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転生 フリーダム  作者: 昨日シーサイドライン乗った
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 謎


     第二章  成り上がり


 第八十六話   「謎」




 もう直ぐナラサージュの首都サンカルム、時刻は夜中の3時。

 計算通り来たけど、自分家に帰っていいのかなぁ? っと悩んだ。


 まっ、それしか方法はないでしょ。

 ……っと思いながらナラサージュを出てからのことが頭によぎった



 ルイース…… まだお前はリバティ国へ向かう途中だろう。


 カラッチはラプトル(仮名)から襲われそうになっている時に見たが、姉のシリーンの手を引き見捨てずに走っていたのでまあまあの奴なのだろう。


 それでも最終的には俺を選んでくれると思ってた……


 もう一度ナラサージュを出るところからループしますか? っと聞かれたら、俺はイエスと答える。

 そして拷問後、今度はお前に選ばれるように行動したい。


 でも、そんな事を聞いてくる奴は絶対に居ない。



 それとバットさん。


 あの家族には本当に世話になった。

 特にサラーラさんとバットさんは自分の息子のように可愛がってくれた。

 だからカラミージャを去る時はお互いに辛かった。

 チョーやゴンバーの成長もみたいので、いつか戻ってまた仕事を手伝ってあげたい。



 そんな事を考えているとサンカルムの城下町が見えてきた。


 高く飛んで自分家の方へ。

 狙いは家の上にあるお墓がある場所。


 ジェットを解除して、スットーンっと堕ちていく。

 そしてギリギリで止まれるようにジェットを起動、ピタッと止まる。

 まぁ、今回は上手くいかなかった。


 さぁ、誰か起きてるかな〜、っと思いながらチャイムを鳴らすと……

 

 「誰?」

 

 クラルさんだ。


 「俺、リュウ」

 

 リュ、っと小さく言って、クラルさんは扉を開けてくれた。

 そのままガシッと抱きしめられた……


 「生きているのは知ってたのよ。 でも、こんなに早く帰って来るとは思わなかった…… あ、ラザノフ君を起こして来るね」


 寝てるならいいよ、って言おうとしたけど、クラルさんは早かった。



 「え〜と、そこで隠れてる君、久しぶりに抱っこしたいんだけど、こっちにおいでよ」


 階段から隠れるようにチラチラ見ていたラリィに声をかけると、お兄ちゃ〜ん、っと駆け寄ってくれた。


 ラリィを抱っこして頭を撫ぜる。 ……少し大きくなった?

 

 そしてバタバタと階段を降りてくるラザノフ。

 ラザノフには珍しく、そのままガシッと抱きしめ合った。 ……ラリィを挟んで。



 「リュウ、もう直ぐ夜が明ける。 お互い詳しい話は別の場所でする。 だから拙者を背負って飛んでほしいでござる」



 ナラサージュは俺との関係を公式に否定した。

 俺がサンカルムに居ること自体がマズいのに、何故帰って来いと言ったのか。

 その疑問の答えがあるのだろう。


 「お兄ちゃん、今度はラリィも連れてって」


 ラリィには何て説明してるのだろう?


 「ラリィ、後で連れて行く。 だから今は少しだけ留守番しててくれ」


 ラザノフのござるなし……


 ラリィも違和感を感じたのか、大人しく引き下がる。


 ちなみにラリィには、俺は長くかかる依頼に行った、と言っていたようだ。



 お墓の場所まで戻って、ラザノフを背負い、また飛ぶ。

 ラザノフに聞いた行き先は、東の平民街のはずれ。

 東の山から近いので、そこから歩く。


 山に降りてから15分くらいにあった割と大きな民家、そこでラザノフはドアを叩いた。


 この時間でも直ぐに出て来た人は……

 ザッカーさんだった。

 

 部屋の中にはジーンライネに潜伏していた、唯一の女性の方も居た。

 名はタムリーン。


 早速、ザッカーさんに話を聞く。


 「意外と早いお帰り、私とタムリーンも嬉しく思っております」


 確かにこの2人は、俺のためにずっと動いていた人達だ。


 「あのお嬢様とは?」


 ザッカーさんは俺に近づき、小声で聞いた。


 俺は首を横に振って答える……


 「そうですか……。  それでは先ず、リュウ様にはサンカルムの現状についてお話ししましょう」


 っと言って話し始めたザッカーさん、内容は……



 サンカルムは首都であり、各国の領事館がある。

 当然、フォルマップル国の領事館もあり、俺がこの街に居ないか目を光らせている。


 このフォルマップルの人に見つからないよう、これからも行動しなければならない。


 そして厄介なのが平民街に来てるはずのフォルマップル国の使者。

 当然、俺を探しているが、やはり一番疑われるのがラザノフと俺の家、次いで学校、ギルド辺り。


 「今現在その使者は2名ほど判明しております。 ただしサンカルムの住民で、お金で雇われている人も居るかも知れません」


 なるほどね。


 「何故、俺を呼び戻したのですか?」

 「それは後日、キャプトマン王子から直接お聞きください。 でも時は過ぎてしまいました。 なのでこれからしばらくは私達との生活となるでしょう」

 「私達2人がリュウ様のお世話を致します。 料理は得意ですので任せてくださいね」


 タムリーンさんが言った。


 俺はまた女々しくルイースを思い出していた。

 だってアイツの料理、豪快で凄いんだもん。

 味? ……聞かないでくれ。



 「リュウ、しばらく潜伏期間になるなら拙者やラリィ、クラル殿と氷竜族の里に行かぬか? 凄く強い男達が居るでござるぞ」

 「そりゃあいい。 行くでござるけど、ラザノフ、学校は? ござる?」

 「ああ、ござる。 って、変に真似するな。 拙者は優秀だから多少休んでも良いでござるよ、人より優れてるらしいでござるから」


 ラザノフは俺を見てニヤけた。

 ここは触れずに流す。

 

