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転生 フリーダム  作者: 昨日シーサイドライン乗った
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 飛行訓練


      第二章  成り上がり


 第四十一話  「飛行訓練」




 ギルドからの帰り道。

 俺とラザノフは冒険者になり、依頼を受けたけど……



 ラザノフの依頼は、早速今日の夜から。

 リヒッモーという花を採ってくるようだ。

 2日かかる。


 俺の依頼は1200キロ先にある村に荷物を届ける。

 小さな箱に入っている5キロの荷物。

 多分、行って帰ってくるのに最短でも4日はかかる。


 「リュウ、初めてなのにギリギリすぎる依頼を受けたでござるな」

 「ごめん、何か端から出来ないみたいに言われて意地になったかも。 でもこの依頼は利点も多い」

 「確かに拙者が里に帰れるのは、いつになるか分からんでござるよ…… それに成功したら報酬も多い」

 「って言っても、俺達は最低ランクだから6割しか貰えないけどね」


 1500の6割…… いくらだよ!


 「確かに1500トアが900トアになるのはやるせないでござるな〜」


 計算が早い。 まさか本当にラザノフは……

 や、やめてぇ〜!


 「リュウ、もう拙者の金の残りは300トアしかない。 今どうするか決めよう。 あ、ござる」


 怪しい…… ワザと忘れたフリをしたっぽい。

 でも…… こっちは本当に忘れた…… そんで、何だっけ?


 「拙者が2日帰れない。 リュウは最低でも4日帰れない。 宿にラリィがいるなら宿代が今日から明後日で240トア。 残り60トアを半分にして依頼に向かうか、宿はすぐに引き払ってラリィをどちらかが連れて行くか。 その場合30トアだけリュウに渡し、拙者の依頼が終わった後にまた同じ宿を借りるでござる」


 なるほど…… よく分からないけど、そこにラリィのエサ代もかかるはず。


 「分かった。 あ、いや、分からない。 俺が連れて行こう」

 「ギリギリの上で昼間移動出来ないラリィ付きでござるか?」

 「まぁ、何とかなるさ」


 

 早速宿に帰り、ラリィを連れて近くの食事処へ行く。

 今は3時、まだ日も強い。

 いつものように適当に頼む。


 「ラリィ、俺と仕事だ。 ところでラリィは日に当たるとダメなの? 日陰は? 色々と着込めば平気?」

 「分からないだの…… でもちょっとくらい平気なの。 今も大丈夫だったの」


 今はラザノフが、太陽から隠れるように連れてきた。


 「分かった。 試しながら行くからちょっとでも苦しかったら言うんだよ」

 「うん!」


 出てきた料理はピザのような物と、大きなパンと中くらいのパンだった。

 食べ合わせ的に嫌になっちゃうが、適当に頼んだので仕方ない。 

 

 「お兄ちゃん、ラザ兄、コレ、口の中の、水分、全部、持ってかれちゃうだの。 あ〜、飲み込めない〜」

 「…………」


 でも美味しいパンだよ…… ただ、おかずもパンなだけで……




 夕方、リュックを背負い出発する。

 リュックの中にはラリィと村長に渡す荷物、そしてラザノフが買ってくれた食料。

 他の荷物は刀も含めて全部、ラザノフに預ける。


 ひと気のないところまで歩いて行く、ラザノフもまだ時間があるので見送ってくれる。

 そして……

 この辺りなら飛び立てるだろう。


 「ラリィ、ラリ〜ィ! 大丈夫でござるかぁ!」

 「大丈夫だの!」


 リュックの中からラリィが返事をする。

 どうやら、直射日光に当たらなければ何とかなりそう。


 「ラザ兄と、ラザ兄と行くでござるかぁぁ?」

 「行かない」

 「ダメだ〜、連れてくでござる〜」

 「ラザノフ、面倒くさい。 ラザノフの依頼は他の人もいるから子連れはマズいよ」

 「じゃあ2人で…… ラリィと留守番してるでござる〜ぅ」

 「じゃあな、ラザノフ」


 面倒くさいから、相手にせず飛び立つ。

 今は5時くらい、まだ日はあるけどとりあえず進む。



 今回は飛んでいるところを見られたくない、なんて言ってられない。 ……でも高く飛び、なるべく雲に紛れる。



 ラリィに何度目かの声掛け。


 「ラリィ、大丈夫か?」


 ちなみにリュックは前掛けで、一応紐で結んである。


 「お兄ちゃんさっきからうるさいの! ラリィはもう眠いだの!」


 平気そうだけど……

 心配して声掛けしてるのに…… ひどいよ……

 まぁいい、平気なら進むだけ。



 さて、今回の依頼……

 色々と利点があったから請け負ったけど、この依頼は割が悪い。


 通常配達は、飛べる種族や馬の扱いが上手い人が受けるみたいだけど、馬の場合……

 多分、頑張っても1日100キロくらいだろう。

 こまめに休憩を取らないと馬が潰れる。


 今回の依頼は1200キロ。

 馬で届けても12日、往復で24日もかかる。

 その間、野宿だけでも馬も含め食事代はかかり、多分実際の経費はもっと嵩む。

 1500トアを丸々もらえても、時間と経費を引くと割が悪くなる。

 ちなみにラザノフの依頼は、2日で430トアだ。

 900トアなら馬鹿らし……


 「お兄ちゃん、ラリィ身体が痛いの」


 出発から数時間、狭いところでよく頑張った方だ。

 辺りはすっかり暗くなっている……


 「じゃあ、1回降りるよ」


 と言って、降りれる場所を探す。


 

