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転生 フリーダム  作者: 昨日シーサイドライン乗った
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 旅路


      第二章  成り上がり


 第三十九話  「旅路」




 ここは渓谷。


 とりあえず保護しているラリィも旅に加わる。

 しかし、そこには問題があった。



 ーーーーー



 小屋から1人、外に出て上流へランニングして行く。

 まだ暗いからなのか、小動物の姿も珍しくない。

 そして基本練習の後、戻ることにする。

 

 戻る途中にラリィを抱っこしたラザノフがいた。

 ラリィは手足をバタつかせ、降りたがる……

 ラザノフがラリィを降ろすと、『お兄ちゃ〜ん』と満面の笑顔で俺に駆け寄る。 

 ……可愛い子だ。

 見たわけじゃないけど父ちゃんがラリィを凄く可愛がっていたのを感じる。

 


 「ラザノフ、朝飯を食ったら出発しよう」


 ちなみにラザノフの今日の朝の稽古は中止。

 まだ習慣になってないし、俺が起こしてまで連れ出す習慣にはしたくない。


 「リュウ、ラリィは太陽が苦手でござるぞ」

 「え…… そっちの特性は受け継いじゃったの?」

 「ラリィね、太陽苦手だの。 あのね、太陽浴びるとちょっと痛くなるの」

 「と、言うわけだの…… じゃない、と言うわけでござる。 どうしようでご〜ざるか」


 変な口癖な2人…… 俺まで釣られそうでござるだの。


 「だったら夜に移動するしかないな…… でも今日は今にも雨の降りそうな天気だし大丈夫だろう」


 実際、昨日も大丈夫だった。


 「そうでござるな。 この渓谷を抜ければプユスタールは近い。 それまで頑張って抱っこするでござるぞ〜」


 え〜と、俺、昨日、ラザノフにラリィの飛行訓練を早急にしたいって言ったよな。

 まぁでも、ラリィも父ちゃんのことでショックを受けている。

 それに父ちゃん1人と俺とラザノフでは、ラリィの守れ方が違う。 

 特に刀を持った俺は強いぞ〜、ガッハハ〜。

 早急じゃなくて、ゆっくりでもいいや。

 でも少しは知っておきたい。


 「ラリィは全然飛べないの?」

 「……飛べない」

 「翼を動かすことは出来る?」

 「動かすことは出来るだの。 見る?」

 「おお〜、見たいでごっざるぞ〜」


 ラリィは得意げに翼を広げてパタパタと動かす。


 「ラリィ、もっと速く!」

 「頑張るでござる〜ぅ!」


 ラリィはふんふんと、鼻で息をしながら頑張った。

 しかし……


 「プゥ〜」


 オナラをしたと言うより、漏れたと言うべきか。

 ラリィは腹に力を入れすぎたようだ。


 「ギャッハハハ〜。 可愛い屁でござる〜、特に音が」


 それはデリカシーがない……

 ほら、ラリィも真っ赤になってラザノフを睨んでる。


 「もう、ラザ兄嫌いだの! ちょっとオナラ出ちゃっただけだのに! フンッ」


 ラザノフは、ヤバいって顔だけどもう遅い。


 と言っても俺の予想以上に動かせてた。 

 けれど疲れるのも予想以上に早かった。

 ラリィは体力がない…… そう思った時、自分の4歳の頃を思い出した。



 ー4歳の頃の俺ー


 孤児院で断トツの年下だった俺。

 でも、もうその頃には自分勝手な奴と言われていた。

 可愛がってくれる人がマシェリ、兄、シスターだったのも、皆んなの嫉妬を買った理由かもしれない。

 でも自分勝手な俺は、着々とすべき事をして強くなっていった。


 ……って、俺と比べても仕方ない。

 ラリィは体力がない、俺が2歳の頃くらいと思っておこう。

 何せ、ちょっと翼を動かしたくらいでオナラが出ちゃうくらいだからな。



 ラザノフが捕った川魚を食べた後に出発する。

 上の道に戻った後は、ひたすら歩くだけ。


 本当にたま〜にすれ違う旅人に、この先に道がないことを伝えて進む。

 旅人達は驚いた様子で、一応そこまで行ってみる、という反応だった。

 驚いた理由は、道がないかも、という理由と、ラザノフとラリィの見た目だろう。

 ラザノフもラリィも派手な容姿で見るからに上位亜人だ。




 ーラザノフー  

 

