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転生 フリーダム  作者: 昨日シーサイドライン乗った
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 口から魔術


      第一章  旅立ち


  第六話 「口から魔術」




 1年が経つ。


 この世界には冒険者と言う職業がある。

 今は戦争のしてない亜人国にしかないのだが、人助けや狩り、掃除や洗濯など色々な依頼があるらしい。

 

 亜人国は亜人の住む国。

 亜人は人間と似ているけど、人間より平均10センチほど背が高く、髪の毛の色や目の色が人間にはない色の人もいる。 

 鬼のようにツノが生えてる種もある。


 人間は地球と同じ髪の色、目の色。

 

 亜人は人族で1番強いと言われているが、その強さはスキルが関係しているのと体格によるものが大きい。 



 そんな弱い人族代表の人間である俺は、二刀流に慣れつつある。

 蓮撃の練習が二刀流の良い練習になっている。

 でも、蓮撃は上手くいってない。


 1セット 5パターンで成る蓮撃は、最低で2、1、1、1、1で6手、最高は2、3、3、3、3で14手、組み合わせで何手かは変わるけど、ほぼ無酸素状態で続く蓮撃、だけど体力より先に頭の回転が追いつかない。


 それでも地道に慣れていくしかない。


 ちなみに素潜りも継続してやっている。 

 今の目標は素潜り10分。




 先日グレイトが王都の孤児院に移動した。

 チラッと見えたグレイトは痩せ細り、意識もないように見えた。

 兄の話では、王都に行っても直ぐには病院で診てもらえないと言っていた。

 戦時中で怪我人が多い事、優先順位の低い孤児である事、治療費を払えない事がその理由だ。


 逆にローチェは心の傷を克服しつつあるようだ。

 随分と明るくなった。

 最近は先に覚えた字や計算を兄達と一緒に俺に教えようとしてくれる。 

 ……やっぱり俺は勉強は嫌い。



 更に時が経ち、俺は8歳になった。

 外に出て思う、随分とスッキリしたなと。

 南側にあった家は崩壊してもう何もない。


 西側も数年前から比べるともう数軒しか人が住んでない。

 それでも孤児院は手入れしているからか?痛みが少ない気がする。


 魔術練習場へ歩く最中、俺はそんな事を考えていた。

 兄に聞いてみる。


 「にいちゃん、あの家に住めなくなったら俺達どうなるの?」

 「今は戦時中で空き家も多い。 どっか西の方の、村か町の空き家を借りて住むんじゃない」


 兄は続けて孤児院の痛みが少ない理由を教えてくれた。


 この世界は全ての物に魔力が宿ってる。

 人も海も森も家も…… なので魔力がなくなると崩壊が早まる。


 「孤児院と教会は繋がってるだろ、そして俺達は毎日お祈りをしている。 あれは滞納をしてるんだ、魔力のね。 俺とリュウの魔力は多い、だから多分だけど痛みが少ないんじゃないかな……」


 畑もそうなら俺達の担当だ……。

 

 「王都なんかに行くと貴族がいるんだ。 その人達は多分俺達より魔力が多い。 だって街や城に魔力の滞納をしているくらいだからね。 だから魔力が高い人は貴重で権威が高いんだ」

 「ふ〜ん、そうなんだ……。 でもにいちゃんは一人でカミナリまで落とせるんでしょ。 他の人は5人で落とすんじゃないの?」

 「はっ、そうだな……。 でも貴族なら一人で落とせる人はいっぱいいるんじゃない⁈ 知らないけど」


 そう、俺達は何も知らない。

 特に俺は生まれも育ちもこの一画。

 


 そんな話をしていると魔術広場に着いた。

 魔術の方は火、水、風、地(土)を動かせるようになっている。


 「今日は魔術ありの試合稽古をしよう。 正直、最近は剣術の試合でリュウに勝ってない。 でも、本来戦いは何でもありだ!」

 「フハハハ〜、面白い。 受けてたつ!」



 兄と対峙する。


 ルーク  無詠唱で魔術を操るが、直ぐに発動出来るのは下級魔術のみ。 

 そもそも多くの魔術を知らない。 

 剣術の腕前もたつけど、剣術だけなら俺が上。

 兄は2年前から短めの木刀を使っている。



 試合開始と同時に仕込んでいた? 氷の矢が飛んでくる。

 同時に兄も一気に詰めてくる。


 カツッと流すように氷の矢を捌き、思いっきり左上段!

 バシッと受けられ少し離れた。


 す〜っと息を吸う……


 先に仕掛ける! 飛び込んでの左上段、しかしタイミングを合わされ火の玉が飛んでくる。

 構わず左上段を振り切る!  バシッと受けられ火の玉が俺の肩へ。


 流すようにしたけど、ボボっと被弾、顔辺りまで熱が伝う。


 気にせず右を振る。 

 バッと兄はしゃがみ込み、ここでも火の玉を俺の足元へ。

 後ろへジャンプして交わす。 

 そして着地と同時に左の木刀を投げる。


 なっ⁈って感じだけど何とか兄は木刀で弾いた。

 凄い反射神経だと思う……けどもう詰めている。

 右の胴打ちから、左で手首を掴み引き込みながら投げる。 

 ドッサーッと倒れた。


 そして倒れてる兄に木刀を向ける。


 「クッ、参った」


 勝ったけど、やはり兄はセンスある。 

 魔術の使い方も上手い。 

  