 「ふ〜ん。 ……ああ、それとラザノフ、ポルカ先生とユキナには知らせといてくれ」

 「了解。 後は?」


 ミナリやサルーなどにも知らせたいが……


 「え〜と、お任せで」


 あれもこれもになりそうだから、客観的に見てもらおう。


 「ああ、任せるでござる」



 何はともあれキャプトマン王子から話を聞かないことには始まらない。

 期間が過ぎたとは、何のことだろう?



 その後に久しぶりの睡眠をとって、起きてからはタムリーンさんが作ってくれた朝食? を摂る、時刻は16時。


 

 タムリーン

 29歳の中級貴族。

 ザッカーとは恋人関係。


 ザッカー

 34歳の上級貴族。

 次男なので自由が効く。



 「どうですか? 私の料理」

 「美味いですね、フォルマップルを思い出します」

 「そうです、これはフォルマップルでよく食べられる朝食なのです」



 変なぷにぷにしたやつにドロッとしたしょっぱいやつを和えたやつと、腐った根性のやつが好きそうなやつ。


 ……えっ、食レポが下手?


 じゃあ……


 変なぷにぷにしたやつにドロッとしたしょっぱいやつを和えたやつと、腐った根性のやつが好きそうなやつざます、オーホホホ。


 ……どう?



 飯を食べていると玄関の扉が叩かれ、ラザノフとポンタとユキナが入って来た。

 そのままユキナは俺とハグをする…… が、ポンタの嫉妬の目……


 「リュウ君…… もう、何も言わないで居なくならないで」


 心配すると思ってユキナには言ってなかった。

 久しぶりだけど近くで見るユキナは、相変わらず可愛い顔してる。


 「ごめん、心配させたくなかった。 ……もう、離れてもらっていい?」

 「あっ、う、うん」


 ポンタの視線に耐えれません!



 「ラザノフ、何でコイツを選ぶの? 俺はコイツと仲良くないよ」


 ぶっちゃけ、きっかけはコイツ。


 「ガッハハ〜、そう言うな、フォルマップルの人間が居た方が分かりやすい。 リュウ、何があったかを教えるでござるよ」

 「リュ、リュウ。 お、俺も少しはジェットで飛べるようになったけど、約束の海のことは覚えてるか?」

 「約束なんてしてねぇよ」

 「ガッハハ〜、ポンタには当たりが強いでござるな〜、リュウは」

 「したよ、ユキナさんも誘って水着で船でユキナさんも水着で、行こうって……」


 ユキナと水着が多くない?


 「え〜と、全く覚えてない。 それよりもういいか?」


 ラザノフとユキナが頷いたので、話し出す。


 

 俺は捕まって拷問を受けたけど、何とか脱走に成功するが……

 体力の限界と怪我の具合が悪くて、途方に暮れていた時に助けてくれた、ルイースに会う。

 そして、ルイースの事情でフォルマップル国の、何とか地方にあるカラミージャ村に潜伏してたことを話した。


 「ルイ先輩と! ルイ先輩と一緒だったんだ……」

 「ポンタ君、ルイ先輩って誰?」


 ポンタのルイース評。


 ルイースが1年生の時は、一部だけに人気のある女の子だった。

 2年生になると、ルイースの可愛さに気づき始める男が増える。

 3年時には1番人気となった。


          ー元ゲイル調べー



 「ま、まさかルイ先輩に手は出してないよな?」

 「アホか? 一緒に暮らしてたっつうの」


 毎日、ノルマ決められてたっつうの。


 「お綺麗なお嬢様でした……」


 ザッカーさんがしみじみと言った。


 「や、やっぱり凄くモテるんだね……」

 「大会で目立ってるでござるからなぁ、リュウは」


 ルイース…… キャムバック〜!