 降りた場所は山の中腹で草木がないところ。

 リュックからラリィを出すと、ラリィは大きく伸びをした。

 狭いところで寝ていたので関節が固まったのだろう。


 少し柔軟体操でもするか……

 何度かはラリィも柔軟体操を一緒にしている。

 

 「ラリィ、柔軟体操で身体をほぐそうか?」

 「うん、やるだの」

 

 ラリィは俺とラザノフに初めから懐いてくれている。

 あんな状況の時に会ったからなのか……?

 そんな事を思って柔軟体操をしていると、ガサガサっという音と悍ましい気配が……

 


 ここは見晴らしがいい…… 何か近づいて来ればすぐに分かる、と辺りを注視していると…… 人?

 凄い勢いで走って来るのは人族 …… いや、こんなところで人族が、いきなり殺気だって近づいて来るはずがない!

 急いでラリィを抱えて空へ回避する。

 しかし人型の魔獣? は、飛び立った俺達に向かい、凄い跳躍で迫ってくる。

 この高さを…… 嘘でしょ……


 スローモーションのように鮮明だ。

 生死の危機でしかこの感覚は出てこない。

 両手はラリィを抱え、足はジェットを出しているので無防備……

 魔獣はカマキリのような見た目、両手が大鎌のよう。

 大きく大鎌を振りかぶって、ブンッと振る。


 しかし間一髪、右手のジェットで少しバックして交わし、そのまま上空へ逃げた。


 あの魔獣…… 人をカマキリに…… いや、カマキリを人型にしたようだった。 ……同じか?

 目があった時にゾッとした……

 ソマルさんが言っていた、昔この世界を支配していた魔族を先祖に持つ魔獣だろう。

 ヤバそうな魔獣だ…… 刀なしで勝てる相手じゃない。



 「お兄ちゃん、どうしただの?」


 ラリィは魔獣を見ていない……


 「魔獣がいた。 少し離れたところで降りて、速攻で紐を結ぶからね」

 「うん……」


 そして離れたところで降りて背中にラリィを背負い、紐で結んでから飛び立った。



 ーーーーー



 もう結構な時間飛んで来た……


 今回の依頼を失敗したら、ラザノフの依頼の成功報酬と有り金をほぼ持っていかれる。

 だからではないけど、俺は荷物を届けるまで寝ない。

 魔力が無くなるまで飛び、無くなれば自分の足で走る。


 ラリィが邪魔? 

 いや、ラリィにはやってもらいたい事があるのだ……

 後ろで静かにしているラリィに声をかける。


 「ラリィ、翼を広げて」

 「え、何でだの?」

 「飛ぶ練習をする。 俺の指示通り飛んだら、帰ってから可愛い服を買ってやる」

 「美味しい物も欲しいだの」


 洒落っけより食いっけかよ。


 「分かった、任せろ。 とりあえず翼を広げて」


 うん、とラリィが翼を広げると、グィーっと上昇する……

 俺の平行を保つための手からのジェットを止める。

 

 「ラリィ、上に上がり過ぎてる。 もっと高度を下げて!」

 「どうやるか分からないの!」

 「ラリィ、慌てるな。 ここは自由だ、堕ちる事もない。 色々と試すんだ」


 初めのうちは急降下したり急上昇したりしたけど、自分で飛んでいるわけではないので堕ちない。

 そのうちゲーム感覚になり、一気に上達していった。

 そして右旋回や左旋回、右上昇旋回、左下降旋回などをして飛行訓練を終えた。


 今回の飛行訓練は自分で羽ばたいているわけではない、ただ風を掴み少し翼の角度を変えただけ。

 それでも風を掴む能力は翼で羽ばたいて飛ぶ種族には必須。

 俺のジェットは余り関係ないけど、それでも風を掴んで飛んでいる感覚の時は、魔力も少なくて済むし速く飛んでいると思う。


 ラリィにはそのまま翼を広げてもらいながら進む。

 非常に楽だし、魔力の消費も少なくて済むから。



 朝になり、明るくなってきてからはまたラリィにはリュックに入ってもらう。

 

 お昼頃になり、魔力がほぼ無くなったので休憩する事にした。

 ここは洞窟の中。

 少しアンモニア臭いのは気になるけど贅沢は言ってられない。

 匂いに慣れてきた頃にパンをかじる…… 気分的に美味くない……



 レイモンにも時計があったけど大雑把な時計だった。

 12時と3時と6時と9時しかないみたいな……

 でも王都ではちゃんとした時計が売られていた。

 凄く高かったけど……

 プユスタールでも昨日時計を見かけた。

 ちょっと良さげな時計で500トア。 

 首から下げるタイプで驚くほど小さかった。

 絶対、そうのち買う!


