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転生 フリーダム  作者: 昨日シーサイドライン乗った
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 偶然 3


      第二章  成り上がり


 第四十ハ話  「偶然 3」




 スザンポリに向かってひたすら飛んで来た。

 もう結構前からラポリ山は見えているけど、全然着く気配はない。

 


 今日も野宿で太陽を避けるのか……

 と思っていたけど、西の方に町が見えた……

 でもまだ夜は明けないので、もっと進める。


 「ラリィ、町が見えるけど、どうする?」


 一応ラリィに聞き、ラリィの判断に任せる。


 「お兄ちゃん、ラリィ、また挑戦したいの」


 挑戦とは、自力で何分飛べるかチャレンジだ。

 最初は10分に設定したけど、5分で堕ちた。

 そこで俺は6分に設定し直したけど、中々ラリィはクリア出来ずにいた……


 ちなみにクリア出来たら美味しいものを食べさせてあげる約束だ。


 クリア出来たらあの町で美味いものでも食べたいのだろう。

 


 「お兄ちゃん、何でラリィは出来ないだの?」


 やっと聞いてくれた……

 一応、俺なりのアドバイスは持っていたけどアドバイスは難しい。

 的確なアドバイスでも相手が求めていなければ、アドバイスにすらならない。 

 だから求められた時しかアドバイスは出来ないのだ……



 ちなみに、ラリィは自分で何とかしようとするタイプ。

 良いところは自分で先ず考えるところ。

 悪いところは自分だけでクリア出来ると思い込み、柔軟性がない事。

 クリア出来ても人に聞いたり協力してもらえばもっと早くクリア出来る事もある。


 そして、ラザノフは意外だがアドバイスを求める方だ。

 ラザノフは年下の俺にもよくアドバイスを求める。

 良いところは柔軟に対応して、問題を早く解決出来るところ。

 悪いところは自分で考えないところ。 

 そしてアドバイスが的確ではない場合、深みにはまり迷い込むところ。


 まぁ、ラザノフは俺にしかアドバイスを求めてないし、俺も分かることしかアドバイスしてない。



 さて、ラリィへのアドバイスは……


 「景色を楽しみながらゆっくり羽ばたくんだ。 とにかく焦らず風を感じてやってみて」


 全てハッキリとは言わない。

 ラリィの場合、考えさせながら進める。


 ラリィは体力の減少とともに焦りだし、連続でバタバタと羽ばたき、更に体力を削ってる。

 その時に焦らずに景色を見るくらいの心の余裕があれば、6分ぐらいは余裕でクリア出来るはず。

 最初にやった練習を思い出すんだ!


 

 ーーーーー



 結果。


 ラリィは何かを掴み、一気に10分以上飛ぶ事に成功する。

 特に最後に見せた、フラフラっと風を探して風を見つけ、ババっと羽ばたき高度を持ち直した技は見事だった。

 

 

 という事で町へ。


 テラミンというこの町は、小規模ながら活気ある町だ。

 遠くに見えるラポリ山がよく見えるのは、この町の標高が高い位置にあるからだろう。

 あの位置でどれくらい離れているのか?


 とりあえず夜には出発するけど、1日分の宿代を払い、部屋を取る。

 そして、夜まで魔力を回復させる為に睡眠を取り、夕食を食べて出発する。

 これがラリィと配達する時のパターン。


 そして夕食。

 小さな町にしては高級そうな店があったので、その店に入る。

 雰囲気的にはフレンチレストランな感じ。

 メニューを見てもそれっぽいけど、今日はラリィが注文する。

 店員が近づき、注文を聞く。


 「何になさりますか?」

 「あの、えっと、おススメのコース料理を2人分、欲しいだの……」

 「はい、かしこまりました。 ハハ、カウト地方の出身かな⁈」


 と、店員は言うと、厨房に消えた。


 カウト地方…… ラリィの訛りのことだろう。

 まさかこんなところでラリィの出生のヒントをもらえるとは思わなかった。

 でもカウト地方が何処かは分からない。

 

 「お兄ちゃん、まだ着かないだの?」

 「いや、明日には着くよ」


 宿の主人によると、スザンポリはここから200キロしか離れてない。

 なので夜中の3時頃出れば朝方に着くだろう。

 その村でカウト地方を聞いて、カウト地方にある全ての村や町を調べよう。

 何日かかってもいい。 ……プユスタールは危険なので丁度いいくらいだ。


 さっきの男の店員ではなく女の店員が1品目を持って来た。


 「季節の野菜の盛り合わせ。 〜季節の香りを乗せて〜 で、ございます」


 季節が乗っているかは知らないけど、普通のフレンチっぽいサラダだ。

 まぁ…… 美味しい。


 続いて2品目。


 「旬の山菜とナーガの甘酢和え。 〜旬の香りを乗せて〜 で、ございます」


 旬…… 乗ってるの?

 まぁ、そこそこ美味しい料理だ。

 次はメインディッシュだろう、期待する。


 3品目。


 「ゲーガルの炭火焼きステーキ。 〜肉感的な香りを乗せて〜 で、ございます」


 ちょっと待て! ……肉感的な香り?


 マッチョな男がフンフンとバーベルを上げて、一息つく……

 滴る汗、脇の下からはほのかに香る、肉感的な香り……

 乗せちゃダメだろ!