 なんて話してるとまた1人、ポルカ先生が訪ねて来た。


 やっぱりポルカ先生ともハグで再会を祝う。


 「信じてたよ、リュウ君」

 「うん、ありがとう」


 そんな再会から、今後の学校のことを話してくれた。


 「基本は退学扱いね。 でも内緒で休学中になってるわよ。 何年かけても解決して学校で再会出来るのを、私は心より願っているわよ、リュウ君」

 「それって今すぐフォルマップルに行って、暴れてこいってこと?」

 「もう! 絶対に危ないことはしないで」


 やっぱりポルカ先生を見てると、シスターを思い出す。


 「冗談。 先生のお願いも解決してないしね」

 「ふふふ、そうね」



 とりあえずは心配してくれる人とは再会した。

 後は徐々にだな……




 夜、ザッカーさんが地図でキャプトマン王子との会合を説明する。


 内容は……

 俺も行ったことがある、キャプトマン王子の離宮。

 離宮は方形屋根(尖ってる)だけど、1部に平らな場所があり、2時ピッタリに俺がそこに降り立つ。

 そこにいる従者に案内されてキャプトマン王子に会う予定。


 ここまで厳重とは……

 

 「え〜と、ラザノフ達がよくここに来るけど、そこは大丈夫なんですか?」

 「一応ここまでは一本道。 そしてジーンライネに潜伏していたもう1人の男が、三叉路の前の家でこの道を使う者をチェックしております」


 つまり付けられてたら分かる、ってことか。


 まぁ、ラザノフだって注意してるだろうから簡単には付けられないはず……



 それにしてもザッカーさんとタムリーンさん、歳下で平民の俺に対して敬語を止めない。

 いくら言っても止めないのは、キャプトマン王子への忠誠の証か何かなのだろうか……

 

 まぁ一貫してるので、カッコいいと言えばカッコいい。



 さぁ、夜中の1時50分。


 家を出て走って山の中へ。

 そして、ギュイーンとジェットで上空へ。

 微調整レベルに近いので、直ぐにジェットを解除。


 スットーンと堕ちていく。


 そして、離宮の屋上の平の部分を目指してジェットを始動、ピタッと降り立つ。


 まあまあ、上手くいった。


 「お、おおお〜、すげ〜」


 近くにいるのはキャプトマン王子の使用人の人か?


 「あ、し、失礼致しました。 私、キャプトマン家の使用人をしております、フラカジュと申します。 リュウ様、どうぞ私に付いて来てください」


 と言うと、タラップで降りてから非常扉を開けて中に入った。

 そして会議室みたいな作りの部屋へ入った。


 「キャプトマン王子を呼んで来ます。 少々、お待ちを」 


 頷き、待つこと10分、キャプトマン王子が入って来た。


 勢いよく俺に近づいたキャプトマン王子、何と王子に抱きしめられてしまった。


 「よく無事だった。 君が助けた村人も私達も感謝してるぞ」


 もし次も同じことをするならと考えると、迂闊なことは言えない。


 「王子、色々動いてくださりありがとうございます。 それで、どういった状況なのでしょう」

 「ハハ、まあ座って話すか。 フラカジュ、私とリュウに紅茶を淹れてくれ」


 紅茶?

 この世界にあるのか?


 フラカジュさんが持ってきたお茶……

 確かに紅茶っぽい。


 「美味いだろう、紅茶と言うんだ。 ……色々とザッカーから報告が来てるから、君がフォルマップルで何をしてたかは聞かない。 ただウチの嫁にバレているのは覚悟してくれ」


 確か、2番目か3番目の嫁が俺のファンって言ってたような…… まぁ、いいけど。


 「かまいません。 それで時が過ぎたと言うのは何ですか?」

 「すまん、状況が変わって言えなくなった。 ただ、この状況を打破するために言えなくなった、ってことだけ信じてくれ」


 俺には内緒にする理由があるのか。

 でも、大事なのはこっち。


 「難しいことは知らないですけど、その打破はいつ頃だと思ってますか?」

 「数ヶ月だと思う。 私だけなら急ぐのだが……」


 王子が急げと言えない人も絡んでる?


 「何も言えず済まないが、必ずそのお膳立てはする。 そしてリュウなら勝ち取れると、僕は信じてるよ」


 勝ち取る…… 戦い?


