いドラゴンとの戦い、シュウがいなければ上手く行く事は無かったかもしれない。この小さな身体で彼は魔王として様々な働きを重ねた、部下よりも働く頂点に立つ者。

その彼に負担を少しでも軽くしたいと思いカリアはシュウの髪をそっと撫でる。撫で心地の良いふんわりとした感触だった。

「……(ふう、私も少し疲れたかな。眠い……)」









「ん……」

どれくらい時間が経過したか、シュウは夢の世界から帰還。彼が最後に覚えているのはディーを寝かせた事だ、確かテーブルの上で寝ているはず。それからの記憶はぷっつりと途切れている。

今の自分の身体は横になった状態、そして何やら顔全体に伝わる柔らかな感触。

それは凄く心地が良くて現実へと戻ってぼーっとした頭ではこのままもう一度眠ってしまいたい、ただ何やら息苦しいような感じがしてきた。一帯今の自分はどうなってるのかとシュウの頭は段々と覚醒へと向かって行く。

「………!?」

意識が覚醒してくるとシュウは気づく、気づいてしまう。

今シュウはベッドで寝ている。しかし一人で寝ている訳ではなかった、共に寝ているのがもう一人居る。

それはシュウを自分の胸の中でしっかりと抱いた状態で眠っているカリアだった。カリアは何時もの鎧は着ていない、流石に眠る時に鎧を着たままではどんな極上なベッドでも寝心地は悪い。

今のカリアの格好はノースリーブの白いシャツと青い短パンという格好、普段鎧で隠れてる大きく魅力ある胸の中にシュウは埋まっていて頭もカリアの腕が回って抱かれていてシュウは全く動けない。

「(な、なんで…!?)」

この状況、異性とこういう状況でシュウの胸は自然と高鳴っていき戸惑う。もう眠気など何処かへと消え去ってしまっていた。

魔王軍の魔王が同じベッドで勇者の胸に抱かれて眠るという光景はおそらく今までの歴代で無いだろう。というより誰もそれは想像もしていそうに無い。

今のシュウの様子など知る由もないカリアは熟睡しているようでシュウを離す気配は無くしっかり抱いたまま眠っている。



結局全然動けず頭の回らぬシュウはカリアが起きるかディーが起きて騒ぐまでずっとカリアに抱かれ包まれ続けるしか無かったのだった…。

まずは此処まで見ていただきありがとうございます、今回はもうおねショタの部分強めで行きました。

こういうのは書いていて楽しい!次は何時になるのかお楽しみに。


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