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転生 フリーダム  作者: 昨日シーサイドライン乗った
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 ジャニーズ系色男の僕


      第二章  成り上がり


 第五十話  「ジャニーズ系色男の僕」




 『リュウ、お前シスターに贔屓されてんじゃねぇよ』

 『でも、しょうがねぇよ。 リュウは言葉が喋れないからよお』

 『ウハハ、ルークの弟とは思えないな! 絶対違うぜ、コイツの母ちゃんも喋れませ〜ん!』

 『ワハハハ、父ちゃんもだって』



 ふぅ〜。


 人疲れしたのか、シャワーを浴びながら昔を思い出してしまった……


 兄は年下ながら剣の腕も達ち、愛嬌のある顔立ちと賢さで年上の孤児達に一目置かれてた。

 しかし、俺は他の孤児とは年が離れ過ぎていたし、喋れなかったし、生意気そうな顔立ちに生意気な態度で、最年少でも兄と違って不人気な子だった。

 まぁ…… 皆んなの母代わりだったシスターに可愛がられていたことが、嫉妬された原因でもあるだろう。


 だから……


 ー1日中、殆ど誰とも話さない日もあったー


 そうだ……

 あの頃はその方が面倒臭くなくていい、と思っていたんだ……


 今日は極力喋らないようにしよう。

 ……と思いながら、ギルドに報告に行く……


 

 ーーーーー



 冒険者ギルド。


 この街にも顔見知りが増えて来ている。

 特に冒険者ギルドには顔見知りが居る可能性が高いので、さっさと報告を済ませる。



 カミラさんを見つけて呼ぶと……

 カミラさんはパァッと明るい表情になった。

 

 「ふふ、本当に仕事が早いのね。 多分、これでリュウ君はCランク、こんなに早くCになった人って居るのかしら?」


 居るだろう……

 冒険者は人に手伝ってもらってもいい。

 事実、ラザノフは他のパーティーの助っ人に行っている。

 

 「そろそろ本気で行きたい。 カミラさん、討伐をやりたいんだ」

 「う〜ん、リュウ君が強いのはミナトさんから聞いて知ってるわ。 チンスコージと戦って勝ったって噂まで……」


 勝ってない……

 肩を貫かれて逃げただけ。


 「チンスコージはダンジョン深層に居るはずの魔獣、居るわけないのにね。 ……う〜ん、ご飯に連れて行ってくれて、ラザノフ君と2人で弱い魔獣討伐なら考えてもいいわ」


 ラザノフに手伝ってもらうと思わせておこう……


 「じゃあ、探してくる」



 ーーーーー



 ギルド2階の討伐コーナー。

 ザッと見て気になった依頼がコレ。


 パレッツェン討伐  ミナモス山付近  Bランク以上

 5,000トア  期日 春まで  シャダル町 町長



 まだ、色々聞かないと分からないので下に行く……


 

 カミラさんに、依頼の紙を見せて尋ねる。


 「先ず、ミナモス山って何処にあるか聞きたい。 それとパレッツェンの姿絵とかはない?」


 すると、カミラさんは3階に行って色々と持ってきた。


 「え〜と、ミナモス山は…… シャダル町とテンペス村の近くにある山脈の1つね…… シャダル町からの依頼になっているけど、被害はテンペス村で出ているみたいよ。 ここからの距離は800キロ、ラザノフ君と行くなら、行くだけでも20日くらいかかるわよ」

 

 今の時期なら1日で飛べる距離だ。

 討伐後にちょっと遅めに報告に来れば、バレないだろう。


 「それで、コレが姿絵ね」


 やはり俺の予想通り、パレッツェンはパッツァンだ……

 この星は昔は繋がっていた?