 196センチの長身、腕が異様に長く上半身の筋肉が異様に発達している。 

 足の長さは普通なので、腕とのバランスで短く見える。 


 顔はふくよかで人の良さそうなおっさんを若くした感じだ。

 えっ? ふくよかで人の良さそうなおっさんを若くした感じが分からない? 


 そこまで聞くなら答えよう。


 先ず、ガソリンスタンドで働いている、ふくよかなおっさんを見つけてくれ。 

 そしてそのおっさんに若い頃の写真を見せてもらうんだ……

 

 それがラザノフだ!



  ーラリィー  


 綺麗な金髪は肩辺りまで。 

 額に赤く透き通った宝石みたいのが埋まっている。 

 金色の瞳の下に赤いアイラインがある。 

 

 奴隷服を着ているけど、何故か切り込みが入っていて、翼を広げる事も出来る。


 顔は、将来は驚くほどの美人になるだろう。 でも今は可愛らしく、おっとりとした印象。



 今、考えてて不思議に思った。


 「ラザノフ、ラリィの額の宝石とアイラインって、吸血族にはあるの?」

 「アイラインは女子だけでござる。 宝石は全員付いているけど、男の宝石は小さい。 宝石はソナーに使うと言われてて、男より女子の方が、長い距離を調べられるらしいでござるよ」


 男は男子じゃないのか…… まぁいいや。

 

 「それならラリィはソナーが使えるって事?」

 「可能性はあるでござる。 でも意味のない宝石の可能性もある」

 

 ソナーというスキルは意外と有能なスキルだ。

 敵の位置をいち早く分かれば、充分な対策も出来る。

 それにしても上位亜人のスキルはどれも凄い……

 そう考えるとソマルさんのスキル……

 味噌汁あっためるスキル…… やっぱり欲しくない。


 

 渓谷は夜暗くなり初めた頃に抜けることが出来た。

 しかし、その頃からまた弱い雨が降ってくる……

 朝方まで歩いて昼間は休む予定だったのに……

 ちなみにラリィは今日、ほとんど歩いてない。

 ラザノフの長い腕にくるまり長い時間寝てた。


 「ラザノフ、そこのスペースに昨日作った小屋を建てる。 手伝ってくれ」

 「オッケ〜、ござる〜」


 柔らかい土をどんどん出して、ラザノフと2人、クナイで整えていく。

 

 「リュウの魔力…… 上位亜人以上? かも知れんでござるよ」

 「そうなの? ところで土竜族と吸血族って魔力は多いの?」


 土をある程度整えたらジェットで固める………

 土に反射して暖かいジェットの風が戻ってくる。

 木陰で座っていたラリィも、いつのまにか暖かい風があたる場所にいる……


 「土竜族は少ないでござるよ。 魔術もほとんど誰も使わないでござるし。 吸血族は魔力の多い種族でござるなぁ。 将来はラリィも魔術を習った方が良いでござるよ。 あっ、リュウ…… リュウが教えればいいでござるよ!」


 小屋はほとんど完成。

 後はクナイで窓のスペースをカリカリと削るだけ。


 「残念ながら詠唱は何1つ覚えられなかったんだ。 って言うか、にいちゃんも覚えさせようとすら思ってなかったと思うよ」


 だって詠唱を聞くと、眠くなっちゃうだの。

 って言うのも本当だけど、俺は字の読み書きに4年もかかった強者だ。 

 それに自慢じゃないけど、覚えてもすぐ忘れる素晴らしき男だ!


