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転生 フリーダム  作者: 昨日シーサイドライン乗った
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 冒険者


      第二章  成り上がり


 第四十話  「冒険者」




 ゴールタール国の第2の都市、プユスタール。

 レイモンの人間国の首都よりも近代化が進み、コンクリート構造の建物が並ぶ。

 


 「とりあえず宿を探すでござるよ。 その後に食事処を探そう」

 「うん、いいね。 なるべく多くの人にこの街について聞こう。 ところでラザノフさ、お金はどのくらい残っているの?」

 「あれだけ長い旅をして〜、盗賊に襲われながら〜、ラリィを拾って〜、400も余ってるでござる」


 ラザノフはいつも楽しそうだなぁ。

 でも400トアも余ったか、いいぞ、俺達。



 色々な人に尋ねながら宿を探す。

 ラリィがいるので安いだけじゃなく、セキュリティと宿屋の主人の評判なんかも参考にして宿を決めたい。



 この街の西側に宿屋は沢山あった。

 そして食事処もある…… しかし安くて美味しい食事処は、この街の住民が住む地区にあると聞いたので後で行く予定。


 宿屋は割とすぐに決まり、値段は1泊80トア。

 何も食べなくても5日でお金がなくなる値段だ。

 早急にギルドで冒険者登録して働かなければ金はすぐになくなる。



 この街は6つに区分けされている。

 時計で表すと、12時から3時までが貴族街、3時から5時までが商業区、ここにギルドがあり明日行く予定。

 そして5時から8時の方向に工業施設がある。

 しかしこの地区には他にもよからぬ施設があるようだ……

 8時から9時が宿屋や食事処。

 9時から12時までがこの街に住む平民の居住区。

 ここに美味しく安い店や、デパートみたいな店の集まる建物もある。



 「とにかく今日は腹ごしらえしようでござるよ。 ……その後にラリィの服を見る?」

 「いや、見ると買いたくなる。 そして俺達にはそんな余裕はない!」

 「ラリィね、この服硬くて嫌いだの。 ラザ兄、新しい服欲しいな〜」

 

 コイツ…… 甘い奴を見極めてるな。


 「ラザノフ、どう思う? ラリィのこの服」

 「そうでござるな〜、に、似合ってるでござるよ〜、な、リュウ」

 「確かにこの服をこんなに着こなす女は、ラリィか女神くらいしかいないだろうな。 な、ラリィ」

 「ラリィね、何着ても似合っちゃうの。 父ちゃんもいつも言ってただの」

 「じゃあ、服はお金が入ってからにしよう。 いい服買っちゃう? ラリィ」

 「グフフ、可愛い服がいいだの」

 

 4歳児はまだ操れると……


 

 宿を出て北に向かって歩くとすぐに食事処や飲み屋がある通りに出る。 

 でもそこを素通りして歩いて行くと、この街の平民の居住区に入る。

 そこでお店がないか尋ねると、こじんまりした小さな中華料理店みたいな店に行き着いた。

 ここで食事にする。


 お店の中に入ると丁度3人分の席しか空いていない……

 そしてすぐに外に行列が……

 狭い店って言うのもあるけど、人気のお店なのだろう。 

 俺達は隣の常連っぽい人におススメを聞いて、ウサギ肉のシチューとクルミのパン、大皿で肉野菜炒めを頼んだ。


 カーンとゴングが鳴りました。


 自分のシチューやパンには目もくれず、皆んなの狙いは大皿の野菜炒め。

 とりあえず野菜炒めをかき込み、その後ゆっくり自分の分のシチューとパンを食べる作戦だ。


 ラザノフが強い! 何と言っても1口が大量だ。

 ラリィも回転の速いかき込みで…… ま、負けてないだと〜⁈

 俺だって負けてられない、今度いつこんな美味い飯にあり付けると言うんだ〜!


 「フフ、凄い食べっぷりね、よかったらコレも食べて」


 さっきおススメを聞いた常連の女の人…… セクシーな感じの綺麗な人だ。

 渡されたのは6個入りの唐揚げ。


 「ありがとうございます、頂きます」


 と言って1つ取って食べる。 ……うんまい!