 「ふぅ、リュウの動きはトリッキーで読みづらい。 だけど強い!」


 兄は理詰めの戦い方をする。

 2度目3度目と戦うと、簡単には勝たせてくれない。 


 「だけどファイアーボールを喰らっても痛くも熱くもないの?」

 「普通に痛いよ。 でも試合中は気にならない。 それより服が焦げてあの人に見つかったらまた説教されるよ」

 「ブハッ、確かにあの人は怒り狂うだろう。 その前にマシェリに頼もう」


 今はローチェ、俺、マシェリ、兄、ケビンしか孤児院にはいない。

 来年はケビンが15歳、再来年には兄が13歳になり徴兵される。

 最終的に俺達がいなくなった後、あの人はどうするのだろう。


 それでも俺とローチェにはまだ何年も時間はある。



 ローチェがここに来てから早3年。

 流石にこれだけ懐かれるとローチェを可愛く思う、もちろん妹みたいな感覚で。


 兄の予想では、俺と同じ歳の兄がいたのでは、という事だったけど俺の予想は違う。

 不安いっぱいで孤児院に連れて来られたローチェ。

 そこに優しそうな雰囲気を醸し出し、付いていくと剣の腕前まで天才的。 

 この人に付いて行けば安心、ってなとこか。


 いつか聞いてみたい。


 ……いつかと言えば、いつかローチェも誰か男を連れて来るのだろうか?


 『この人と結婚したいの!』みたいな……


 フフフ、それなら応えてあげよう。

 定番のあのセリフ、お前に娘(妹)はやらん!

 娘じゃないけど明日からの練習メニューに加えよっと。




 次の日、早速やってみる。

 

 「お前に妹はやらん!」


 う〜ん、寂しい。 

 セリフが短いのでアクションでも付けた方が良いかも……。

 やってみる。


 バッと振り返りながら―


 「お前に妹はやらん!」


 少し良くなった。

 けど、やっぱりセリフが短い。

 何かないかなぁ、前世で言うと…… あっ、あれでやってみるか!


 バッと振り返り!


 「お前に妹はやらん!じっちゃんの名にかけて! ……あっ」

 「ハッ? 何言ってんの、お前にじっちゃんはいねぇよ」


 なっ…… 兄がいた。

 は、恥ずかしい、さっきまでいなかったのに……


 「だいたいリュウは最近魔術の練習に身が入ってないぞ、字の読み書きはいつもで、あ〜だこ〜だでぐ〜だ、ぱ〜だ」


 俺の必殺技、説教流し!

 たまに勉強中にも勝手に発動する。


 でも、魔術の練習に気を抜いてたつもりはない。 

 これでも魔術に関しては考えてる事がある。

 ヒントは兄が言っていた。


 「普通は利き腕の手のひらから魔術を出すんだけど、父さんは両手で出す事が出来たんだ。 俺もマネしたら出来るようになった。 でも両手で出せる人はいるみたいだけどね」



 このヒントに基づくと……。


 魔術は利き腕の手のひら以外でも出せる。

 つまり、尖っているところなら、耳、鼻、おチン……は止めておこう(将来、彼の活躍が無くなるかも知れないから)、足、と試す価値はある。 


 それとファイアーボール。

 火をメインに風が混じってる魔術。

 逆に風をメインに火を混ぜたらどうなるか? 

 試してみたい。



 魔術練習場  ……と言うより海岸の近くの広場。

 魔術の練習をするために俺だけ先に来た。


 早速、風をメインに火を混ぜる。

 ブォーっとドライヤー程度、イメージと違う。

 火を強め、風を圧縮すると……

 ゴォーっとイメージに近い。

 更に少しづつ調整しながらやり続けると……

 ゴォォォーッとかなりの出力。 

 左手首を掴んで足を広げて踏ん張ってないと飛ばされそうだ。

 大成功! イメージ通り。


 次は足

 岩場に座り靴を脱ぐ。

 先ずは左足から。

 さっきの魔力の流れを左足に集める。

 そしてフンッと左足から魔力を出すと、スッポーンと大きな音と共に魔術が左足から出た。

 成功。


 右足も同じようにやって、同じように変な音と共に魔術が出た。

 本当に大成功!


 次は鼻。

 魔力を集める。 

 鼻は小さいのでファイアーボールにする。

 一応褒めておく。

 鼻 お前はたまにいい匂いを嗅がせてくれる。 

 もちろんトイレではやな奴だけどそれはいい。

 とにかく俺はお前を嫌いになれないんだ。


 フンッ! ブバッと勢いよく鼻水が出た。


 失敗 ……無言で鼻水を拭き次は耳。


 

 耳 お前は鼻と違い変な毛や水を出し、俺を困らせたりしない。 いい奴だ。


 フンッ! シ〜ン


 失敗 ……いい奴かも知れないけど、愛想はないな。



 次は口。

 ファイアーボールの魔力を口に集める……

 

 口 お前は余り食事を摂れないせいかヨダレが多い。 

 この前はローチェに寝小便したと誤解されたぞ。  

 その後、シスターには『リュウはヨダレが多い。 本当に小さな頃から多いの』と皆んなの前でしつこく言われた。 

 こんなに辱めたんだ、魔術くらいは出してくれ!


 フンッ! ブヒューンとファイアーボールは発動した。


 や、やりました。 

 やる気スイッチ、押せました〜っ。

 


 俺だけの、口から魔術!

 

 

 

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