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転生 フリーダム  作者: 昨日シーサイドライン乗った
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 不注意


      第二章  成り上がり


 第五十二話  「不注意」




 討伐完了の報告と上顎を、依頼主のシャダル町の町長に渡してついでにこの町でラリィに食事を奢ってあげようと思って店に入った。


 この店はインド料理店のようなお店。

 でも、出てきたのはインド料理ではなかった……

 

 豚足っぽいのを油で揚げた料理、でも豚ではない。

 注 もちろんラリィの足でもない。


 色々な野菜を何かの乳で煮込んだ料理。

 注  もちろん" 何か " は、 俺ではない。


 えっ、どうして?


 どうしてと言われても俺は乳など出ないし、これからも出す気はない。


 俺は…… 漢だ〜!


 他の料理も意外にも美味く、ラリィも俺も満足で帰路についた。

 


 ーーーーー


 

 プユスタールの宿には2日後の昼過ぎに着いた。


 朝方まで飛んでそこからラリィには影に入ってもらい、俺はランニングで少しでもプユスタールに近づく、というパターンで来たので俺は2日寝てないし結構疲れた。


 ラザノフは留守なのでとりあえず夕方まで寝て、ラザノフが帰って来たらギルドに報告に行ってカミラさん家に行きたいな…… と思って寝た……


 だけど……

 目を覚ました時にはラリィは消えていた。




 部屋中を探し回ったし、影にも何度も声をかけた……

 もちろん宿の主人にも怪しい人物が居なかったか聞いたけど、何も変わった様子はなかったと言う。


 どういう事だろうか?


 ラリィが居ないのは事実。 ……でも、ラザノフが自信を持って自分で解決すると言ってたのに、部屋の中まで入られて攫われた?

 ……いや、俺が一緒に居たのに俺はカミラさんの事ばかり考えて油断していた。


 俺のせいだ。


 

 寝る前から考えてみよう……


 当然、鍵は閉まっていた。

 ラリィはまだ1人では寝れないので俺と寝る。

 今日も一緒に寝たけど、ラリィはたまに起きては居なくなり、そしてまた布団の中に入ってくる。


 帰り道、俺がランニング中はラリィは影の中で寝ている、つまり今日は余り眠くなかったのだ。

 だから隣の部屋で1人遊びをしてたはず……

 

 ラザノフが買ってきたラリィのオモチャは相変わらず散らばっている…… いつもと同じなので分からない。

 しかし、トイレのドアが開けっ放しになっているのに気づいた……


 ん…… 爆睡中にラリィが何か話している声を聞いた気がする……

 隣の部屋でラリィが独り言を言っている…… と、思った気がする。


 ……あっ、ラザノフだ!

 ラザノフがラリィを連れて行ったんだ!


 今日は曇っているし、いつもの夕方より暗い。

 ラリィがどうしても腹が減っているとラザノフに言って何処かに食べに行ってるんだ……


 ……待っているか?

 いや、もし違かったら初動のこの時間は大切だ。

 無駄足だったとしても目一杯動こう。


 外へ出ようとすると、鍵が開いていた……




 とりあえず近場の食事処を回ったけど居ない……


 もしかして、ミナト……?


 ミナトまで行くとは思えなかったけどミナトまで走って来た…… しかし、まだ準備中だった。


 ここからはギルドが近い。

 カミラさんにも聞いてみよう……



 ギルドに着いて、カミラさんを呼ぶと……

 

 カミラさんは一瞬、驚いた顔をした後、嬉しそうに小走りで走って来た。


 「リュウ君、まだ討伐に行ってなかったんだ。 それなら今日は? まだ行かないならウチに来ない?」


 ヤバいな……

 嘘をついたつもりはないけど、嘘をついたから、嘘が嘘を呼んでこうやって嘘つきになるんだろう。

 でも、討伐をもう終えたことは今日は言うのを止めよう。


 「ごめん、今日はラザノフのことを聞きたいんだ。 何か知らない?」

 「え…… だって貴方達はいつも一緒にいるでしょう? 何かあったの?」


 今の時点では、何があったのかを説明するのは難しい。

 何も起きてないかもしれないのに、心配もさせられない。


 「いや、ラザノフはここには来てない?」


 少し怪訝そうな顔をしたカミラさんだが、思い出すように話してくれた。


 「10日くらい前かなぁ、土竜族の里に伝言があると言って、伝言を伝えていたわよ。 そしてその返事かな? 一昨日に何処かからの伝言を聞きに来てたわ」



 リーブルの通信システム


 リーブルにはファックスのような通信システムがある。

 しかし、ファックスは各ギルド、お城、1部の貴族と上位亜人しか持っていない。


 