 どの料理も美味しい店だ。


 「凄い取り合わせね……」

 「それは俺も思います。 ところでギルドの場所って分かります?」

 「貴方達は冒険者? でも…… 奴隷の子じゃないわよね……」


 確かに…… 堂々と奴隷服で飯食ってるからな。


 「知らないならいいです」


 これは戦いである。

 俺が喋っている間に大皿の野菜炒めはほぼ無くなった。

 

 「知ってる、知ってるわ!」


 チラッとラザノフを見る…… 今度はお前の番だ! の意味。

 そして最後の1個になった唐揚げに…… しかしラリィの回転の速い箸捌きが、最後の1個の唐揚げを捕らえた。

 な、何で〜! 俺はまだ、1個しか食べてないぞぉ〜!


 ハッ、2個あるはずの俺のパンが1個もないぃ〜、何でぇ〜!

 まさか! ラザノフのパンは2つ…… 今は隣の常連姐さんと話している…… 喋っている時に口の中から人参が見えた…… 犯人はコイツじゃない。

 ラリィ? ラリィのパンは……ない! いや、両手で握りしめてる。

 リスのように口にいっぱい頬張っているので、判断がつかない…… その時、ラリィと目が合った。

 勝ち誇ったようにニヤッと笑うラリィを見た時、俺は全てを把握した。

 

 そう、俺はさっきの服の仕返しをされたのだ……



 ーーーーー



 次の日。


 朝のトレーニング。

 久しぶりのベッドでの睡眠だったからか、ラザノフはまた寝坊。

 1人で出かける。


 まだ暗い街を走る。

 少し人間国の王都に似ている雰囲気がある。

 あれからもうすぐ1年。

 シスターとローチェは元気だろうか。

 兄は戦争中にどうやってあのジェットでリーブルに来れるのか……

 調べることも確認も出来ない。

 ただシスターとローチェは元気そうだった。

 とりあえず、兄を信じて待つしかない。


 

 昼過ぎにラザノフと冒険者ギルドに行く。

 ラリィは留守番…… きっとこれからも留守番が多くなる。



 冒険者ギルド。


 シックな基調の大理石?のような外壁。

 中の壁まで高級感がある。

 広いスペースの玄関には豪華な装飾品が飾ってある。

 そのまま中に入ると受付がありテーブルや相談スペースみたいのもある。

 少し区役所っぽい⁈


 受付までどんどん進むラザノフ、頼りになる男だ。


 「カミラさんをお願いするでござ〜るでござ〜る」


 久しぶりのバザールでござーる! ここで使ってくるか。

 ん…… カミラさん?


 カミラさんと呼ばれた人は、昨日の唐揚げ姐さんだった。


 「フフ、私が貴方達の担当になります、カミラです。 担当を変えることも可能ですが、その時は理由を聞かせてね」


 まさか昨日の唐揚げ姐さんが……

 ラザノフが長く喋っているとは思ったけど……



 カミラさんは紙を広げて冒険者について説明する。


 冒険者には、A、B、C、D、E、の5段階の " ランク " がある。

 どの依頼でも受けることは出来るが、担当者が出来ると判断した依頼しか受けれない。

 ランクは実績で、依頼を成功させればその依頼事に設けてあるポイントが貰え、ポイントが貯まっていくとランクが上がる。

 逆に失敗したら、違約金として依頼報酬の2割を冒険者が、1割を担当者が負担して依頼主に払う仕組み。


 ランクの違いについて。

 ズバリ金額だ。

 例えば、こんな依頼があったとする。


 ビル清掃  適正ランク D 以上  報酬 100トア  場所 東工業区、7号  期間 9月中、1日


 俺達のランクは E だけど、カミラさんが出来ると判断したらこの依頼を受けることが出来る。

 ただランクによって報酬が違う。


 A ランク 報酬の100トアが貰える。

 B ランク 報酬の9割 90トアが貰える。

 C ランク 報酬の8割 80トアが貰える。

 D ランク 報酬の7割 70トアが貰える。

 E ランク 報酬の6割 60トアが貰える。


 となる。

 