 「でもこの依頼は駄目ね、ランクが足りないわ」

 「カミラさん…… 俺はすぐAになる。 ランクは今の実力じゃない」

 「リュウ君…… いい? このランクはB以上のパーティーを指しているの。 つまり普通は7名、少なくとも5名ね。 リュウ君達は2人よ、2人!」


 実際は僕1人です。


 「お願い、カミラさん。 俺さ、カミラさんに何か時計のプレゼントのお返ししたいんだけど、何がいい?」

 「あっ、ネックレスがいいな…… って、騙されないわよ」

 「夕食前に買いに行こう。 ね、いいでしょ、カミラさん」

 「本当に買ってくれるの…… 嬉しい…… 」

 「じゃあ、いいんだね」


 カミラさんは深く溜息をついた……


 「貴方は言い出したら聞かないからね。 また最初みたいに担当変えてって言われるの嫌だし、プレゼント付きのうちにオーケーしようかな」


 よし! 5,000トア、ゲット。

 

 「でも、貴方は飛べるのだから、危なくなったら逃げると約束して」

 「分かった、約束するよ。 俺はね…… 結構逃げるの得意だよ」

 「フフフ、逃げてる姿も見てみたいな」


 無理だね……

 気づいた時には居ないから。


 「それじゃあ、明日以降に依頼を受けてね。 そうすればCランクで受けたことになるから」


 そうか、まだDランクだった。


 「分かった。 ……また、噴水の前で待ってればいい?」

 「うん、すぐ帰れるよ。 リュウ君が依頼で居ない間は遅くまで残ってたから」


 その言い方だと、俺の都合に合わせているみたいだ。

 少し俺に好意がある、、、? 

 

 

 ーーーーー



 カミラさんが選んだネックレスの値段は760トア。

 俺がいくら稼いでいるかを知っている、カミラさんしか選べない値段だ。

 だって、ラザノフが16年間で貯めたお金が700トアだよ……


 とは言え、担当の立場以上のことをカミラさんは俺とラザノフにしてくれている。

 何より喜んでくれているのが、俺だって嬉しい。



 ネックレス…… あの海で俺達が拾った翡翠。

 もう、とっくにネックレスになっているはず……

 いつかきっと……

 


 ーーーーー



 BAR ミナト


 ラザノフとラリィも居るかな? と思ったけど、ラザノフ達は他のところに行ったようだ。


 この店は特にチーズ料理が美味しい。

 だから、いつものように適当に持って来てくれと注文した。


 「今日はラリィちゃんは?」

 「絶賛嫌われ中」

 「プフッ、早くも反抗期かしら? でも、今日は2人きり。 お酒を飲みながらお互いの過去の恋の話でもしましょ」


 僕は泣かないぞ!


 「その前にカミラさん、レイモンって知ってる?」


 裏の世界は一般には知られてない。

 でも学校では教えているのかも……


 「知ってるわ…… 何故、貴方がそんなことを…… ま、まさか貴方は……」


 ヤバい。

 そう言えば、この人は鋭い人だったんだ。


 「今、分かったわ…… 貴方が持っている刀という剣。 ……レイモンから来た人に作って貰ったのね」


 そうだった…… 鋭いけど、ちょっとズレてるんだった。


 「プフッ、冗談よ。 貴方の剣、洋服、貴方は飛べる、リーブルにはない雰囲気。 ……どれを取っても貴方がレイモンから来たことを指してるわ」


 え〜と、雰囲気は関係ないと思うんですけど……

 

 「1年前まで孤児院に居たって、本当?」

 「あの時期はね。 今の時期はもう孤児院を出てたよ」

 「ふふ、嬉しいな〜。 やっと貴方が信頼してくれた」


 本当は隠すことなど何もない。

 でも、いくら俺が飛べると言っても、裏の世界から来たと言っても、普通は信用してくれないだろう。

 お互いの信頼がなければ信用もしない。


 「カミラさんの昔の恋の話って?」

 「ふふ、それは後で。 もう少し貴方の過去からレイモン、そして恋人、、、居た? ……を聞きたいな」


 人疲れで今日は喋らないって決めてたのに、カミラさんとは全く疲れない。


 「いいよ。 軽く流して話すね」


 と言って、話し始めたけど……

 リリカと出会った辺りからカミラさんが喰いつき始めて、結構詳しく話させられた。

 そして、途中からカミラさんは涙を流す……


 ちなみに……

 僕は泣いてないぞ!



