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ブレイブ&ルシファー  作者: イーグル
24/78

23、青い竜

外の猛吹雪の景色は変わらず、一体どれくらい時間が経過したのか分からない。雪化粧を呑気に楽しめるような状況ではなく、ひょっとしたら此処で一晩過ごす事になるのかもしれない、そんな現実も見えて来る。最悪の場合はシュウの移動魔法で吹雪の範囲外まで逃れれば良いだけだが原因が何も分からず収穫無しで終わればいづれ住民が苦しむ、ならギリギリまでせめて粘ってみようと3人は洞穴で様子を伺い続ける。


「一体この果てしないブリザードは何処まで続くのやら…」

「おい、あまり前に出るな。危険だぞ」

「魔王の僕にそれを言うかい?」

シュウが洞穴の出入り口まで進み、より近づいて外の状況を確かめようとする姿が見えてカリアは呼び止める。見た感じは好奇心旺盛な子供が外へ出たがっているような姿ではあるがシュウは全魔物と魔族の頂点に立つ魔王だ。それに彼は寒さから身を守る結界のような物を張れる術を持つ、あまり心配は無いかもしれないが念のためである。

出入り口近くへと来てシュウは外を見回せば何処を見ても吹雪いており薄暗い。帰る術が無かったら確実に遭難していてもおかしくない、それ程の天候だった。


しかしやはりおかしかった。まだ季節としてはこの辺りに寒さがやって来るには早い、なのに急にこの天気だ。自然にやって来たのではなく何かの影響があってこんな雪の嵐になってしまったのか。目に見える物だけでは何も分からない、ならば周囲に何か気配は無いかとシュウは目を閉じて集中する。

すると身を吹雪から守りながら歩いていたせいで探る余裕までは無かったが今の吹雪そのものに魔力を感じた。これに気づくとシュウは目を開ける。

「二人とも、これは…魔法による物だ」

「!?」

「魔法だと…?」

カリア、ホルトの両名は今の天候が魔法によって引き起こされている事に驚く。少なくとも並の魔法使いではこの規模の天候を長く発生させるどころか発生自体も無理だ、しかし余程の高レベルの魔法使いが吹雪を起こし続けているとしてもそんな事をして何の意味があるのかが全く分からない。

「これが魔法だと分かればそこにある魔力…その源を辿れば原因に辿り着くはず」

シュウは再び目を閉じ集中して吹雪の魔力を感じ取り、その元を探って行く。



「……!こっちだ!」

「シュウ!」

目を開けた後にシュウは吹雪を守る結界を張り、洞穴から外へと飛び出して行った。それを見てカリアも飛び出しホルクは火を完全に消してから後を追いかけに向かった。

「分かったのか!?この天候となっている原因が!」

「ああ!何でこんな所に居るのかまでは知らないけど、それが起こさせているのは確かだ!」

カリアが走るシュウへ追いつき隣を走り、それからやや後ろにホルクが続いている。進むにつれて吹雪の勢いは増していき進むのも困難になってきた。するとシュウは立ち止まると杖を地面に突く、次の瞬間猛吹雪がまるでシュウ、そしてカリア、ホルクを避けるように素通りしていく。

「これは…!?」

「魔法を全体にかけた、このままだと満足に進めやしないからね」

「移動魔法といい何でもありになってきたなお前は」

自分達に猛吹雪が全く来なくなった事に驚いてるホルク、これがシュウの守りの魔法でありカリアは彼の魔法の凄さは分かっていたがこういうのも出来た事を知って彼に出来ない魔法は無いのではと思えてきた。一行はシュウの魔法によって凍てつく寒さと吹雪から守られつつ前進を続け発生元へと急ぐ。



天候の激しさがこの日一番なのかもしれない、それぐらいの猛吹雪が一行に迫るもそれは彼らを避けていき一行に害は無し。シュウの感じ取った魔力の元はもう目と鼻の先、この今日一番の吹雪がそれを物語っている。

そして原因となる場にようやく一行は辿り着く事が出来た。



「クァァァーーーーーー!」

目の前でそれを見るといきなりそれは咆哮を上げる。すると周囲から強烈な猛吹雪が発生していた、全長5mぐらいの巨体で青白い身体をしており大きな蒼き翼を拡げ口からは冷気が発せられる。

種族はドラゴンで間違い無いが魔王軍で見るような竜とはまた違ったタイプだ。

「青いドラゴン……この天候になってたのはこいつが原因だったのか!」

「炎を吐く竜は何度か見ているが、冷気を発生させる竜というのは初めて見る…!」

巨大なドラゴンの姿にカリアとホルクは共にその姿を見上げ、竜を見るのはこれが初めてではない。ただあのような吹雪を発生させて冷気を操るドラゴンと対峙するのは二人とも初めてだった。

