14、勇者に翻弄される魔王
今回は結構おねショタ要素強めの話となっております、苦手な方は観覧をお控えください。
最近は魔王であるシュウ自らが前線へと赴く事が増えている、そこに勇者カリアも傍らに居て共に戦場で力を振るう。
つい最近制圧したこの城塞都市アムレートもそうだ。最初にシュウとカリアが自ら偵察へと出向き、後からマリアンとの協力による移動魔法で魔王軍を纏めて都市の中心へと出現させて敵の自慢である鉄壁の守りとまともに争う事なく、すり抜けて城を落としアムレートは制圧された。
次はギガント要塞の攻略だがそこはゼッドが出向く事となり彼とドラゴン軍団、更に要塞を発見したテシ達エルフの戦士達のおかげでこちらも容易く落とす事が出来た。
城塞都市アムレートにギガント要塞、向こうにとっては都市と拠点の2つを失う事となり被害は計り知れない物となる事だろう。反対に魔王軍にとってはこれ以上無い追い風となる。
だが此処で更に攻める事はしない、考え無しで敵陣深く切り込んでもしょうがないので作戦が決まるまでは身体を休ませる。特にシュウはミナから広範囲の移動魔法を連日に使っているので圧倒的な魔力を誇る魔王でも休息が必要だと言われて今彼は脱衣所で着ている服を脱ぎだしていた。
アムレートの王家専用であろう大浴場、石像の獅子の口から流れ出るお湯は誰が考えたデザインなのか王家や主が滅びた今となっては知る術など無い。その主に変わって魔王軍の頂点に君臨するシュウが此処の大浴場を使い他の者は此処以外にもおそらく兵達といった下々の使う他の大浴場らしき場所があったので皆はおそらく向こうを使う事だろう、なのでこの場はシュウ以外に入る事は無い。
「はぁ~…」
シュウ一人となれば余裕があり過ぎるぐらいに広々としている風呂、そこに彼はお湯に浸かり身を清めている。
魔王がどういう者なのか具体的に知らずただおぞましい魔の者だと認識している人間などからすれば魔王が普通に風呂に入るという事には多分驚かれるかもしれない、魔族だからと言って人間と同じ風呂に入らないという訳ではない。人間と同じ物を食べるのと同じようにそこもまた人間と同じだ。
実際彼は広い風呂で疲れを癒している、魔王軍の侵攻の合間にこういった風呂の時間は実に貴重と言っていい。
だからなのか誰か入ってきた者に気づかず、その者がシュウと同じお湯に浸かる事に気づいていなかった。
誰かがお湯に入る音が聞こえた。シュウはそれで閉じてた目を開ける、するとそこに居たのは…。
「!?」
魔王として常に動じず余裕ある顔を見せてきたシュウ。そんな彼が勇者カリアが共に同じ風呂に入っている事に気づくと大変驚く表情となった、当然ながら風呂に入っているためカリアは普段身に付けている鎧を着ておらずシュウと同じく一糸纏わずの状態だ。
「やっと気付いたか、お前は案外風呂の時は隙だらけなんだな」
「な、な、な、何で此処に?」
そちらへの耐性や免疫は無いのかシュウに余裕という物はもはや皆無、普段では絶対に見る事は出来ないシュウの顔。一方のカリアは動じてる様子は無く外見が小さな少年とはいえ魔王と呼ばれる男と普通に入浴している。
「何でも何も汗を流し清める以外にないだろう?どうせこれだけ広いんだ、二人で使っても余裕あるだろう。それとも嫌だったか?」
「いや、別にそういう………訳じゃない…」
魔王としての顔は何処へやら、今のシュウは年相応の思春期な少年といった感じだった。顔が赤いのはお湯に浸かり続けているだけではない。
鎧に包まれて分からなかったがカリアは女性としての魅力が充分だ、それこそサキュバスであるマリアンにも引けを取らない程なのかもしれない。シュウの心臓の鼓動は自然と高鳴っていく。
「ああ…魔王という立場だから今まで入浴については誰とも入ってなくて一人でしか経験が無いから急に人と入ると緊張してしまうというヤツか」
「それは………否定しないけど…」
何やらズレている気がするカリア、一人での入浴が主というのは本当だがそれに加えて女性と共にという要素まで追加され、それも大変魅力ある女性という事なので動揺しない方がどうかしているだろう。
「はは、面白いな。普段のシュウを見ているからそういう顔を見るのはとても珍しい」
「そういう顔ってどういう顔だよ……!」
「すまんな、では詫びとして普段よく働いている魔王の背中でも流そう」
「!?そ、そういう気遣いとかは別にそれは……っ…」
此処ではカリアに完全に主導権を奪われたか、シュウは流されるままに背中をカリアに洗って流してもらう事になる。泡立つ身体、誰かに洗ってもらう事など一体何時以来なのか、思い出せないぐらいに遠のいていた。気持ちが良いと同時に胸の高鳴りが収まる気配は無い。
「ふむ…改めて見れば人間の子と大差ないな、こんな細い腕や身体であのような強力な魔法を放つ事が出来るのか」
「あ…洗うなら早めにお願い出来るかな…?」
「ああ、では」
「ちよ…そこは……い、いいから…!」
なるべく魔王として余裕を持つようシュウは振舞おうとするが動揺は全然消せず、こうして背中を洗ってもらう姿は姉と弟でありこれが勇者と魔王というのは誰がどう見てもそうは思わない。特にカリアはともかく今顔を赤くさせながら洗われている少年が魔王、この姿は同じ魔王軍には絶対見られたくない。
これ以上他の者は入って来るなとシュウは強く願いつつカリアとの入浴は続いたのだった…。
まずは此処まで見ていただきありがとうございます、シリアスな感じが続くと思えば今回はこういう話でした。
やはりおねショタですから風呂には入ってもらおうという事で(?)ちなみにカリアはサイズ大きいです、それはもうシュウも戸惑います(
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