 「ご、ごめんなさいね…… リュウ君が亜人の恋人が居たなんて思っても見なかったから…… 私もね、亜人の恋人が居たの」


 と言って、カミラさんはゆっくり亜人との恋愛を話し始めた。



 サンカルムの学校、セブンカルム学校は平民16歳になる年、貴族は15歳になる年が入学出来る年齢。


 学校では平等に貴族、平民を扱うが、入学した時点で実際は1年の差は生まれている。


 カミラは剣術クラスで入学した。

 やはり剣術クラスは男が多く、カミラは容姿が良かったため、貴族の男達から自分の妾になるよう多くの誘いを受けた。

 

 それをいつも庇ってくれたのが、亜人のリョーキだった。

 1年、2年と先輩貴族には逆らえず、リョーキは何度も暴行を受けて傷ついた……


 それでも3年生になると、やっと平穏が訪れる。 

 その時にカミラは気づく……

 リョーキの側に居るのが当たり前になっていると。


 そこから、リョーキと恋愛関係になるのは時間は掛からなかった。 ……元々、リョーキはずっとカミラに惚れてたからだ。



 そして卒業。

 その地点でカミラはリョーキとの恋愛を終わらす覚悟でいた。

 理由は単純。

 亜人が人間と結婚するのは種として全てを奪われることを指すからだ。


 当然、ナラサージュ国では別種族同士の結婚には罰則がある。

 ナラサージュ国の罰則は、罰金だけで12万トア。

 だけどゴールタール国はもっと安く、10万トア。


 カミラはリョーキに別れ話をするが、リョーキがそれを断固拒否、両親とも縁を切りカミラに結婚を迫った……


 しかし、現実は結婚など出来ない。

 12万トアの借金を背負い、収入の6割を借金返済に回さなければならない決まりがある。


 2人は話し合い、お金を貯めてから結婚することにする。

 そしてナラサージュ国ではなく、少しでも罰金が安いゴールタール国、プユスタールに移り住むことに決めた。



 プユスタールでは、当初リョーキは冒険者の仕事をしていた。 

 カミラはリョーキの手伝いと、ウェイトレスをしながら暮らしてた。

 前だけを見て頑張っていたこの時が、カミラにとって1番幸せな時だったのかも知れない。


 2人は5年で50,000トアを貯めるつもりでいた。

 しかし現実には厳しく、1年で貯まったのは5,700トア。

 カミラはそれでも目標の半分は貯めれると切り替えたが、リョーキは焦り苛立ちを隠せない日もあった。



 突然、前触れもなくその時は訪れる。

 リョーキが "待っていてくれ" と短い置き手紙を残し居なくなった……


 それから随分と時が過ぎたが、カミラはリョーキを待ち続けた。

 だけど、もうすぐ5年……



 「だから、自分の中でケジメをつけようかなって、5年を過ぎたらキッパリとリョーキのことを忘れるって……」


 カミラさんは24歳。

 19歳からの女の5年は凄く大きく感じる……


 「そんな時に貴方が現れたの、初めて見た時に心臓のドキドキが止まらなかった…… ふふ、ギルドの職員の女の子の1人も同じことを言ってたから、私だけじゃないけど」


 う、嬉しい……

 今ならマックのハンバーガー、50個は食える……

 ラザノフの奢りで。


 「き、今日は最後まで付き合ってくれるんでしょ」


 ゴ、ゴックン……

 ヤ、ヤバい…… 生唾なんか飲んで、変な想像をしてると思われてしまう。 ……ちょっとしたけど。


 「ふぅ〜、いいよ。 今日は食べて飲もう。 次に行く?」

 「うん。 ウ、ウチに来る?」


 ウ、ウチ!

 いきなりお父さんとお母さんに挨拶させる気か?


 「いや、今日はもっと飲みたいんだ。 訳もわからず妹に嫌われて、友達にはお前は入って来るなと指示された。 俺は何か間違ってたのかな〜」

 「ふふ、貴方くらい鈍感な人も悩むんだ…… いいわ、移住区に美味しくて安く飲める店があるの、行こう」


 俺は鈍感、、、?

 いや、俺は魔獣でも、いち早く察知出来る敏感な男だ。

 小さな頃からの稽古の賜物なのだ、ワッハッハ〜。



 しかし移住区は遠いので、途中のお店で少し飲んでから移住区のお店に行くことになった。



 ーーーーー



 ビューっと冷たい風が吹く。

 もう、本格的な冬に入っているので風が冷たい。

 

 一気に酔いが覚めるな……

 と思っていても、隣の人は相当酔いが回っているようだ。

 