 まぁ、何も分からないようで分かったこともある。

 やることもあるし、気長に待つさ。



 ーーーーー



 次の日、ラザノフがポンタと来た。


 「ラザノフさ、コイツと仲いいんだ?」

 「リュウが居ない間、拙者が依頼を流していたでござる。 ポンタはそうしないと生きていけないでござるからな」


 なる〜。


 「俺も早く身元をポンタと言う名で証明してもらって、冒険者になってユキナさんに担当になってもらいたいんだ」


 ユキナね……


 「ユキナって、付き合ってる人は居ないの?」

 「拙者も不思議でござるよ〜。 あんな可愛くて明るく料理まで出来る女人が1人なんて……」


 にょ、女人か…… いやらしく聞こえるな。

 前は女子って言ってたのに。



 「リュウ様、ポルカ先生とお友達、ユキナさんがお見えです」

 「ユ、ユキナさん……」


 入って来たのはポルカ先生とユキナ、それにサルーとミナリとカナリだった。


 やはり、ミナリは速い。

 あっという間に飛びついて来る。


 「どうして何も言ってくれないのよぉ、心配したんだよ、私は」

 「ごめん、ほとんどの人が知らないことだったんだ。 帰って来れるか分からなかったからね」


 厳密には今も潜伏中。


 「ポルカ先生から聞いてびっくりして…… でも、会えて良かった」

 「リュウ君、私の時は直ぐ離れたよねぇ? やっぱり可愛い若い子がいいんだ?」


 それは違う…… 俺は歳上が好きだし、可愛さならユキナとミナリで甲乙つけ難い。

 でも、ユキナはポンタの目があるし、ミナリはまだ離れん! っと腕が言ってる。


 でも、俺の心にはルイースが映っている。

 地味目の顔立ちも、俺と暮らした時はめちゃ美しく思ってた。


 あの日々のルイースを超えれる人は居ない。


 ただ、人族ではない人なら超えるかも。

 我がアイドル様だ。

 前回、リリカとの別れに心を痛めていたはずの俺が、アイドル様にあそこを見られてちょっと嬉しくなっちゃった実績がある。


 恐ろしや〜、我がアイドル。



 「え〜と、そろそろ離れてもらっていい?」

 「もう少し…… ところでリュウ君、髪の毛が伸びたでしょ」



 俺は女々しくルイースを思い出していた。

 だってアイツに髪の毛を切ってもらうと、料理と同じく豪快にバッサバッサ切るんだもん。

 しかも、『おかしいなぁ……』とか『あっ!』とか『まぁいいか……』とか不安を煽るような言葉が多かった。

 だから、なるべく切ってない。



 「ああ、でもミナリも伸びたね」

 「うん、伸ばそうと思ってるんだ」


 ピンクの髪って、結構目立つし貴重だよな。


 「お姉ちゃん、そろそろ変わって」


 カナリ…… 彼氏が出来たって聞いたような聞かなかったような…… 忘れた。


 「何で? カナリは彼氏が居るじゃん。 リュウ君似の」


 やっぱり。 ……俺の記憶力の良さよ。


 「に、似てはいないよ〜。 それに彼氏じゃないから…… ほ、本当だよ、リュウ君」


 ……う〜ん、興味ない。


 「ミナリ! そろそろ私にも変わりなさい!」


 ポ、ポルカ先生……

 先生が何を言っている、アホか。


 ミナリから変わったポルカ先生を……



 高い高い、してあげた。



 「リュ、リュウ君、ちょっと私の扱い、酷くない?」

 「でも先生、今、きゃっきゃっ言って笑顔だったじゃん」


 ヨダレが垂れたら赤ちゃんと同じだったぞ。


 「ちょ、ちょっと楽しくなっちゃっただけよ」

 「何かリュウ君は凄くポルカ先生と仲が良いよね」


 カナリが指摘した……


 「俺の少ない身内で、母代わりだった人にポルカ先生がそっくりなんだ。 だから初めて会った時から先生は身内枠」


 性格まで似てる。


 「う、嬉しい。 その人のことが好きだった?」

 「うん。 俺をいつも心配してくれて、めちゃ口うるさかったけど好きだったよ。 俺の母親の妹だって。 最後に判明した」

 「へぇ〜。 リュウ君の過去、この中で知ってる人、居る?」


 ラザノフ、ポンタ、ユキナ、ミナリとカナリ、ポルカ先生、サルー……


 ラザノフが話す。


 「リュウには兄が居る。 兄は魔術の天才でリュウも3回に1回は敗北してた。 そうでござるよな、リュウ」


 頷く。


 「リュウ君が憧れた人だったのよね?」


 ユキナが言った。


 「うん。 顔も王子様って感じで、皆んなに好かれてたし、剣も魔術もセンスの塊だったな……」

 「リュウ、まだリュウの兄者は来てないと思うでござるか?」

 

 俺が海の滝を渡ってきてから、もう2年。

 そろそろ、リーブルに居ても不思議じゃないけど俺を探すのも苦労する⁈

 ……いや、頭のいい兄ならギルドの最速、最年少のA級、武闘大会での成績などを調べれば直ぐに分かる。

 という事は、まだ海の滝を渡って来てないのだ。


 「まだだろうね。 でも、そう遠くない未来に会える気がするよ」


 俺の予感は意外と当たらないけど。


 「魔術の天才と言えば、今年の貴族の大会で優勝した人は凄かったらしいわよ」


 ポルカ先生が言った。


 「何が凄かったの?」

 「魔術ね…… 私も詳しいことは知らないけど、噂では凄かったって話よ」


 魔術師が優勝したなら、それは凄い魔術師だ。

 ぜひウチのパーティに勧誘したいけど、貴族っていうのがネックかな〜、残念。



 「それより早くこの子達を紹介してよ。 あっ、そうだ! 一緒に海なんてどう?」


 ポンタがミナリとカナリを見て言った。


 「何々? リュウ君、海に行くの?」

 「行かない」

 「連れてってよ! 凄く心配させたくせに!」


 え〜と、僕の立場は潜伏中。


 「私も行きたいな、リュウ君。 そして出来ればアレもしてもらいたいな」


 ユキナが顔を赤くして言った。

 ユキナの好きな空への招待だろう。



 「ア、アレ⁈ 私にもして!」


 ミナリ…… 君には飛べること言ってません。


 「わ、私もアレする……。  お姉ちゃん、アイツには内緒ね、やっぱり私の初めてはリュウ君がいいから」


 え〜と、アレの正体は、何?


 「せ、先生もいいかしら? でも、私は先生という立場だから、アレとコレも……」


 どれがアレで何がコレなの?


 「ずるいよ〜、先生! 私だって将来は先生になりたいんだから。 だから…… 私もコレまでして……」


 ミナリ…… しっとりした顔しやがって……

 コレって何だよ! 