「グアァァーーーー!」

「!」



ドォォォーーーーーンッ


青いドラゴンは3人へとめがけて大きな爪を振り下ろしていき、地面の雪が派手に飛び散っていった。ドラゴンの力任せの攻撃、しかしあらゆる魔物の中でトップクラスのパワーを持つ竜の一撃はそれで必殺の破壊力を持つとされている。

まず喰らったらタダでは済まないが簡単には喰らわずカリア、シュウ、ホルクはそれぞれ振り下ろされた爪の攻撃に対して回避。3人はドラゴンを囲むように立っている。

「ウォォーーー!ウォォォーーー!」

竜はその場で吠えまくる、まるでそれは狂っているかのようでありその度に冷気が吹き荒れて一行へと襲いかかって来る。

「むう!?なんという冷気だ!」

迫り来る吹雪にカリアは自らのマントで身を守り、ホルクも同じようにマントで守りシュウは守りの魔法で吹雪を躱していく。

「こいつを倒さねばこの天候は変わらんという事なら…斬る!」

ホルクは剣を抜き取り青いドラゴンへ地を蹴って一気に距離を詰めて斬りかかる。



ブオンッ


「!」

しかしそれを察知したかのように青いドラゴンの尻尾が鞭のようにしなり、斬りかかって来たホルクを襲う。これにホルクは間一髪後ろへと跳んで躱す。

「こいつ、中々やるようだな…!」

簡単には近づいて斬らせてはもらえない、剣を構えつつホルクは青いドラゴンの隙を伺う事にする。



その時、青いドラゴンが大きく息を吸い込んだ。



そして次の瞬間




「カァァァーーーーーーーーーーーー!!!」



ヒュオォォーーーーーーーーーーーーッ



「不味い!跳べ!!」

青いドラゴンは息を吸い込んだ後に口から冷気のブレスを出し、咆哮した時よりもずっと強力な冷気であり近づく者全員を氷漬けにする威力が込められている。それを察知したホルクは反射的に跳ぶように叫んだ後に可能な限り高くジャンプ。逃れるには空しか無いと短い僅かな時間で考え、青いドラゴンの氷のブレスを躱していた。

「はああ!」

カリアも高くジャンプしており、その位置は丁度青いドラゴンの頭上。頭を狙って自身の大剣を振り下ろした。



ガギィンッ


「!?」

振り下ろした時に剣から伝わる硬い手応え、それはまるで硬い岩のような硬さで大剣はドラゴンの頭の皮膚によって弾き返され浅く傷つけただけに留まる。

「ガアァッ!」


ガンッ


「ぐっ!」

そこにドラゴンの爪が横薙ぎで襲いかかりカリアはその一撃を受けて地面へと吹っ飛ばされる、幸いその地面は雪によって覆われて衝撃は軽減。これが普段通りの地面ならば大きなダメージとなっていたかもしれない。

頑丈な鎧に守られた事もあってカリアはドラゴンの一撃を受けながらすぐに立ち上がる。

「タフだね、ドラゴンの攻撃をまともに喰らったとは思えない」

すぐ近くへシュウが駆け寄って来た、彼は冷気のブレスを自身の守りの魔法を強めて正面から守りきっている。

「体力なら竜にも負けはしない…が、頭があのように頑丈だったとはな…別から攻めるしかないか」



「(此処で炎の魔法、使ったら一気に雪が溶けて巨大な雪崩になるかもしれない…)」

ああいうタイプのドラゴンに対して強力な熱を浴びせれば行けるかもしれないがシュウの魔法は強すぎて周りの雪をも溶かして雪崩が発生する恐れがある、そんな状況に陥る可能性があるためシュウは先程から様子見に専念していた。

「(しかし、見れば見る程……あのドラゴン、苦しそうだな。好き勝手に暴れているというより苦しんで暴れている感じだ)」

青いドラゴンを観察し続けてる内にシュウはドラゴンが苦しんでいるのではないかと見ていて思った。吹雪を起こしたりしているのも苦しくてそうしているのではないかと。


そうなるとこの竜をただ倒して終わりにする、その解決では不正解。単純に倒せば良いという問題では無くなってくる。

まずは此処まで見ていただきありがとうございます、今回は強敵っぽいのと一戦して1話では終わらず…でした。強い勇者と魔王で敵はすぐ倒してきましたが1話では片付けられない相手が此処で登場という。


この話が良いなと思ったらブクマと評価よろしくお願いします。評価方法はページ下にある☆☆☆☆☆をタップです、こういう評価が執筆のモチベに繋がったりします!

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