 移住区のお店へ移動中、カミラさんは腕を組んで来た……

 チラッとカミラさんを見るけど、照れて顔が赤いのか、酔って顔が赤いのか分からない。

 別にこんな腕で良ければいくらでも組んでくれ、と思って歩いていると……


 移住区の飲み屋街なのか、ノスタルジックな雰囲気の通りに出た。

 道幅が狭く、カミラさんが言うには次の角を曲がれば沢山の安い飲み屋があると言う。

 

 しかし……


 その角から曲がって来た4人組に、俺達は絡まれた。


 「誰かと思えばウチ等の仕事を奪ってくギルドの女と噂の男じゃないか〜」


 噂の男…… どうせ、ラザノフの従者とかだろ。


 

 話しかけて来たのは鳥人族の4人組。


 前に、配達ばかりやってると睨まれるとカミラさんは言ってたけど、俺だけじゃなくてカミラさんも含めての事だったのか……


 「あっ、コイツ等か、俺達の仕事を奪ってんのは。 そのおかげで俺達はいつも安酒だぜ」

 「そりゃあズルいだろ、自分の男に優先して仕事を回すなんて!」 

 「おう、お前! 今日は竜族の兄ちゃんは居ねえみたいだなぁ」

 「ガハハ、助けてくれる奴は居ないぜ」


 女1人に男3人の鳥人族。


 ギルドの配達の仕事の殆どを、鳥人族が請け負っているという……


 カミラさんには悪いことをした……

 恨みは全部、俺にくれば良かったのに……


 それでもふざけてしまう僕。


 「お前等、油断しすぎじゃない? ラザノフが居ないって? ハハ、後ろを見ろ!」


 鳥人族達はギョッとした顔をして、パッと後ろを振り返る。

 しかし、誰も居ない……


 「なっ。 誰も居ないだろ」


 皆様の表情が、見る見る怒りの表情へ。

 

 隣のカミラさんの絡める腕が強張る……

 そして『リュウ君、マズイよ』と、小声で言った。



 「ムキーッ! この男、この人数相手に舐めやがって! ちょっといい男だからって、ふざけてるんじゃないよ!」

 「やっちまうぞ、コラァ」

 「まぁ待て、ギルドの女は凄えいい女だ。 貰っちまおうぜ」

 「コラ坊主、さっさと女置いて家帰って寝ろ!」


 う〜ん、好き放題言ってるな……

 でも、気になる……


 「え、何だって?」

 「だから、女置いてさっさと帰れっつうの!」

 「お前じゃなくて、女の方だよ!」

 「えっ、私、、、? だから、この人数相手に舐めんじゃないっての!」

 「違う! その後だよ!」

 「は? 私、何か言った?」

 

 コイツ……

 自分で言わす気か?


 「う、う〜ん、凄くいい男って、言ってたね」

 「プハッ、ちょっとリュウ君、笑わせないで」


 カミラさんが小声で言った……

  でも、笑うとこじゃないぞ。


 

 ちなみに、鳥人族は配達を数人で行う。

 というより各地に鳥人族が住む村があり、その村で他の人に代わってもらい、届けてもらうのだ。

 

 その理由は……


 鳥人族の飛ぶスピードはマックス55キロ、連続飛行時間は2時間弱で、休憩しながら飛んで行く。

 しかし、ずっと飛んでいると徐々にスピードも飛行時間も落ちてくる。

 なので鳥人族が住む村が途中にある場合、期日に余裕がある場合に限り、遠い依頼でも請け負うことが出来る。



 ところで、まだ口喧嘩は続いてるの?


 「だいたい自分の男優先で仕事を回すなんて汚ねえぞ」


 続いているようだ……


 「まだ違うもん!」

 

 ん、、、まだ?

 チラッとカミラさんを見ると、目が合った。

 パッと腕を解き、少し離れたカミラさんは真っ赤になっている。


 フェロモンさんになれないカミラさん……


 「お前も女利用して仕事してんじゃね〜よ! 俺はお前みたいな色男が大っ嫌いなんだ!」

 「俺もだ! 何だ、ジ何とか系? だからって威張るな!」


 威張ってないし。

 ってか、ジ何とか系って、もしかしてジャニーズ系? こっちの世界でも有名なの?


 でも…… 俺はジャニーズ系の色男なのか……


 に、似合う!



 「俺も同じだ! 元々からジ何とか系が嫌いだったんだ。 やっぱり友達は似るもんだな」


 ぶっちゃけ、鳥人族の顔は皆んな似てるぞ。


 「私は女だからね、まぁ嫌いじゃないけど、ジロー系は……」


 コッテリ、ゴッテリ、ラーメンじゃん!