 何故、ランクによって報酬が違うのか……

 それはランクの低い冒険者は依頼を失敗することが多く、違約金を払えずに冒険者を辞めるケースが多いこと。

 その場合依頼主への補償はギルドが全て行うので、ランク式になった。

 また、討伐系の依頼で命を落とした冒険者の見舞金に充てられることもある。


 パーティーについて。

 パーティーを組めば討伐系の依頼でも、担当者のOKがもらえやすい。

 また、ギルドが主催する武闘大会に出場出来るかもしれない。

 国の代表として基本、9パーティーがギルドの職員の話し合いで選出される。

 出るか出ないかは自由。

 出場するだけでも賞金が出る。

 パーティーは最小2名から最大7名まで。



 「でったいでぇごっざぁ〜るぅ」

 「E ランクが出れるわけないだろ」


 良かった。 やっぱりラザノフもお馬鹿さん。


 「そうね、それに出場するのがパーティーメンバー2人だけなんて、聞いたことがないわ。 先ずはそれより2階にある依頼を決めて来て」


 ……俺達パーティーメンバーになるって言ったっけ⁈

 

 


 二階に上がるとボードに依頼がいっぱい貼ってある。

 討伐依頼やお手伝い、配達に護衛や用心棒、人探しまである。

 それぞれ分かりやすいように何々エリアって感じでコーナーごとに区分されている。


 当然、俺は討伐エリアを探す…… ラザノフも同じだ。

 しかし、遠いところの討伐しかない。

 ラザノフを連れては行けないし、泊まり掛けだと俺はお金を持ってない。

 諦める……


 俺達はそれぞれ出来そうな依頼を探す……

 色々見たけど俺の気になった依頼はコレ。


 荷物の配達 ヤタナス村の村長へお渡し下さい

 報酬 1500トア  期日 明後日、12時まで

 適正ランク 全ランク


 という依頼。

 緊急エリアにあって報酬がやたら高いのが気に入った。


 「リュウ、拙者も決めたでござるよ」


 ラザノフの依頼を見せてもらう。


 リヒッモー採集に伴う補佐業務

 報酬 430トア  適正ランク C 以上

 4名募集  約2日  本日22時出発


 「リヒッモーは里の近くにも良く咲いてたでござるよ〜。 滋養強壮にいいでござるよ」


 それはラザノフにとっていい依頼だ。

 俺達はそれぞれの紙を持って、1階のカミラさんの元へ戻る。


 

 カミラさんは冒険者登録を丁度終わらせたところなの、と言って椅子に腰掛け、俺達の持ってきた依頼書に目を通した……


 「依頼の前にいいかしら?」

 「ん、何でござるか?」

 「昨日も変わった取り合わせって言ったけど、ラザノフ君は里を抜けた訳じゃなさそうね。 そしてリュウ君…… 君の身元保証もラザノフ君のお父さんの土竜族の族長。 でも貴方は人間…… この依頼を持ってきた時にピンときたわ。 ズバリ貴方は飛竜族と人間のハーフね!」


 す…… るどいようで、全く当たってない。


 「え〜と、何で依頼が関係あるの?」

 「だって飛べないと期日に間に合わないわ。 でもこの依頼は飛べても間に合わないけど」


 やっぱり鋭い。 飛べることを読んだ……


 「まぁ、その辺は昨日の小ちゃいブタ…… 昨日のがっついたブタ…… 昨日の…… 何て言うの? ラザノフ」

 「ガハハハ〜、まだ唐揚げとパンを食われたことを根に持ってるでござるかぁ? そうでござるな…… 昨日のがっついた小ちゃいブタでいいでござるよ」


 やっぱりブタじゃん!


 「プフフ〜、ちょっと、悪い子達ね、笑わせないでよ。 ふぅ、依頼にいきます。 ラザノフ君はランクが足りないけど、上位亜人なので依頼主にも喜ばれるでしょう。 でもリュウ君のはさっきも言ったように無理です」


 俺は納得出来なかったので、無理と言う訳を聞いた。


 依頼を失敗して付いてくるのが違約金。

 その違約金狙いで無理な依頼を出す依頼主もいる。

 今回の場合、飛べる種族でも遠過ぎて期日までに荷物を届けるのは無理らしい。


 「距離を教えて」

 「リュウ君…… とにかく今回は諦めて他の依頼を探して」


 と言うとラザノフの依頼を確定させてくる、と言って3階に上がって行った。


 カミラさんが居なくなってラザノフが話しかけてくる。


 「リュウは何をこだわっているでござるか? リュウならあの依頼以外にも、沢山の出来る依頼があるでござるよ」

 「あの依頼に小さな地図が載ってただろ、多分、土竜族の里からだと1日かからない。 だから」

 「……ほぉ〜、なるほど。 ラリィのことを父者に頼むでござるな」


 理解が早い…… ラザノフのくせに頭がいい?