 「土竜族の里はファックスはあるの? それで伝言の内容は?」

 「土竜族の里には無いはずだから、リバティ国のチャナランと言う街のギルドを通して伝わっているはずよ。 伝言内容は専属の部署があって、わたしは知らないわ」


 10日くらい前と一昨日……

 今は関係ないか⁈


 「分かった、ありがとう。 急いでいるからまた今度」

 「ちょ、ちょっと待って。 今日はウチに来れる? 少し話があるんだけど……」

 「今日は無理だと思う。 そのうち時間を作るよ」


 と言って、ギルドを後にした……



 一応ミナトの前を通って行くと、準備中ではなくなっている……

 ミナトさんにも聞いてみよう。


 BAR ミナトに入ると、忙しそうにミナトさんが仕込みをしていた。


 「おう、リュウ君、いらっしゃい。 でも、まだ仕込みが終わってないんだ…… 少し待てる?」

 「いや、今日は食事じゃなくて、ちょっと聞きたい事があるんだ。 忙しいところ悪いけど……」

 「ハハーッ、いいぞ、どうせ来る客は融通がきく」


 知り合いの誰かが、予約してるのか?


 「ラザノフとラリィを見てない?」

 「ン……? 居ないのか?」

 「まだ、分からないけどね。 最近、ラザノフはこの店に来てる?」


 カララーンとドアが開き、お客さんがゾロゾロと入って来る……


 「リュウさん!」


 アトラスを含めた、兜流の人達だった。

 アトラスは俺の名を呼び、両手で俺の手を握った。


 アトラスにコーカサス、それに母親と……


 「ア、アトラス…… まさか…… ウソだ…… まだ早い! お父さんは絶対に結婚など認めんぞ!」


 どっかの支部道場に行ってるはずの父親か……

 帰って来たから、お祝いか⁈

 ……だけど、どんだけ早とちりな人だよ。


 「ふふ、絶対認めてもらいます」


 アトラスは俺の手を強く握り、チラッと俺を見てニヤついて、照れた。

 

 その言葉と反応は、誤解されますぞ!



 「アトラス、悪いけど今はそれどころじゃないんだ。 ……それで、ミナトさん、ラザノフは最近ここに来た?」


 ミナトさんが答える前に、アトラスの母親が口を挟んだ。


 「少年…… リュウ君だっけ。 何かあったの? 良かったら話してみて」


 もしかしたらアトラス達もここに来る途中でラリィかラザノフを見てるかも……

 それくらい、あの2人は目立つ。



 ……という事で、ラリィが居なくなったこと、ラリィが狙われているかも知れないことを話した。


 「つまり、アトラスとは友達なんだな」


 俺が話している間に、母親が俺のことを話したようだ。


 「え、ええ、まあ」

 「今は、友達でも嬉しいです」


 余計なことを……

 大人を揶揄うなっての……


 「それならアトラス、コーカサス、お前達も手伝ってあげなさい! ……わ、私? そりゃあ母さんとは久しぶりだから2人でしっぽりと……」

 「オヤジ、そこまで聞いてないって……」


 しっぽりと何する気だ?


 「ヤダ、貴方…… ふふ、今度はどっちがいいかしら? リュウ君、どっちがいいと思う?」


 そんなの知りません!



 ーーーーー



 随分と緊張感がなくなってしまったが、ミナトさんの話は少し役にたった。



 ラザノフとケリニッチのパーティーの5人は、よくミナトで打ち合わせをしていたけど、4日前くらいにメンバーのトニーと言う男が犬に襲われて怪我をした。


 一昨日もミナトに来たけど、ラザノフとケリニッチ達3人は少し言い争っているように見えたという……

 