 「そうでござるか〜。 確かにリュウは無詠唱、それにまともな魔術を使っているの…… 見たことないでござるよ!」

 「一応、ジェットは俺が開発したこの世で1番凄い魔術。 少なくともにいちゃんもそう思ってくれてるはずだよ」


 何と言ってもジェットの実績が凄い。

 俺は飛べない種族で初めて裏の世界に渡った人間なのだから。

 

 「確かに夢のような魔術でござる…… こうやって応用も出来る。 詠唱付きならどんなに……」


 詠唱付きならか…… そんな詠唱があったら、皆んな空を飛んで買い物に行けるな。



 ジェットの熱がまだ土に残っているから、完成した小屋の中はまだ暖かい。 

 良く寝れそうだ…… と思っていると、目を爛々と輝かせている奴が1人、ラリィだ。


 「お兄ちゃん、ラザ兄、ラリィね、眠くないの。 何か眠くならないだの」


 そりゃあ、さっきまで爆睡してたからね。

 全く歩かないし。


 「ラリィさ、もしかして父ちゃんにいつも抱っこされてた?」

 「うんだの〜。 父ちゃんね、散歩にいつも連れてってくれたの。 あ…… 父ちゃん……」


 ヤバい、変なことを質問してしまった。

 でも、もしかして……


 「散歩の時は歩いたの?」


 って言うか、それが散歩!


 「父ちゃん…… いつも抱っこしてくれたの……」


 それも散歩と言うのだろうか。

 でも、いくらラリィが可愛くても甘やかしすぎてる。


 「じゃあ、今日はラザ兄が散歩に連れてってあげよ〜う」


 ここにも甘やかす奴が……


 「ラリィ、お兄ちゃんが空を飛ぶことを教える。 練習だけど出来るか?」

 「ラリィね、ラザ兄と散歩に行くだの。 だから飛ぶ練習は今度にするの」

 「分かった。 今度ね……」


 ラリィは、ラザノフの腕の所定の位置に収まり、散歩に行った。 ……それも散歩なら。



 俺は、夜の関節マッサージをする。

 本当は朝やるのがいいのだろうけど、朝は忙しい。

 なのでいつも夜にやっている。


 足の指先の関節から始まり、関節全てをマッサージしながら逆側にも可動域を広げるように反っていく。

 全ての関節なので、凄く時間がかかる。

 いつのまにか散歩から帰って来た2人も、俺をマネて関節マッサージをしている……

 特にラザノフは真剣にやっている。


 「ラザノフ、これは小さな頃からやってないと危険なマッサージでもある。 5年後に少しだけ可動域が上がっている…… そんなイメージで優しくマッサージしていくと良いよ」

 「分かったでござる。 焦って曲げ過ぎると関節を痛めるでござるな」

 

 ……理解が早い。 もしかしてラザノフは頭が良い⁈

 い、嫌だぁ〜!!


 関節マッサージが終わる頃には、俺も眠くなっている。

 これも習慣だ。

 明日にはプユスタール入り出来る。

 それではお休み……


 「お兄ちゃん、ラリィね、飛ぶ練習したくなっちゃっただの」


 僕はもうお眠さん……


 「リュウ、ラリィを頼む、ふぁ〜ぁ、ござるでお休み」


 ラザノフは速攻で寝た。 ハァ〜。


 「分かった。 でも今日は空に慣れるだけにしよう」


 外に出て、ラリィを抱えて上空へ。 

 当然、紐で結んでないのでラリィは怖がりくっついてくる。

 

 「ラリィ、先ずは上を見てみな」


 ラリィはギュッとしがみつきながら、そろ〜っと上を見る。


 「うわ〜! 大きい星が近いね〜」


 そう、数年前より随分と近くなっている。


 「あっちの光がいっぱいあるところが、俺達が向かってるプユスタール。 働いて美味しい物をいっぱい食べようぜ」

 「うん! 綺麗〜、楽しみだな〜」


 それから歩いて来た方向、海のある方向など、グルグル周りながら説明した。

 

 今日は空に慣れてくれれば良い。



 次の日も予想通り曇り。


 朝早くに出発して、プユスタール入り出来たのは3時過ぎだった。

 



 

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