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転生 フリーダム  作者: 昨日シーサイドライン乗った
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 王都サンカルム


     第二章  成り上がり


 第五十七話  「王都サンカルム」




 ザーッ、と鳴る雨の音……

 

 俺達がサンカルムに降り立った時には雨が降っていた。


 「お兄ちゃん、ラリィ、この街好き」


 降り立ってすぐ、ラリィが言った。


 確かに、雰囲気とか街の匂いとかがいい……


 「リュウ、晴れていれば遠くに城も見えてたらしいでござるぞ」


 俺には見えている……


 「近くに湖もあるんでしょ?」

 「ああ、ダムのようになってると兄者が言ってたでござる」

 「ルカルスさんは城に行ったことがあるの?」

 「父者の護衛で泊まってるでござるよ」


 そう聞くと、上位亜人の地位の高さが分かる。



 サンカルム。


 船着場から向かって右側は小さな船が停泊している。

 その奥は小高い山になっていて、その山に海を見下ろすように大きな家が沢山建っている。

 その家の色が皆んな白に統一されているので、いつか写真で見た、イタリアのシチリア島に似ている。

 

 左側は海岸線で、砂浜が続いているところもあるので夏には海水浴とか出来るのかも知れない。


 そして遠くに見える城……

 城は多分、ここより標高が高い位置にある。

 そして城の近くの湖から、水が沢山の水路で街を下り、海へと流れている。



 「お兄ちゃん、あそこの家がいいだの」


 と、ラリィは高台にある白い家を指した。


 「お前はアホだろ? アホです、アホなんじゃ〜い」

 「グフフ、お兄ちゃん、面白い」

 「ラリィ、あそこは特別な金持ちの家でござる。 もしかしたら貴族や王族の別荘かも知れんでござるな……」


 チッ、貴族め〜。

 よくも俺とリリカを引き裂きやがったな!


 「お兄ちゃん、また、あの時みたいな悪い顔してるの」


 ハッ、また、悪リュウが顔を出したか……

 だいたい、リリカとの別れに貴族は全く関係ないのに……

 悪リュウめ〜! ……可愛い奴。

 

 「まぁ、少し街を回ってみようぜ」


 雨が降っているので、ラリィも問題なく動ける。



 ーーーーー



 とりあえず俺達は真っ直ぐ城に向かい歩いて来た。


 時折、2段、3段の少ない段数の階段を上がりながら、横に流れる水路と、雨が降ってよりノスタルジックに感じた街並みを眺めて歩いたのだ……


 「聞いた話以上に綺麗な街でござるな……」


 ラザノフがポツリと言った。


 確かに綺麗な街だ。

 道は石畳が敷かれ、大小の水路を跨ぐ橋がアクセントになっている……

 


 この先にも貴族街があり、その先に城があるけど、俺達は貴族門? の前までしか行けない。


 ここまで真っ直ぐ歩いて来ても2時間。

 平民街だけでもデカい街だ。 ……まぁ、王都だけど。


 「腹減ったね、ラザノフ。 飯食って、宿を決めてたらギルドに行こう」

 「ああ、バリバリ働いて、せめて宿屋から抜け出そう。  あっ、ござる」



 ラザノフとは10日程度様子を見てから家を借りようと話してる。

 場所、治安、利便性などは直ぐには分からないから……


 

 ーーーーー



 今回の宿は、海に近い宿。

 値段は50トアと安い。

 今の時期は街中の方が宿代が高く、海に近い宿は安い傾向にあるらしい。

 セキュリティはそこまで気にしていない……


 

 さぁ、そしてギルド。

 

 ギルドの建物の前にある噴水にチラッと見て思う。

 プユスタールと同じだ…… と。

 

 建物も、少し色など違うけど外観は似ている。

 中に入っても同じで、だいたいのレイアウトが似ているので動きやすい。


 「リュウ。 拙者は絶対、討伐がしたいでござる」


 ラザノフは俺が1人でパレッツェンを倒したので、何か知らないけど焦っているのだ。


 「……分かった。 でも、その討伐を俺が受けたことにしよう。 そうすれば俺は B に上がるかも知れないし、そうなればパーティーを組める」

 「オ、オッケーでござるます」


 ござるます! ……あ、新しい。



 「ちょっと〜、君、リュウ君だよね、そしてそっちはラザノフ君。 ……私のことお姉ちゃんから聞いてない?」

 