 ミナトさんはケリニッチの住む場所を知っているので、地図を書いてもらった……


 「あ、あの、リュウでいいよな…… お、俺も手伝っていいか……?」

 「もちろんだ、コーカサス」


 少し時間はかかったけど、2人が手伝ってくれるのは大きい。


 「それじゃあ手分けしよう。  アトラスはこの地区を回ってくれ。 コーカサスは工業区を。 俺は移住区に行ってケリニッチさんも含めて探してみる」

 「ああ、オーケーだ。 でも何処でおち合う?」


 今はもう暗くなり初めている……


 「19時に噴水前にしよう」


 と言って、2人にラリィとラザノフの特徴を教えて別れた。

 


 走りながら、もしかしたら宿にもう帰って来ているかも、と思い、宿の部屋に寄ったけど誰も居ない……


 暗い部屋にポツリと俺1人。

 変な予感がする……

 もう2度と2人に会えない予感が……


 ……と言っても、俺の予感は結構外れる。

 今までも外してきたが、それでも大事な予感は当たるのだ……


 今、決めておこう。

 ラリィを危険な目に合わす奴は、無慈悲な心で排除する。

 相手が誰であれ迷わない。


 俺は刀を持ち、移住区へと走った……

 


 ーーーーー



 移住区。

 

 とりあえず食事処や酒場を走り回ると、酒場でリサナーラ達に出会えた。

 向こうも俺を覚えていたようで、リサナーラから話しかけてきた。


 「おお〜、久しぶりだ〜、カッコいい少年。 ラザノフに伝えたいことがあるんじゃ。 ラザノフはどこ?」

 「え…… ラザノフとラリィを探し回っているんだけど、3人はラザノフの居場所を知らないの?」


 3人はピクッとした……

 ケリニッチさんが話す。


 「ラリィが居ない? ラザノフも? どういう事だ」


 今朝帰って来てから、今の時間までを話す。



 「マズいぞ、マズいぞ、少年! ラザノフはきっと犯人を知っている、それなのにウチ達を遠ざけた」


 ラザノフが犯人を突き止めていた?

 それで、ケリニッチさんパーティーを遠ざけた?

 ……もしかしたら、俺を遠ざけたのも同じ理由?


 「一昨日、ミナトで口喧嘩してたって聞いたけど、それが理由?」

 「そうじゃ、それじゃ、それ。 ラザノフめ〜、危ないから、もう自分だけでやると言いおった。 ふざけんなっちゅ〜うねん。 ウチの能力で調べれば、ホホイノホイだっちゅ〜の!」


 危険な相手か……

 でも、相変わらずリサナーラさんとは、会話がしづらい。


 「ケリニッチさん、調べた事、順を追って教えてくれませんか?」

 「ああ。 でも、この後も手伝うぜ。 危険だからもういいとは言うなよ」


 パレッツェンよりは弱い相手だろう、頷く……



 ケリニッチさん達の報告。


 ラザノフを付けているのは、ゴルバトと言う奴隷商で働く男。

 同じ奴隷商で働いていた兄が、吸血族ハーフの子を送迎中に行くえ不明となり、探していた時にラリィを見つける。

 ゴルバトの独自の調べで、兄と、同じく送迎中だったゴルバトの親友テツはラザノフが殺ったと結論付けた。

 8日前にラザノフを後ろから刺す。

 しかし返り討ちにあい、上位亜人を殺そうとした罪で、今はフェークスの収容所にいる。



 部屋を探ろうとしている男について。


 下級貴族、ペンネ、ピタ、ラウルの使用人、カザッゼニ。

 ラウルの指示で動いていることが濃厚。

 ゴルバトとの繋がりは不明だが、繋がりはある可能性が高い。


 ラウルを見張っていたトニーとベンが、ラウルの屋敷から空飛ぶ人族を何度も目撃する。

 しかし、トニーが4日前に大きな犬に襲われて全治半年の大袈裟をする。

 


 一昨日の報告会で、ラザノフにトニーが怪我したことを伝えると、この依頼はもう終わりだと告げられ、全額の依頼金をもらった。


 しかし、納得出来ないケリニッチパーティーは、その後も調査を継続。

 そして、昨日、カザッゼニの手の内の者が、ラザノフ達の部屋の隣の部屋を借りたのを知る。

 

 報告したいけど、ラザノフは見つからない……


 