 ……ってな感じで、このメンバープラスラリィ親子で海に行くことになった。


 その後にそのまま氷竜族の里に行くことを調整して、その日を待つ。


 そして今回は叶わない願いだろうけど、アイドル様にプレゼントするはずの指輪が出来上がっているだろうからラザノフに取りに行ってもらう。



 ーーーーー



 数日後の朝4時半、辺りはまだ暗い。


 前日に泊まったラリィを影に入ってもらい、山の中へ向かう。 ……そしてジェットを起動。


 今回はひたすら高く上がってからラリィを羽ばたかせる。

 しかし…… 影から出て来たラリィが怖がってひっついて来る。


 「お兄ちゃん、ラリィ、久しぶりだから怖いの」


 そうか…… 俺が居なければ飛行訓練をしてくれる人が居ない。


 「じゃあ、後ろにおぶさって羽だけ出しといて。 それで自信があれば1人で飛びな」


 うんっと言ったラリィ。

 ものの5分もしないうちに、1人で飛び立つ。

 もうその頃は皆が乗っている船も見えている。


 「先に船に戻ってラザノフに言っとくよ」

 「うん!」


 っと言って船に行くと、目を見開いて驚く3人、ミナリとカナリとポルカ先生だ。



 ポルカ先生は俺が飛べることを知っているが、飛んでいる姿を見たのは初めて。

 ミナリとカナリは全てが初めて。 ……なのでしっかりと説明して、決して口外しないようにと言っておく。


 その頃にはラリィが疲れて船に向かって来るので、皆んなでラリィがラザノフに受け止められるのを見守る…… 



 まだ朝早いうちに来たのは、やはり俺がフォルマップルから来てるはずの使者の目を交わすため。

 海なら大丈夫。


 ラザノフが近づき小声で話す。


 「リュウ、例の指輪の加工料、とてつもない値段だったでござるぞ」

 「知ってるよ。 でも足りただろ?」


 フォルマップルに行く前に預けてある金のこと。


 「ああ、凄い値段だったけど、凄く美しい指輪だ。 拙者もいつかは誰かに送る日が来るでござるかな……」


 それは君次第。

 だいたいこの指輪は、恋人にあげる物とは意味の違う物。

 俺が死んだ後にこの指輪を見て、俺を思い出してくれたら嬉しい、って感じの物。

 俺がこの世に居なくても、アイドル様の寿命は300年以上も残ってる。

 だから忘れさせないための指輪、が正解か。


 

 「じゃじゃ〜ん。 リュウ君に朝ごはん弁当を作って来ました〜、ミナリやるぅ」


 自分で言ってるよ。


 「ありがたいけど、俺1人で食うの? 皆んなの視線に耐えられないよ」


 特にラリィ。


 「皆んなは買い出しした朝飯も昼飯もあるでござるよ。 少ししたら朝飯にしよう」

 「明るくなる前に飛ぼう、母ちゃん、お兄ちゃん」


 今、飛んだばっかりだよねぇ?


 「そうね、久しぶりにラリィ、飛ぼう」


 バサバサァ〜っと飛び立つ2人、カッコいい。


 「俺達も行くぞ、ポンタ」

 「ちょ、まだ寒いじゃん」

 「お前が頼んだんだろ。 とりあえずピタッと止まる練習をする」


 未だに俺も意識してやっていること。

 

 「わ、分かった」


 最初は10メートルの高さからジェットを解除、そして海面50センチ以内を目指して止まる。

 ジェットを兄に発表して次の日にやった練習方法だ。


 こうして練習が始まったが……

 いまいちポンタは上手くいかない。

 手からだけのジェットは止まるのが難しい⁈

 まぁ、比べてるのが兄なので仕方ないか。


 「ポンタの風と火の魔力量は?」

 「ひ、火が12風が11だ」


 なるほど…… 兄がいくつあったか知らないが、俺と比べると出力が低い。


 「それよりリュウに聞きたい」


 墜っこちた後、海の中でポンタが言った。

 

 「ルイ先輩を置いて来たのか?」


 皆んなの前で言わないのは、ポンタ的に気を使った?


 「最終的には選ばれなかった、つまり……フラれたのさ」

 「そ、そうか…… ルイ先輩の話をしている時のリュウは、ひどく寂しそうだったからな…… そんな理由があったんだ」


 コイツは笑わないんだな。

 ……って言うか、想像の中でラザノフとラリィが笑ってただけか。


 「ルイースは学生時代、どんな子だったの?」

 「男に興味ないって感じだった。 だから、女が好きって噂まであったくらいだ。 だが、あの大会でリュウに告っただろ、本当に学校の奴等は驚いたし、フったリュウを許せなかった男も多いと思う」


 ルイース…… まだリバティには着いてない。

 今から速攻で奪いに行けば…… って行き先、聞いてねぇよ!