 ん…… と思い見てみると、カミラさんを若くして可愛らしい顔つきにした女の人が……


 「あっ、うん、聞いてる。 今、正に声をかけようとしてたんだ。 なっ、ラザノフ」

 「え? ……あ、ああ、そうでござる」

 「本当〜? さっきから何回か目が合ったよね〜。気づかなかった?」

 「そうですか…… そりゃあ、さぞ悔しかったでしょうね……」

 「キャハハ〜、何で? 私ね、お姉ちゃんにリュウ君のこと、沢山聞いてるよ」


 どんな内容だ?


 「ふ〜ん。 俺じゃなくてリョーキさんのことじゃないの?」

 「キャハ〜、そうだよね〜、普通そうだよ〜。 でもリョーキさんは少し、9割リュウ君」

 「え〜と、カミラさんはでも、リョーキさんを忘れてないんだよね」

 「分からない。 でも置いてかれたとずっと思ってたから素直になれないんじゃない?」


 確かに、少し意地悪をしているようだった。


 「まぁ、とにかくよろしくね、え〜と……」

 「あれ? やっぱりお姉ちゃんに名前、聞いてない?」

 「あ、いや、聞いたよ、聞いた人は居るけど……」


 チラッとラザノフを見る……


 「ちょ、待て、リュウ。 それだと拙者が忘れたみたいでござるぞ。 忘れたのはリュウ。 しかも堂々と」

 「いや、堂々とは忘れてない。 恥ずかしそうに忘れたんだ!」

 「キャハハ、もういいよ、私はユキナ。 恥ずかしくても覚えてね」


 そう、ユキナだった……

 初め聞いた時、日本人みたいな名前だから覚えやすいと思ってたのに…… 直ぐ忘れた。



 ユキナさん。


 人間。 18歳。 160センチくらい。

 カミラさんに似てるけど、カミラさんは妖艶な美人。

 ユキナさんは元気そうな美少女って感じ。



 2階で依頼を探す。


 討伐コーナーには特にこれ! って言うのは見当たらない。 ……って言うか、どんな魔獣か分からない。


 それなら配達コーナーに行くと……



 トバラース町  ラーズ・トゥエルフ卿 宛 荷物

 ランク不問  期限 2月2日まで  報酬 900トア



 と、いうのがあった。

 はっきり言って、この手の依頼は避けてきた。

 だって届け先が貴族だから……



 またいつ、悪リュウが顔を出すか……

 


 「すいません、ギルドからの荷物です」

 「ふん、小汚い平民が届けたか」


 いきなり嫌なことを言う…… やっぱり貴族は好きになれん!

 スラッと、刀を抜く。


 「クッ、ラリィの悪口を言うな!」


 バスッ!


 「だ、旦那様〜、死なないで、死なないで〜」



 もしくは……



 「すいません。 ギルドからの荷物です」

 「ふん、平民の小僧か。 やはり平民は臭いな」


 いきなり失礼なことを…… やはり貴族は好きになれん!

 スラッと、刀を抜く。


 「ラザノフの悪口を言うな〜!」


 バスッ!


 「ご主人様〜、起きてけろ〜!」


 

 こんな未来しか想像でき……


 「……ュウ、リュウ!」

 「え…… ああ、大丈夫。 そんなに臭くない」

 「何が? リュウ、それよりコレがやりたいでござる」


 ん…… 討伐コーナーは俺も見たけど良さげなやつはなかったぞ…… と思いながら、ラザノフの持ってきた紙を見た……



 ダンジョン攻略  カチージャ山  最下層 希少鉱石



 ダンジョン……


 「ラザノフさ、サラノフさんに近づくなって言われてなかった?」

 「せ、拙者はその…… 今は忘れてるでござる。 ガッハッハ〜」

 「俺は2度程ダンジョンに居る魔獣と対峙したけど、舐めてるとあっさり殺られるよ」

 「分かっている。 拙者はリュウより年上で竜族の狩にも行ってたが、それでも何故かリュウより修羅場の経験が少ない。 ギリギリの経験を積みたいでござる」


 まぁいいか……

 一応、カミラさんの妹に聞いてみよう。


 

 1階まで戻ってカミラさんの妹…… 何だっけ!