 ひ、1人にしないでぇ〜!



 カミラさんは直ぐに戻ってきた。


 「ラザノフ君の依頼を受けたことが確定しました。コレを見て遅れないようにね」


 とラザノフに紙を渡した。 

 何故かラザノフが顔を赤くして照れてる…… 何で?


 「リュウ君はもう依頼を探してきたの?」

 「担当の変更をお願いします」


 鋭い人なのでこれからも面倒くさそう。

 俺は結構、秘密がある男だ。


 「え…… え、な、何で?」

 「すいません、大した理由ではないので……」

 「ダ、ダメよ、リュウ君とラザノフ君はパーティーなの。 担当は1人よ」

 「カミラさん、俺とラザノフはパーティーにはならないよ。 そんな事、一言も言ってないし」

 「リュウ、何故でござるか?」

 「ランクを見て何も思わなかった? 俺は最速で A を狙う」


 パーティーには落とし穴がある。

 討伐ならまだしも護衛でもパーティーで受けなければならない。

 つまり、ラザノフが護衛を受けている間は俺は他の依頼を受けることが出来ない。

 そして報酬ポイントが2人なので、半分しか貰えない。

 パーティーはランク上げには向いてない。

 そして冒険者は少なくともB ランク以上じゃないと見習いと同じだ。


 「最速の A …… ま、負けないでござるぞぉ」

 「ああ、どちらかが A になった時、パーティーメンバーになろう」

 「び、B くらいでもいいんじゃないでござるか?」

 

 まぁ、B なら9割の報酬が貰える。


 「じゃあ B ね」


 とラザノフと話していると、シクシクと泣き声が……


 「あ、ご、ごめんなさい。 な、何で私、泣いているんだろ。 もうヤダ…… グスン、もういい、待ってて」


 ヤバい、速攻で泣かせてしまった。

 でも、リリカを思い出してドキッとした……


 カミラさんはまた3階に上がって行った。


 「綺麗な人でござるな〜、ドキッとしたでござるよ〜」

 「確かに綺麗な人だね。 ラザノフは年上が好きなの?」

 「そうでござる! 女は年上に限るでござるよ〜、リュウは?」

 「俺もそうかなぁ。 実際リリカは2コ上だったし」


 そしてあの人は60近く年上。

 お婆ちゃんではありません!


 カミラさんは地図を持って帰ってきた。


 「ヤタナス村までは1200キロ、荷物の重さは5キロ、ね、無理でしょ」


 地図をよく見る。

 やはりゴールタール国の東の端っこの村。

 村としては川沿いにあり、横に長い大きな村だ。

 そしてその川をずっと追いかけて行くと東の海へと繋がっていて、その辺りの森が東の森、つまりレミアのいる森。

 土竜族の里も近い。


 明後日の昼まで……

 飛べるのは夜だけとして、夏で日が長いので暗いのは9時間。

 2日で18時間。 俺のジェットは多分70キロ以上は出てる。

 ジェットだけだとギリギリ、でも早くラリィのことを頼み出来れば母親の元へ返してあげたい。


 「行ける。 カミラさん、やらせて!」

 「は、はい。 あ、うそ、もう何で…… やだ、また涙が出てきそうだよ。 もう久しぶりに泣いたんだからね。 無理しないで戻ってきなさい……」


 いいのか? オッケーってことで……



 最後にカミラさんの情報を少し。

 昨日は1人で食事をしていた。

 ギルドの職員は優秀な人しかなれない。

 少し妖艶な感じの美人。

 20代半ばくらいの人間。

 久しぶりに泣く。

 

 こんな感じか。


 正直、初仕事でやる事も多くギリギリになりそう。

 まぁでも、何とかなるさ。


 

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