 俺…… ジロー系なの? 凄く嫌なんですけど!


 「何だかツッコミどころが満載だけど、先ずは最初に喋ってた男。 アンタは俺みたいな "何が" 嫌いなんだ?」

 「い、色男?」

 「プフッ、カミラさん、カミラさん、俺、色男みたい。 嫌だけど、あそこまで言われちゃたら、ね」

 「プハハ、リュウ君、だから笑わせないで」


 嫌だけど、俺はジロー系の色男になってしまった。


 「クソッ、コイツのふざけた態度が気に食わねえ、やっちまおうぜ!」

 「おう!」



 サッとカミラさんを下がらせて、勢いよく向かって来る1人に俺も足早に向かう。


 そしてお互いの射程に入った時、勢いそのままに相手の右フック…… を交わしながらカウンター!

 ゴッ、っと顎に当たり、1人目の鳥人族は、膝から人形のように崩れた。


 2人目は、何か叫びながらの蹴り!

 左で流して、そのまましゃがみ込むように脇腹へ "鉤突き" 。

 柔らかい腹に拳がめり込み、口から元料理達が飛び散る……


 もう1人は……


 「ルスフーゥ! ルスフー、ルスフー…… 返事しろ、ルスフー……」


 気絶した男を気遣っている…… 戦う気はないようだ。

 女も呆然と佇んでいる……



 ふぅ〜。

 しばらく様子を見てたけど、倒れた2人は軽傷だったようだ。


 女が話しかけてくる……


 「わ、悪かったよ…… でもウチ等も家族を抱えて大変なんだ…… だから、もう、勘弁しておくれ……」


 この辺りが配達の仕事の潮時か……


 「俺はもうこの街では配達の仕事はしない。 だからこの人には手を出さないって約束出来るか?」

 「えっ、配達の仕事はしないのかい? ……あっ、手は出さない、手は出さない、ね、アンタ達」


 3人の男達も頷く。


 「約束だ…… それでもこの人に何か有れば、有無を言わさずアンタ等を見つけて代償を払わす。 例えアンタ達がやってなくても、俺は聞く耳を持たない」

 「そんな…… ウチ等はやってないよ! じゃなくて、ウチ等はやらないよ! 本当だよ! ね、アンタ達」

 

 3人は大きく頷いた。


 という事で、お互いに落とし所を見つけられたのでこの1件はこれで終わりとする。

 

 

 ーーーーー



 もうすっかり酔いは覚めてしまったけど、カミラさんはまた腕を組んでくる……


 「今日はもう、ウチで飲もう」


 もう、俺の酔いは覚めた。

 だから帰って眠りたい。


 「いや、この時間じゃ迷惑だし、今日は帰るよ」

 「誰に迷惑なの? 私の実家はナラサージュの田舎町で、ここではずっと1人だよ」

 「でも、女の1人暮らしの部屋には少し躊躇うよ」

 「私のこと、嫌い?」


 ズキっと何かが突き刺さる。

 前にリリカに言われたセリフ……


 「俺はリリカを忘れてないし、忘れるつもりもない。 カミラさんはリョーキを忘れたいのかも知れないけど」 


 色々あったけど、まだリリカと別れてから半年も経ってない。


 「それは駄目よ。 貴方はリリカさんを忘れようとする努力をするべきだしリリカさんも同じ。 私みたいに中途半端で投げ出された訳じゃないのだから……」


 確かに……


 「でも、俺はもうすぐサンカルムに行くんだよ」

 「ふふ、だから都合がいいじゃない。 お互いの踏み出す1歩としては……」


 踏み出す1歩……


 「でも、凄く気に入ったらどうするの?」


 正直、この人の魅力と、俺のチョロさを考えると不安しかない。


 「いつでも何時でも会いに来て。 貴方は私にとってリョーキとは違う意味で特別なのよ」


 特別…… 今度はローチェに言われたセリフ。

 ローチェにシスター…… 元気かな……


 「分かった。 泊まらせてもらうよ」

 「うん…… リュウ君、きっと凄い体力だから付いて行けるかな……」


 何を想像している!



 まぁ、これが俺の新しい出発だ。


 ん…… 新しい出発は前にしたような……

 

 


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