 と、思ってたら、ラザノフが「ユキナさんをお願いするでござる」と言ってたので思い出す。


 ユキナ、ユキナ、ユキナ、ユキナ、ユキナ!

 もう忘れない。


 「依頼持ってきた? 私の方はとりあえずサンカルムのギルドへの登録は終わったよ」

 「コレがしたいでござ〜る」


 ラザノフが紙を見せると、ユキナさんは、えっという顔をした。


 「ラザノフ君…… コレはダンジョン攻略で、最下層にある希少鉱石しか報酬がないの。 それに危険度も凄く高いから…… ね、止めよう」


 ちなみに、ポイントサービス対象外らしい。


 「それって、攻略しようとした冒険者は居ないの?」

 「それは居るよ。 このダンジョンは17年前に突如現れて、それから何人、何百人の冒険者が攻略しようとカチージャ山へ向かったわ」

 「も、戻って来なかったでござるか!」

 「戻って来なかった冒険者も居るよ…… この依頼は特殊で違約金がありません。 だから無理だと思えば帰って来てもいいのです。 ……ねぇ、2人共約束して。 危ないと思ったら必ず戻って来ること…… 約束出来る?」


 ポイントも無い、報酬も最下層に行かなきゃ無い、こんな依頼は止めよう。


 「分かったでござる、約束する。 それでダンジョンの情報は?」


 は? せめてポイント……


 「ちょっと待ってて」


 と言って、ユキナさんは階段を上がって行った。



 ーーーーー



 「って言うか、ラザノフさ〜、コレって最下層まで行かなきゃ意味ないじゃん。 食料、回復薬も大量に必要だと思うよ。 それにラリィはどうするの?」

  

 連れて行くにしても、置いて行くにしても、ラリィを危険に晒すことになる……

 それでもやりたいなら、ラザノフは本気だ。


 「連れて行くでござる。 それで、ラリィの影に荷物も置かせてもらえばいい」

 

 本気か……

 

 俺も覚悟を決めないと、ラリィまで巻き込んでしまう。



 ユキナさんが書類を持って戻って来て、ダンジョンの説明をしてくれる。


 「え〜と、カチージャ山はここから北西に120キロにあります。 ダンジョンの入り口は山の中腹辺りにあるみたいよ」 


 120キロ…… まあまあ遠いな……

 

 「それで、え〜と、地下1階は広い洞窟みたい。 え〜、出てくる魔獣はヤグム。 人型で剣を持ってるみたいだけど、余り強くないみたい。 でも数が多いって書いてあるわ」


 数か……


 「特殊攻撃や毒は?」

 「うん、え〜…… そうね、無いみたい」

 「それって誰かが帰って来て報告したやつ?」

 「うん、そうよ。 地下1階は攻略済みってことね」


 何階まで攻略済みなのだろう……


 「ラザノフ、ヤグムって知ってる?」

 「済まんで知らん、ござる」

 「…………」

 「う、うん、次いい? 地下2階は農村のような場所、やっぱり広いみたい。 出てくる魔獣はデボイ、数は少ないみたいよ」


 ここでラザノフが嬉しそうに話す。


 「デボイは知ってるでござるよ。 楽に2メートルを超えるデカブツでござるよ。 でも動きが単調でリュウなら楽勝でござるよ」

 

 2メートル超えに楽勝は無理でしょ。


 「リュ、リュウ君、そんなに強いの?」

 「そうでもない。 ……次の階は?」

 「うん、地下3階は川沿いを下った先に階段があるらしいわよ。 出てくる魔獣はザナドゥ」


 ラザノフは手を広げて、「知らん」と言った。


 「そこまでしか攻略されてないわね。 ……多分、地下10階くらいはあると思うわ」


 1日1階の攻略とすると、食料が結構必要になる。

 充分な準備が必要だ。


 「ユキナ殿、受けていいでござるか?」

 「う、うん、約束を守ってくれるなら。 リュウ君、私、お姉ちゃんに怒られたくないからね、怪我しないで帰って来てよ」

 「ああ、分かってる。 ありがとう、ユキナさん」


 


 ギルドを出た後はラザノフはお城に向かった(挨拶をしてくるらしい)。


 俺とラリィは街を回りながら宿への帰路についた。



 さぁ、ダンジョン攻略だ!


 

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