 「ルイ先輩はどうだった?」

 「いい女だったよ。 拷問は死ぬほど辛かったけど、ルイースと向き合えたことは俺の中の宝物だ」


 あの楽しかった日々を、いつか心を痛めずに思い出す日が来ればいい。

 もちろん、お互いに。


 「そうか…… ちょっと納得したぜ。 次の練習は何だ?」

 「まだ出来てないだろ。 50センチ以内に止まる、最低20メートルまではクリアしてくれ。 とりあえずは飯にして、後は1人でやってくれ」

 「ちょ、さ、最後に。 あの双子とリュウの関係は?」

 「友達。 特にお姉ちゃんの方とは仲良いよ。 可愛い双子だよな」


 ルイースとシリーンも双子。

 でも、ミナリとカナリほどは似てない。

 それでも…… この世界の双子は可愛い子が多いのか?

 それとも、たまたま……⁈


 「……ああ、めちゃ可愛い。 でも、亜人でも関係なしにリュウに惚れるんだ?」

 「最初はそうでも今はどうだろう? きっと向こうも友達感覚が強いと思うよ」


 だけど、ソマルさんから聞いた話では、ハーフは能力が高いと言う。

 それは、全く異なる遺伝子の組み合わせの方が良く出ることが多いから、とか訳の分からないことを言ってた。


 「まあ俺はユキナさん一筋だけどな」


 頑張れよ、っとは言わない。

 それほどユキナはいい女。



 ーーーーー



 朝ごはんを挟んでポンタは1人で練習中……


 丁度、日差しも強くなって9月の終わりでも海日和だ。

 それでも、ラリィ親子は船内へ…… どうにもならない特性なのか?



 「リュウ、そろそろ拙者を空へ、いいか?」

 「ああ、堕ちても死なないから紐で結ばないよ」

 「ガハハ〜、土竜族の男は泳ぎも得意じゃ〜、ござる〜」


 10キロくらい上がってから堕とそうかな。


 「リュウ君、私もいいかな?」


 空好きなユキナが言った。


 「次はユキナね。 後は順番決めといて」


 ミナリ達が頷く……


 

 先ずはラザノフ。

 

 ラザノフを背負って練習中のポンタのもとへ。


 「ポンタ、見てろ」


 っと言って50メートルほど上がる。

 ラザノフのしがみつく腕が強い。


 そして、ジェットを解除、ドヒューンと堕ちていく。

 そしてジェットを起動、海面50センチ以内でピタリ止まる! っとはならないで、ラザノフと2人で豪快に海に墜っこちた。


 ザッブーンっと、かなりの衝撃だったけど俺が平気ならラザノフも平気なはず…… っと思ったが、ラザノフは重いので俺より深くに行ってしまった……


 泳げるって言ってたけど、一応、追いかけて見ると…… 水中で泣きそうな顔で手足をバタバタさせているラザノフを発見! 要救助者とみなし助ける。


 海面まで上がると空中でゲラゲラ笑ってるポンタが……


 「リュウ! 酷いでござるぞ! 母ちゃ〜ん」


 何、その最後の母ちゃ〜んは?

 もしかして、ラリィのマネ?


 「悪い、だけどラザノフが引っ張りすぎ。 つまりビビりすぎが原因。 ビビらないで自然体でいるようにして」


 最後は後ろに引っ張られたので、ジェットの意味はなかった。


 「ま、まだやるでござるか?」

 「当たり前だろ、出来るまでやるぞ」


 結局、今は130キロを越えているラザノフを背負っての急ブレーキ練習は難しく、クリア出来たのはお昼を過ぎていた。


 「た、楽しかったでござる〜、あの金玉がヒヤッとする感覚、堪らんでござるな〜」


 コラコラ……

 まぁ、豪快に海に突っ込んだのは最初の一回だけ、後は楽しめたのだろう。

 今回の一件ではラザノフにも心配も迷惑もかけた、少しは恩返し出来たか。



 船に戻ると…… ユキナとミナリとカナリが水着に着替えていた。


 ユキナ…… 下はジーンズの短パン、上は青と白のビキニ。

 カミラさんに比べてむっちりしてるユキナに合っている。


 ミナリ…… 黒にオレンジのラインが入った、スポーティなワンピースの水着。

 スレンダーなミナリの魅力が引き立っている。


 カナリ…… 1番攻めた水着。

 青のビキニだけど布の面積が極端に少ない。

 ラザノフは興味ないって感じを出しながらチラチラ見てるし、サルーは船内の陰から覗いてるし、ポンタに限っては後ろに回ってケツを鑑賞してる……


 

 お昼はバーベキュー。


 買い出し担当は学生軍団4人だったので、俺のお昼の弁当はなし。


 「リュウ君、次じゃなくて、またあの時みたいに夕方がいいな」

 「うん、それはいい。 あの時間が1番綺麗だよね」

 

 あの時はいつもだっけ?

 確か大会の前、1年以上も経つのか。


 「それじゃあ、私でいい? リュウ君」


 カナリ…… その格好で?


 「ちょっと待ってて」



 バーベキューで焼けた肉や野菜を持って船内へ。

 船内ではクラルさんは爆睡、ラリィはサルーとおもちゃで遊んでた。


 「これ、サルーとラリィで食べなよ」

 「ありがとう、リュウ君」

 「サルーは飛ぶ?」

 「え…… いや、いいよ……」


 サルーは泳げないって言ってたな……


 「お兄ちゃん、少し暗くなったらラリィはサルーと飛びたい」

 「サルー君な」

 「うん、じゃあ、サル君」


 せっかく付いた棒を取るな!