 そのままケリニッチさんが話す。


 「こんな感じだが、ラリィを攫ったのは、昨日、君達の隣の部屋を借りた女の可能性が高いだろう。 でももう、ラウルの屋敷に連れて行かれたかも……」


 ……女⁈


 「ウチの能力を使え、少年! ウチはビーストマスターじゃ!」

 「何それ?」

 「な、何それとはなんじゃ! ビースト、ビー、スト。 マ、マシュター。 つまりビーストマスターじゃ!」


 ケリニッチさんを見る……


 「ま、まぁ単純に言えば、魔獣を使役出来るってことだ。 今回の場合、ラリィが本当に屋敷に連れて行かれたのかを、魔獣を使って調べさせるんじゃないのか……?」


 そんな能力があるのか。

 

 「凄いじゃん、リサナーラさん。 もしかしてパレッツェンとかも使役出来るの?」

 「パ、パ、パレッツェン…… 出来ちゃうんだな〜、これがちょっと…… ち、近くに居ればじゃけど」


 歯切れが悪いな……

 本当に出来るのか?


 「と、とにかく今回は猫じゃ、猫にウチの目になってもらう」


 もう、19時の噴水前に行かなきゃ間に合わない。


 「時間はかかるの?」

 「調べるのに、少しかかるぞ」

 「だったら、俺の仲間の情報も聞いてくる。 1時間で帰って来る」

 「ああ、それくらいはかかる。 少年、急ぐのじゃ、ワッハッハ〜」

 「…………」

 「ゴホン、だったらウチに来てくれないか? リサナーラのアレはここではちょっと…… 俺の家はこの近くだから……」


 ケリニッチさん家の地図は、ミナトさんに描いてもらったから知っている。

 問題ないので頷いた……


 


 走っても間に合わないので、人の居ない角で垂直に飛び、噴水前に微調整しながら降りる……

 所要時間は数分。 ……でも走ると、全速力でも30分。


 アトラスとコーカサスの近くにスーッと下りる。

 するとアトラスはものすごい勢いで喜び、コーカサスはもの凄く驚いた。


 「リュウさん、私もあの時飛んだんですよね〜。 ふふ、もう、凄い良かった……」

 「な、な、な、な、どこから来た? 飛んだ? 本当に訳分からない奴だな」

 

 猛スピードで降りてきたので、俺を見ていた人は少ないようだ。

 それに、その後に普通にアトラスとコーカサスと話しているので、目の錯覚とでも思ったのか、人が集まってくることはなかった。



 アトラスの報告。


 夕方に日傘を差して女の子と貴族街の方へ歩く女の人が居た。

 女の子の特徴がラリィと似ている。


 女の人はメイド服のような身なり、女の子はポンチョを羽織り、普通にメイド服の女に付いて行ったという。



 コーカサスの報告。


 この地区でのラザノフとラリィの目撃情報は無し。


 だが、道場に寄って門下生に話を聞くと、門下生の1人が昨日貴族街の近くでラザノフと思わしき男を目撃した。


 ラザノフは待ち合わせをしていたのか、しばらく待った後、向かいに来た人に引きつられ、貴族街へと消えたらしい。



 情報を3人で整理する。


 ラリィは嫌がらずに、メイド服の女に付いて行った。

 ……部屋の扉の鍵を開けたのはラリィか⁈


 ラリィもラザノフも貴族街に居るはず。

 ……2人は一緒⁈



 意外にわかることは少ない……



 「とにかくもう一度、リサナーラさん達に会ってくるよ…… 今日はありがとう」

 「わ、私達も一緒に聞きに行きます!」

 「そ、そうだ。 一度乗った船だ、最後まで行かせてくれ!」

 「どちらにしろ俺は貴族街に乗り込む予定だ。 さっき話したラウルという男は、金に汚く平民に厳しい貴族と聞いている。 歯向かったことが知れれば親や道場にも迷惑がかかるぞ」


 2人は愕然として黙った。


 「もし解決したら話に行くよ。 その時にお礼として何か奢らせてくれ」


 コーカサスは複雑そうに、アトラスは嬉しそうに頷いた。


 「リュウさん、あまり無茶しないで下さいね。 リュウさんには未来があるのですから」


 未来はあるけど、無茶はする。


 俺が守りたい者は、レイモンに居る。

 だけど、リーブルにも1人だけ居るのだ。


 それがラリィだ!  

 ……追加でレミアも加えちゃお。


 「……ああ、今日は本当にありがとう」


 と言って、移住区へと走り出した……

 


 


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