 しかし、ラリィが高速箸捌き、ほっぺたストックの技を使っているので俺も食べてみる……


 う、美味い……! 

 やはり、このほのかに香る匂いは、春日君の脇の下…… いや、股の匂い⁈

 肉感的過ぎるが…… クセになる。


 「お兄ちゃん、美味しいね。 今度、ラリィが空を30分飛べたら何かくれる?」

 「いいよ。 何が欲しいの?」

 「お兄ちゃんと同じ時計が欲しいだの」


 この時計と同じ……


 「この時計は貰い物だから、同じ時計は止めよう。その代わり、ラリィの好きなやつでいいから」

 「うん。 分かった」


 と言った感じで、この日は終えた……



 次の日。

 朝方、直ぐにラポリ山の近くまで来た。

 ラポリ山を南西に見れる位置にスザンポリ村があるはず……

 

 村を探している時に異変が起こる。

 ラリィが身を乗り出して山を見ているのだ。


 ……と、あの村か……


 近くで降りてラリィのおんぶ紐をといだ瞬間、ラリィは『父ちゃん……』と言って走り出した。


 まさか…… と思いながら付いて行くと、ラリィは村の中の1軒の家のドアを開けようとした。

 しかし…… 鍵がかかっているのか開かない。

 そんな時、ラリィに声をかける人が……


 「ラリィ! ラリィだの……?」


 ラリィは振り返ってその人を見ると、『おばちゃん』っと言って、その人に飛び付いた。



 ーーーーー



 ラリィがおばちゃんと言っていた人の家。

 

 テーブルを挟み、俺の前に居るのはラリィのおばちゃんとおじちゃんに当たる人。

 おばちゃんの名はトアルさん。

 おじちゃんがラリィの父ちゃんのお兄さんで、ダルさんと言う。


 先ず俺がこれまでの事をダルさんとトアルさんに話す…… その間にもダルさん家にはどんどん人が集まる。

 その人達はテーブルから少し離れたところに座った。


 「そうか…… 先ずはお礼を言う。 ラリィを助けてくれて本当にありがとう」

 「でも、アンタ、サークが……」

 「あ、ああ、あ…… サーク……」

 「うわぁ〜あ、父ちゃ〜ん」


 サークという人がラリィの父ちゃんなのだろう。

 周りにいる人も涙を浮かべている……



 落ち着くまで待ったけど、これからの話は奴隷の話や襲われた時の話なども聞いておきたい。

 

 「トアルさん、ラリィには友達は……?」


 集まってくる人の中には、ラリィより少し大きい子達もいる。


 「そうね、ラリィ…… これからは大人の話だの。 だから、2階で皆んなと遊んできな」


 ラリィは俺をチラッと見たあと、うん、と頷き、2階に皆んなと上がって行った。


 

 ーーーーー



 「それで、どうしてラリィと父ちゃんは攫われたんですか?」

 

 ダルさんが応える。


 「分からないだの。 あの日の夜、いつものようにサークとラリィは散歩に出かけた。 ……そして、帰って来なかった」

 「目撃した人も居ないんですか? その日に知らない人を見た、とかはないんですか?」


 後ろに何か言いたげの人が居る……


 「何でもいいので話してください」


 その人を見て言うと、その人と周りの人が喋りだす。


 「あの日より少し前、知らない顔の男達を見かけただの」

 「わ、私は、飛んでる男を見かけただの」

 「知らない顔の女も居た」

 「俺は夜、ラリィの悲鳴みたいのが聞こえた…… でもこんな事になるなんて……」


 やっぱり狭い村…… 誰も何も見てないなんて、有り得ない。

 

 情報では、何日か前から下調べをして、ピンポイントにラリィを狙ったのが分かる。


 ラザノフが間違うほど、ラリィは吸血族にそっくりのようだ。

 吸血族ではなくハーフと分かっていても、特性の回復薬の何倍も凄い血を受け継いでいると思われて狙われたのかも知れない。


 「母親に関して聞いてもいいですか?」

 「それが…… 分からねえだの……」


 どういう事だ……


 「美しい、いい女の子だっただの。 でも、やっぱり上位亜人だからこの村に馴染めなかったのかも……」

 「わ、私には…… 私とクラルは年が近かったから言ってくれたのかも知れないけど、本当はラリィは産むはずじゃねかったって……」


 母親は…… 子供を生むつもりは無かった?

 だから、捨てた?


 そう言えば…… ラリィが話すのは、いつも父ちゃんばかり。

 母ちゃんの話を聞いたことがない……

 いや、一度だけ言っていた……

 母ちゃんは泣きながら出て行ったと……

 その時、よほどショックだったのかも……

 だから、話さない⁈


 「とにかく、仲の良い夫婦だっただの。 でもクラルは出て行った。 そしてサークも不思議と慌てることなく普通に受け入れてた……」


 リリカ…… 俺はお前を迎えに行きたいとずっと思っていた……

 でも、人間と亜人の壁は厚い……


 「こんな事になったけど、サークの忘れ形見のラリィだけでも生きていて良かった…… これからは私達が自分の娘のように育てていくよ」


 ……ラザノフ、悲しむだろうな。

 

 でも、これがラリィにとって1番いい形。

 ラリィも部屋に1人で留守番ばかりじゃ、可哀想だった……

 

 今度ラザノフを連れて、ラリィに会いに来よう……

 


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