 「じゃあ、サルー、ラリィと一緒に飛んであげて」

 「うん。 ハハハハ、結構、楽しみ」


 ちょっと遠慮気味なところがあるよな、サルーって……


 そして船内に置いてある、俺のTシャツのストックを持って戻る。


 「カナリ、空ではラザノフと同じようにスリルのあることをするから、これ着て」


 さっきのTシャツを渡す。


 「俺のTシャツだけど、あまり来てないから着てくれる?」

 「リュウ君の⁈ く、くれるの?」

 「ああ、ちょっと着てみて」


 カナリが着ると、結構、ダボダボ……」

 それでも、キュッと腰あたりで結べば、それなりにオシャレに見える。

 

 「うん、これで行こう」

 「うん…… でも、リュウ君、この水着は嫌だった?」

 「嫌じゃないし、カナリに似合ってるとも思う。 でも、刺激が強すぎるし、アクティブなことも出来なくなるから」

 「ふふ、分かった」


 納得してくれたので、カナリを前から抱えて上空50メートルくらいへ。

 カナリのしがみつく腕が強い。


 「カナリ、しっかり両手で固定してるから大丈夫だよ」

 「う、うん。 分かってる……」


 徐々に力を抜いてくカナリ、近くで見るカナリはやっぱり可愛い。


 「カナリ、彼氏とは上手くいってるの?」

 「彼氏って言うか…… たまに一緒に遊んでるだけ」


 それを彼氏と言うのでは……

 

 「私は別にリュウ君を諦めたわけじゃないよ。 ただ、お姉ちゃんの方が思いが強いのかなって…… お父さんにリュウ君と結婚してもいいか聞いたのもお姉ちゃんだし、リュウ君が居なくなっていっぱい心配してたのもお姉ちゃんだし。 ふふ、何回もリュウ君の家に尋ねてたよ」


 さっきミナリがクラルさんと仲良く話してたのは、そう言う理由があるのか……


 「なるほどね。 俺が居ない間にも色々あったんだね。 ……それで、カナリは何メートルから堕ちる?」

 「ふふふ、リュウ君と一緒に?」

 「そう。 ちなみにラザノフは50メートルから堕ちた」

 「フハハハ、見てた! 皆んな心配してたよ〜、凄い音と水しぶきでさぁ、なかなか上がって来ないし」


 流石、合計200キロ超え。


 「じゃあ、10メートルにする」


 10メートルは結構な高さだ。

 でも、カナリは運動神経がいいので大丈夫だろう。 ……しかも、俺が支えるし。



 10メートルの高さまで降りてきて、空中で止まる。


 「この高さでいけそう?」

 「や、やっぱり、もう少し下で」


 7メートルに下がってきた…… この辺りはクリアしてほしい。


 「覚悟を決めて。 ……タイミングを外して堕とすからな。 ……油断しないで」

 「うん……」


 緊張気味で集中力を高めてるカナリ……

 これではタイミングを外せそうにない。


 「やっぱりカウントダウンにする。 5、4、3、2、1、0」


 キャア〜っと堕ちていく……

 勢いよくドボンっと海中に突き刺さる2人。 ……が、ここでハプニングが。


 俺があげたTシャツと小さなビキニの上が、丸ごとズリ下がり取れてしまったのだ。


 本人は気づかずに海面に戻る途中……


 俺はTシャツとビキニを回収、カナリのもとへと急ぐ。


 直ぐにしがみつくカナリ、全く気づいてない。


 「フハハ〜、面白い! もう一回やって」

 「カナリ、これ……」


 カナリはハッとなり、一度、本当にないかを確認、そして手で隠そうとするけど泳げなくなるので、結局、俺にしがみつく選択をした。


 「み、見たよね、今」

 「カナリ、それより後ろを向いて、サッと付けてあげる」


 俺をジッと見つめるカナリ…… しかし、パッと後ろを向く。


 手際よくチャチャっとビキニの上を付けて一安心、ついでにTシャツも着せる。


 危なかった〜。

 あんな姿をポンタに見せたら、鼻血で血の海になりそうだよ……


 

 カナリを抱えて上空へ。


 「リュウ君、見たでしょ!」

 

 やっぱり…… 言われるよね……


 「み、見てない」

 「絶対見たでしょ」

 「み、見てない」


 本当は見ました。


 「見たんだ〜」

 「み、見てない」


 仕方ないでしょ、僕も男の子ですもの。


 「お姉ちゃんより少し小さいでしょ?」

 「ミナリのは見たことないから分からない」

 「見てるじゃん! ……感想は?」


 ルイースと比べると少し小さい、でも薄いピンクで綺麗だった。


 「ズバリ言うよ、美しい」


 一瞬、ん? って顔だったけど、見る見る嬉しそうな顔になり、


 「ふふふ…… 許すよ」


 と、言った。



 引っかかってしまったが許しはもらえた。

 

 まぁ…… 彼氏には悪いけど、これが地球規模で流行ってるというラッキースケベ。

 ついにスペルティに初上陸ってことで……


 


 次はミナリ。


 ミナリの水着は安全なので気にしなくていい。

 カナリと同じように上空、50メートルまで上がる。 ……それでもカナリと違ってミナリはリラックスしている。


 「怖くないの?」

 「リュウ君が側に居て?」


 そんなに信頼されること、したかな?