 と言うことで、今は昼ぐらい。

 本当に昼だとすると出発してから19時間になる。

 つまり、もう通り過ぎてる可能性もあるという事だ。


 どうしてこうなったかと言うと、目印にしていた大きな川 (ラムラミィ川 ) が 見つからなかったのだ……

 ここから徒歩圏内に小さな町があったので、休憩後、そこに行って聞いてみよう……


 ラリィと柔軟体操をしてから出発する。

 ここからはゆっくり走って行く。

 ゆっくりなら余り揺れも大きくないので、リュックの中のラリィも何とか我慢出来るはず……



 町まで3時間近くかかってしまった……

 町なので食べ物も売っているだろう。

 そこで聞いてみよう。


 お惣菜を売っている店に入り、美味しそうな唐揚げを買った時に聞いてみる。


 「すいません、ヤタナス村って知ってますか?」

 

 店の人は人間の若めなおばさん。


 「ヤタナス? ……ああ、下流にある大きな村ね」

 

 知っている!


 「この町の西を流れる川の、ずっとずっと下流に大きな村がヤタナス村よ。 ここからは急いで2日ね」


 2日…… 100キロくらいか?

 それならジェットで数時間。 でも荷物を届けた後には魔力はまたなくなっているだろう。

 荷物を届ける期日は明日の昼まで、慌てる必要はない。


 「ありがとうございます、ちなみにこの町に泊まれる施設って有りますか?」

 「有るわよ」

 「いくらくらいで泊まれますか?」

 「1番安い宿が20トアね。 何で? お金がないの?」


 残りは28トア…… 何とかなるけど、帰りの食事代がなくなってしまう。


 「貧乏な旅人か…… いいわ、知り合いの宿だから安くするように言ってあげる。 一緒に行ってみる?」

 「はい、お願いします」


 ……と言うことで、紹介してもらった宿は公民館のような作りの宿。

 素泊まりなので問題ない。

 料金は15トア。

 ちなみにラリィはリュックに隠れている。



 部屋はベッド1つに、小さなテーブルだけの狭い部屋。

 でも寝るだけなので問題ない。

 夜中に起きて、共同で使うシャワーを浴びてから出発しよう……


 夜中に目が覚めた。

 夕方から寝てたので、魔力も7割はある。

 ラリィを起こし、シャワーを浴びたらその足で宿を出る。

 宿の人には伝えてあるし、前払いで宿代も払ってある。

 ラリィとシャワーを浴びる。


 ちなみにラリィの世話はラザノフが得意だ。

 風呂や食事の面倒など、ラザノフが見てる。

 でも寝る時に俺の方に来るのは、ラザノフはデカくてベッドが狭いからだろう。

 

 ラリィの頭や顔を洗ってあげる…… ラリィは食べ方が下手でいつも口元が汚れている……


 「ラリィはいつも父ちゃんに髪の毛を洗ってもらってたの?」

 「うん! 父ちゃん上手だの。 目に入らないの」

 「そう…… まさかご飯は1人で食べてたよね?」

 「練習してたの…… だのに、父ちゃん死んじゃって〜、父ちゃ〜ん」


 ヤバい、質問が過ぎた。

 でも父ちゃん…… 甘やかしすぎ! 

 ラザノフより甘いとは…… スゲ〜な。


 シャワーを浴びたその足で外に出て、少し散歩をする。

 もちろんラリィも歩いている。



 ラリィを背負って出発する。

 まだ辺りは暗いけどラリィは夜目が効く、川を見失わないよう下流へと進んで行く。


 この川は下流に進むにつれ、どんどん他の川と合流して大きくなり、そして二手に分かれてを繰り返す。

 俺達はとにかく大きな方の下流に向かい飛んで行く。

 そして薄明るくなってきた頃に、川沿いに細長く連なった村を見つけた。


 

 川沿いに降りて、最後の食料に手を伸ばす……

 お金も13トアしかないから、食事処で食べたらなくなる。

 この村だったらいいな、と思いながらパンをかじった。


 もうとっくに明るくなっているけど、今日はどんよりと曇っている。

 これならラリィは平気なはず。

 

 少し雨が降り出した頃に村へ行ってみると、やはり此処がヤタナス村という事が分かり、村長の家を訪ねた……



 依頼は依頼主か、依頼主から指名があった人にギルドから渡された書面にサインをもらい、あらかじめギルドから送られていたコインを回収して、その全てを所属のギルドへ届けることで依頼の達成となる。


 つまり今は村長に荷物を渡して、その代わりにサインとコインを渡してもらえばいい。


 ただ討伐の場合は、それの他に魔獣の上顎と下顎を斬り取り、上顎を依頼主、下顎をギルドに持って行かなければならない。

 理由はその歯で、依頼の魔獣だったかを見極めているようだ。



 何はともあれ、後は土竜族の里に寄って帰るだけ。

 やっと目的の半分って感じか。


 結構、疲れたぞ……



 

 

 

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