 少しここで景色を楽しみながらお喋りしよう。



 ミナリにはお礼から言わないとな。


 「ミナリ、いつも弁当、ありがとうな」

 「うん、いいよ。 私はね、学生時代はリュウ君に全てを捧げるって決めてるの。 だから気にしないで」


 カッコいいセリフだ。


 ルイースも同じようなことを言ってたな……



 「ミナリはモテるだろ、逃亡中の俺なんか気にしないで、学生時代を謳歌しなよ」

 「想像はしたよ、私はモテるから。 でも、リュウ君が私の側に居るなら想像さえ出来ない。 出来ないから学生時代だけって決まりをつけたの」


 なるほど…… カッコいい女だ。


 「だから卒業したらもう諦める。 それまでに振り向いてね、リュウ君」


 貴族とは恋はしない! 亜人とは恋をしない! っと誓っても、ミナリとカナリは父親公認なので対象に入らない。

 

 失恋の傷が癒えたら、ミナリと付き合おうかな……


 その後、ミナリは15メートルまで堕ちることに成功する。

 海中でのミナリはイルカのようにスムーズに泳いで、改めて運動神経がいいんだなっと思った。



 次はポルカ先生。


 先生は水着じゃないので、後ろに背負って飛んであげる。


 海の滝方面への飛行、感嘆の声をあげていたポルカ先生も、徐々に落ちついてきた。


 「本当に凄い世界を貴方は見せてくれるね。 ……ねぇ、リュウ君、私ね、ジャンセル先生から交際を迫られたんだ」


 ジャンセル…… 知らん!


 「そうなんだ。 で、どうするの?」

 「解決してほしいことが絡むから…… 今は待ってもらっているの」

 「ラザノフに頼もうか? 俺よりいいと思うよ」


 ラザノフの立場は高い。

 俺も同じように扱ってくれる人もいるけど、やっぱり平民扱いの見下した態度を取る奴もいる。


 「ふふ、ありがとう。 でも、身内の貴方に解決してほしいな」


 まぁ、ラザノフとポルカ先生は、ほぼ接点がないからな。


 「分かった。 その時まで待てるのかな? そのキャンセル先生?」

 「ジャンセルね。 キャンセルされそうで怖いわよ」


 その言い方だと、結構、満更でもなさそうな感じだ。


 「波風立てないように、待ってるわね」


 確かに…… 今、ポルカ先生の顔に痣があったら、両目潰して男のシンボル破壊コースしか扱ってないぞ。


 そんな感じでポルカ先生は終了。



 夕方まで休憩して、次はユキナ。


 ポンタの視線が嫌だけど、ユキナは俺との付き合いの方が長い。

 ユキナを抱えて上空50メートルに…… 夕陽が沈みかけて、この時間が1番綺麗かも。


 「ユキナ、あの星の話題、覚えてる?」

 「うん、ノマノーラ。 あの時は3年以上あったけど、今はあと2年で再接近ね」

 「やっぱり、あの時より近いよね」

 「うん。 ふふ、興味ある?」

 「まぁね、興味ない奴って居るの?」


 300年に一度、スペルティに接近する星、ノマノーラ。

 今回はリーブルに接近するけど、前回はレイモンだったという。

 つまり、600年ぶりにリーブルに接近する。



 「話は変わるけどカミラさんはどうなった?」

 「うん、丁度、最近決まったみたい。 リズーン第3の都市、パルモ。 ここが何処か分かる?」

 「馬鹿にしてる? 空だ」

 「プフッ、違うよ〜、パルモ」

 「馬鹿にしてる? パルモだ。」

 「フフ、パルモはね、ギルドの個人戦が来年開催される都市」


 なっ…… 早く解決しなければ!


 「今回のことを解決されたら、リュウ君とラザノフ君の代表はほぼ間違いないと思うなぁ」

 「ああ、それまでに必ず解決する。 パルモに行ってカミラさん達と飯でも食おうぜ」

 「うん。 行こうね!」


 ユキナとはこんな会話があった。



 そして最後は暗くなった時間帯にラリィとの飛行、もちろんサルーを背負って……



 あっという間に時間は過ぎ、皆んなとはお別れ。

 皆んなは一旦、船着場まで戻って降ろしてもらい、俺はここで空で待機して船を待っている。



 さらに近づいた星を見ながら思う。


 俺の拷問によるムラムラフィーバーは終わったと……

 事実、最後にルイースを抱いた後は、全く反応してくれない。

 俺の好みの顔だと思っていたユキナやミナリを水着姿で抱えても、カナリの胸を見ても、全く反応なし。

 

 俺は人が思っているよりデリケートな神経を持ち、自分が思っているよりルイースに惚れていた。

 だから、アイツを守ってあげられなかったことで、一生悔いの残る心の傷になったのだろう。


 ……まぁ、ムラムラの方はしばらく恋愛などするつもりはないので問題ない。



 さぁ、強い男達が待っている!


 ……そして俺達は、ガルフさん達を拾ってホオヒューガ国の氷竜族の里に向かう。



 その先に、あんな事があるとは知らずに……

 


 

 

 

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